たぶちょ
「みんな聞いて!!」
勢いよく生徒会室の扉が開け放たれると、中に飛び込んできたのは言うまでもない。生徒会長・両備院さつきだ。
「どうしたんだよ、一体?」
俺を含め、生徒会の全員がさつきに注目した。
「それが……、私達の小説のHP(評価ポイント)がどんどん減っているの!!」
『な……、なんだってーーーーー!!』
俺は慌てて目の前にあるノートパソコンに向かい、マウスをクリックしてユーザーページを開いた。
「……本当だ。ついこの間まで二桁あったはずの評価ポイントが一桁になってる」
「一桁とか……、恥ずかしいこと口にしないでよね!」
頬を赤らめながら、小森芽依が顔を背けたが、いったい誰に対して恥ずかしいんだ?
読者か?
まぁ、それいいとして……。
「つまりそれは、中盤くらいまではそれなりに良かったけれど、後半がくだらないとかいう事かしら?」
小森よ……、説明ありがとう。
そんなにはっきり言われると、うれしくて涙が出ちゃうぞ。
「最近、作者の様子がちょっとおかしいと思ってたのよね」
「モニターの前でよく子犬のようにプルプル震えていたのは、なるほど。そういうことだったのね」
「大丈夫よこれぐらい」
パタンと本を閉じると、それまで無関心の素振りを見せていた、千里丘先輩が口を挟んだ。
「あの人ドMだし、これぐらいはちょうどいいご褒美よ」
「「えっ、そうなの⁉」」
そこの二人! 真面目な顔で受け取らない!!
まったく、そんな訳ないだろ?
だけど、そんなにつまらなかったのかと思うと我ながら主人公として胸が痛い。
「この際、戦犯が誰なのかはっきりさせましょうか?」
「ちょっ、ちょっと千里丘先輩! ってなんでみんな俺を指差すんだ?」
何故か、満場一致で俺が指名されている。
「決まっているでしょう。大体、修一がだらしないからこんな結果になっているのよ!」
「さつき、……た、確かに俺のふがいなさは、自分でも自覚してる。けど、そもそもこの話は俺強ぇ的な要素は一切ないって最初からわかってたことだし……」
「言い訳無用!」
「やっぱり、初稿通りに図書室で、私と中二バトルを繰り広げるべきだったのかしら……」
「それは駄目ーーーーーーーーーっ!!」
慌てて、俺は千里丘先輩の口を塞いだ。
「先輩、その話はなかったことになってるんですから、喋っちゃ駄目です!」
「隠すことでもないだろう?」
いやいや、それ恥ずかしいことだから。
「やっぱり……。誰かを戦犯だなんて。そういうのよくないですっ」
「そういう貴方は、誰?」
「おや? 空気がしゃべった」
「く……、空気?」
というのは冗談で。
先輩……。いくらなんでも、和泉さんの台詞が少ないからってそれは言い過ぎなのでは。
「確かに、私は本編でもほとんど台詞ないですし、影も凄く薄いですけど。ちゃんと和泉麻美っていう名前があるんですっ」
キリリ!
今まで脚光を浴びなかった和泉さんがついに表舞台に!
「さりげに自己紹介を挟んでくるあたりがあざといわね」
「麻美……、あなたも必死なのね」
「芽衣ちゃんまでっ!!」
「せっかくだから、アッサミーンぐらい言ったらどう?」
「パクリよくないっ!!」
涙目の和泉さんを諭し、とりあえず話題を元に戻すことにしよう。
「先輩、それぐらいにして、ちゃんと話し合いましょうよ。そうでないと俺達、これからどうしていけばいいのかわからないし……」
「それなら、私に良い考えがあるわ!」
さつきが目を輝かせながら右手を挙げた。
だが、聞くまでもない。
どうせ良くない事に決まっている。
「まぁ、一応聞いてやるから、言ってみろ」
「なによ、その言い方。気に入らないわね。
まぁいいわ。
いい、やっぱり私達に足りないのは、お色気よ!!」
お色気???
また、よくわからないことを……。
お前はこの話をR-18指定にしたいのか?
「とにかく芽依ちゃん、脱いで!!」
「え⁉ ちょ、ちょっと……!」
「ええっ!! 嘘? 本当にやっちゃうの??」
「それーーーーーーーーーい!!」
ばばーん!!
まさか、ここでスク水画像投入……だと⁉
ストックされていた極秘画像を惜しげもなく晒すとは……。
さつき、やるな!
「どう? これで軽く三百ポイントぐらいは稼いだはず!!」
「んな訳があるか! お前、読者嘗めすぎだろう!!」
「えーーーっ」
そんなんで星付けて貰えるなら、俺はイラストを描いてくれる、森よいち氏にいくらでも下座するわっ!!
「まったく……」
「しょうがないわね。じゃあ、自分が悪いと思う人は手を挙げてくださーい」
「ちょっ、なにその投げやり的な」
「では、裁判を始めましょうか。被告人。大坂修一、前へ」
「ええっ! またしても俺⁉ っていうか、一体何が始まるんですか??」
「他に誰がいるっていうのよ」
「先輩は単に俺を吊し上げたいだけでしょう!」
「あら、よくわかってるわね」
「まぁまぁ、罪を大坂くん一人に被せても仕方ないわよ」
「小森……、お前だけだ。俺の味方をしてくれるのは……」
思わず涙目になってしまう。
「共犯者がいるわ」
「って、庇ってくれたんじゃなかったのかよ!」
「それって、やっぱり……」
まさか、ここにいる誰かが共犯者と言うことなのか?
……ゴクリ。
「柏原くんね」
「満場一致で決定!!」
ヲイッ!!
柏原。ここにいないのに非道い言われ用だぞ。
「とにかく、次で挽回するしかないんじゃない?」
「そうね。芽衣ちゃんの言うとおり、一話は終わっちゃった訳だし。書き直すことはしないって言ってるから仕方ないわね」
「二話で私が大活躍!!」
「わ、わたしだって、頑張るんですからねっ!!」
「おや、また空気が……」
「うわぁぁああん!!」
てなわけで、次がんばりマース。
「いくわよ〜!天保山高校生徒会執行部〜、ファイト〜!!」
「「「「おー!!」」」」
いいのか? こんなんで。
ありがとうございました。




