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―全ての始まり、ここから―



 遠い世界の彼方にカティサという少女がいた。

 カティサは孤独だった。

 広い世界に自分は一人。

 どうして自分がここに存在しているのか、カティサには知るすべがなかった。


 世界に灯りはなく、あるのは暗闇と何もない真空。

 気が遠くなるような時間を、カティサは自身が生まれた場所で過ごした。


 ある日カティサは、どこか遠くに光る小さな灯りを見つけた。

 カティサはそれに触れたいと思った。

 けれど、カティサはそこへたどり着く方法すべを知らない。

 カティサはどうにかして、自分の近くにその灯りを光らせられないだろうかと苦心した。


 灯りはできた。

 それは指の先におさまるような小さな光だった。

 けれどカティサはそのことに喜んだ。

 灯りはカティサを照らし、その体を温めてくれたからだ。


 しばらくして、遠くに光る星が一つ増えた。

 カティサはそれを見て、自分の灯した光も向こうから見えている可能性に気づいた。

 カティサは二つ目の光を作った。

 その光は一つ目より、大きかった。


 作った光を灯し続けると、辺りは見違えるように明るく温かくなった。

 カティサはその出来栄えに満足し、疲れた体を休ませようとしたが、遠くに見える光が消えていることに気が付いた。


 カティサは自身が眠りにつく前にあの場所へ光を届けられないかと考えた。

 だけど、どんなに工夫しても光はそこから動こうとはしなかった。

 カティサは諦めかけていた。

 けれど何個目かの光はカティサの願いにこたえてゆっくり、ゆっくりと移動し始めた。


 カティサは理解した。

 光を届けるためには思いを込めればいいということを。

 暗闇に包まれるあの場所に光を届けたい。

 カティサの思いを受けて作られた光は、旅をし始める。


 星の海に漕ぎだした光を見送ったカティサは、その光がたどり着くことを夢みながら眠りについたのだった。



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