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第十五話:知らぬ事は愚か

第十五話

 魔王と戦っていた日和を無理やり連れて帰り、儀式を終える。そして、黒金さんは気絶させたまま日和を再び魔王城へと放り込んできたらしい。

 白銀はまるで夢を見ていたような感じだった。

「あの、言っても信じてくれないというか、危ない人を見るような目で私を見るかもしれません」

「なんだよ」

「実は、あの電波勇者の言っていることが正しいことなんじゃないかなって考えて行動する夢を見たんです」

 俺も悪い奴ではない。

「そうか、まぁ、日々を過ごしていればそんなことを考える日もあるかもしれないな」

 こうして、藁人形のくだらない事件は幕を閉じたのである。



――――――――



 六月、梅雨時。家へと続く坂道を俺と黒金さんは傘をさしてのぼっていた。

「なぁ、蒼疾」

「なんですか」

「あの蔵は何だ」

 指差す先は白銀、そして黒金さんを召喚するきっかけとなった蔵があった。

「ああ、あれは俺の祖父母の遺した蔵です。中は図書館みたいになっているんですよ」

「そうか、中に私を入れてくれないか。ここ最近あわただしく面倒事が続いていたがそれもひと段落ついたからな。ちょっとおかしいと思っていたことを確認したいんだ」

「え、鍵は開いていますから別に勝手に入っても………」

「それがな、意外と強固な結界が張られていて中にいけないんだ」

 珍しく手詰まりだと黒金さんは嘆息した。しかし、あそこにそんな結界なんてあっただろうか。

「ほら、あれが言っていた結界だ」

「………」

 どこからどう見ても野良猫撃退のために置かれている水の入ったペットボトルだった。あんなものが結界なんだろうか。

「その目は信じてないな」

「いえ、まぁ、その………ともかく、図書館の中に入ればいいんですよね」

「ああ、そうだ」

「じゃあ、あの結界をどければいいんですか」

「いや、お前がこのまま入ってくれればそれでいい」

 ま、黒金さんには普段からお世話になっているのだからそういった願い事ぐらい簡単に叶えてやることが出来るだろう。

 俺は蔵の扉を開けてその中へと入ったのだった。もちろん、ペットボトルの結界は俺には通用しなかった。

「じゃあ、晩飯が出来たら呼びますね」

「ああ、よろしく頼む」

 近くの分厚い本に飛んでいき、それを引っ張って出していた。ここの書庫はどこの国か知らない文字で書かれているものが大多数たため、俺にとってこの蔵はもはや必要のないものと化していた。だって、下手につついてこれ以上悪魔とか天使などをふやされても困るのだ。



――――――――



 悪魔や天使に味噌汁が合うものかどうかはさておき、基本的に白銀と黒金さんは出てきたものは平らげてくれる。

 今日も味噌汁をいつものように作っていると黒金さんが叫びながらやってきた。

「白銀―っ」

 珍しく、白銀を探しているようだ。

「白銀は俺の部屋で本を呼んでいましたよ」

 ちなみに、黒金さんが読むような知的なものではなくマンガだ。あの天使、最近外出を覚えたようで、俺にお小遣いをせびっては古本を大量に買ってくるのである。おかげで俺の部屋はちょっとした漫画喫茶に早変わり。

「蒼疾、お前………」

「なんですか」

 やたらと怖い表情で俺を見てくる。何故、怒っているのかさっぱり分からない。

「どうかしたんですか。人の名前を軽々しく呼んで………」

 白銀があくびをしながら出てくる。髪もぼさぼさで、引きこもり一歩手前のような生活を送っているのである。

「白銀っ、お前ちょっとこっちに来いっ」

「へ、え、な、なんなんですか」

 あらまぁ、不思議。どんな種になっているのか知らないが黒金さんが手招きするだけで白銀の体は宙に浮き、あっという間に手招きした主のところまで引っ張られていた。

「蒼疾、少ししたら帰ってくる」

「はぁ、いってらっしゃい」

 俺は首をかしげながらも、二人が帰ってきたときすぐに夕飯を食べれるように食卓へと料理を運ぶのだった。



 そして、十分後。



「そ、蒼疾様、ただ今戻りましたっ」

「はぁ、おい、白銀。どうかしたのかよ」

「い、いえっ、何もしておりませんっ」

 顔に汗をだらだらと流しながら俺に敬礼している。ミリタリーごっこか何かだろうか。

「わ、私白銀はこれまで『蒼疾さん、おなかがすきました~』とか『蒼疾さん、冷えた牛乳とプリンを持ってきてください、ないなら買ってきてください』とぱしりにつかってすいませんでしたっ」

「おい、頭を打ったのかよ。そんなことよりさっさと席について飯を食ってくれ。茶碗が洗えないだろ」

「了解しましたっ」

 そういってあわただしく座る。白銀の後には黒金さんが暗い表情でやってきた。

「あの、どうかしたんですか」

「いや、何もない。気にするな」

 そういって黒金さんも席へとつく。俺一人、なんだか蚊帳の外に出されているようだ。

「………」

「……」

「…」

 誰一人として会話をする人はいない。珍しく白銀がテレビの電源をつけないため、テレビも無言だ。

 無言に耐えられなくなった俺は話題を提供することにした。

「あ、そういえば俺って人間ですけどなんだか特別なんですかね。だって、白銀はともかく、こんなに強い黒金さんを召喚出来たんですから………」



ガチャン、ドカッ、ばたり………



 白銀が椅子からこけてそのまま倒れた。

「おい、大丈夫かよ」

「はははははいっ、大丈夫です」

「ほら、掴まれ」

 手を差し伸べるが、何故だか首をぶんぶん振っていた。

「滅相もございませんっ。この白銀、自分でしっかりと立てますから心配しないで下さい」

 てっきり、俺が白銀のことを馬鹿にしたことに対しての意趣変えしたいやがらせかと思ったのだが、違うようだった。



 俺はその時、黒金さんが険しい表情で見ていたことに気がつかなかった。





ふんふん、新しい章に突入です。まさか、こんなちゃんとした筋書き書いて小説書くなんて日が来るなんて思わなかった………。面白い、面白くないは問わず、誰か感想を書いてほしいっ。喉から手が出るほど感想がほしい。お金と感想、どっちを取るかといわれるとそりゃあ………ともかく、感想がほしい。あ、そういえば今日、二千円拾いました。あとがきがかなり適当なのは仕方ないな、そういうことで許してくださいね。

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