第一話~これが本当の始まり?!~
まだ文増えますm(_ _)m
リン、リン、リン――――――――――――
荘厳な雰囲気の中に静かにだが凛とした鈴の音が響いていた。
そこは人が死んで逝きつく先、神々のおわす処。といっても神に会えるわけではない。神々の箱庭までの距離はとても短いし、長い。そんな処である。
なので人が通れるところは、現世と繋がる『次元の間』から【浄化の光】までの『神殿の廊下』と言われる道筋だけである。しかも通る際は一応の用心の為、魂のままで意識を持たない。
赤ちゃんの時の記憶を覚えてないのは、その性質を少しだけ持ち越してしまうからだ。
まあ、そんなところを魂のままの宰が通っている。しかし、何故か意識があるが・・・・。
『神殿の廊下』には見張りというものがない。何故なら、そこを通る人は必ず意識がないからだ。それは当たり前のこと過ぎて神々は油断している、いや、して当然である環境であった。――――――――――――それが後にとても後悔することになるが・・・。
そんな神々の事情を全く知らず、というか知っていたら怖いし、知っていても「それが?自業自得だろ。」としか思わない宰は『神殿の廊下』の素晴らしい彫刻に見惚れていた・・・・訳もなく、どうやったらそんな風に彫れるんだ的な意味で興味津々だった。
そんな異常さを言っても、「えっ?これが普通の反応だろ。」と返すに決まっている宰はやっと、本来ならそれしか見えていない筈の【浄化の光】に気付いた。・・・遅い、遅過ぎる。
「あれって・・・・?嗚呼、そゆ事ね~。ふむ・・・、どうしようっかな。」
・・・分かったのか!本来覚えてる事とかありえねぇのに、分かったのか?!
――――――――――コホン。ナレーター(神)が物語を乱してスマナイ・・・。
「ん・・・?今、声が聞こえてきたような。」
ギクッ
「あっちの方からかな?・・・まあいいや。行って確かめたらいいし。」
ホッ 助かった ――――――では物語に戻ろう
宰は不敬にも〖大いなる父〗が創ったとされる『神殿の廊下』をどういう訳か飛び越え、神々の箱庭である始まりの庭園に降り立ったのだ。
「はっ・・・?」
流石の宰も目の前の景色がいきなり変わったのは驚いたようだ。・・・まあ、神殿にいたのに急に草原の中に立ってて驚かない奴はどうかと思うが。宰も人の子だったという事だろう。
「うわー。マジで着いちゃったよ。どう行こうか何通りも考えてたのに。」
・・・・またかー!人として覚えてちゃいけない事覚えてるよ!?≪原初の業≫消えてないのかよっ。―――――コホン。
「まあいい。好都合だよ。やっぱり、世界は僕の箱庭のままだねー。」
――――――?!今聞き捨てならない事を聞いたような。・・・まあ、気のせいだろう。 ~人でも神でも都合の悪いことは何でも忘れるのだ~
「・・・なんか失礼なこと言われた気分だ。」 なぜかムカつくな。
~やはり人も神もあまり変わらないのである~
宰は何かを探すようにキョロキョロと周りを見ながら、果ての見えない草原を只々歩いていた。
・・・ぷっ、まるでオノボリサンのようだ。 はっ! 一瞬寒気が・・・。
何故か宰の横顔に黒い微笑が浮かんでいる。やはりどこまも規格外な人間のようだ。・・・気お付けねば、――――――ヤラレル
~静かに、だが速やかに一柱の神が誓いをたてた瞬間であった~
宰はお目当てのものを見つけたらしい。それは――――――――――――≪大いなる父≫の神殿である。
他の神は、そう最高神であるゼイスでさえ其処には近付けないのである。主にその神殿から発せられる強烈な程の闘いの“神気”で―――――――――
ましてや人の、しかも魂が剥き出しの状態では跡形もなく消し飛ばされてしまう。神々すらも忌避する【完全なる消滅】である。かなりの高位である私も消し飛びそうである。
しかし宰が神殿に近付くと、攻撃的な“神気”があたかも初めからそのような性質だったかのように宰を優しく包み込んだ。
そして大量の“神気”に包まれた宰がその渦から出てくると、精神的実体をもち、しかも平安時代的な服を身に纏っているではないか。真っ白の狩衣はまるで某有名陰陽師(実在した)を模したようだ。・・・・怪しい。