表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

垣間的かつ白夢的に

「どうする?メリッサの奴、もうアリス殺す気ないみたいなんだけど?」

流暢な英語をケータイ片手に呟いているのは、長身の少年。

『初めから期待していない。お前さんの好きにしろ』

ケータイ越しに轟く、野太い声。

『殺しても構わないし、連れ帰っても構わない。もちろん、犯しても構わないさ』

ハッハッハと、ケータイの向こうから野太い笑い声。

あまりの声の大きさに、少年は顔をしかめながらケータイを遠ざける。

「まぁ殺していいって言われてもさ、俺はメリッサのバカには勝てねェけどさ。でもま『賢者の石』は絶対に取り返してみせるよ」

『期待しているよ、ミスタ・シン』

それだけ残し、ケータイは途絶えた。

少年は静寂の中、ポケットから携帯用双眼鏡を取り出した。

百均とかによく売っている、プロ野球のスタンドで一度は必ず見かけるアレである。

「さぁて、俺の愛しい愛しいハニー&ダーリンはどっこかなァ?」

ニタリと不気味に微笑みながら、少年は双眼鏡に目を通した。

その先には――少年一人と少女二人がいた。

ダーリンとハニーは、一人の少年を囲んでいる。

「ふっふ〜ん、二人の美少女に囲まれる少年……羨ましいなぁオイ」

双眼鏡から顔を離し、もう片方の手を天高く掲げ、

「De nihilo nihil」

何かを呟いた。

直後、長身の少年の身体が薄らと、まるで煙が空気に拡散する様に、足下から姿を消していく。

「ハーレム状態を独り占めはいけないなぁ。羨ましい。俺も混〜ざろっと♪」

長身の身体が全く見えなくなるのと台詞の最後は、同時だった。

漆黒の闇を、少年は駆ける。

不可視の存在として――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ