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嘘から始まる本当の恋  作者: naomikoryo


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第9話:見合い話再浮上、揺れる來未

週末の昼下がり、來未のスマホがけたたましく鳴った。


画面を見ると、「父」の文字が表示されている。


(……なんか嫌な予感がする……)


來未はため息をつきながら通話ボタンを押した。


「もしもし、お父さん?」


『おお、來未か。

最近どうだ?

雄二くんとはうまくやってるか?』


「う、うん……まぁ、それなりに……」


『そうか、それはよかった!

ところでな、來未——』


(……やっぱり、何かある!!)


來未はゴクリと唾を飲んだ。


『来週末、お見合いをセッティングしたぞ。』


「はぁぁぁぁ!?!?!?」


來未は思わず叫んだ。


隣の部屋にいた雄二が、「うるせぇぞ」と顔を覗かせる。


「ちょっ、どういうこと!?

私、もう婚約してるでしょ!?」


『ああ、もちろん、それは分かってる。

だがな——』


父は少し間を置いて、言葉を続けた。


『正式に結婚が決まっているわけではないだろう?』


「…………」


來未は言葉を失った。


『それに、君たちはまだ若い。

万が一のことも考えて、他の選択肢も持っておくべきだと思ってな。』


「な、なにそれ!?

すごい失礼なんだけど!!」


『まぁまぁ、会うだけでいいんだ。

雄二くんも、もし本気で來未と結婚するつもりなら、それを証明すればいいだけの話だろう?』


(……ぐっ……)


來未は、自分の父親が理詰めで話を進めるタイプなのを忘れていた。


『相手は、うちの会社の取引先の御曹司だ。

しっかりした好青年だから、損はないぞ?』


「い、いやいやいや!!

なんでそんな話になってんの!?」


『決まったことだ。

來未、お前は来週末、このお見合いに行くんだ。』


「ちょ、ちょっと待って——」


『じゃあ、そういうことで。』


ブツッ——。


父の一方的な宣言で、通話が終了した。


「……なんなのよ、もう!!」


來未はスマホを握りしめ、叫んだ。



◆雄二の態度


「……で、お見合いするのか?」


來未の怒りの独り言を聞いていた雄二が、のんびりと缶ビールを開けながら尋ねた。


「するわけないでしょ!!

でも、お父さんが勝手に決めたのよ!!」


「ふーん……」


雄二は、興味なさそうにビールを一口飲む。


「……なにその反応!?

ちょっとは焦ったりしないわけ!?」


「いや、だってお前、お見合いなんて行かねぇだろ?」


「そ、そりゃそうだけど……

でも……!」


來未は、モヤモヤした気持ちを抱えながら雄二の顔を見た。


雄二は特に気にする様子もなく、ソファに座りながらテレビを見ている。


「あのさぁ……」


「ん?」


「もし私が本当にお見合いしたら、どうするの?」


「…………」


雄二は一瞬動きを止めた。


「……いや、別に、好きにすれば?」


「は?」


來未は思わず立ち上がる。


「ちょっと、それどういう意味!?」


「いや、だってお前が決めることだろ?」


「…………」


(なにそれ……めっちゃ冷たくない!?)


來未は、言いようのない悔しさを感じた。


(……この反応、なに? 私のこと、どうでもいいってこと!?)


來未の胸の奥が、ズキリと痛んだ。


(……私、もしかして……)


(雄二に、期待してた?)


それは、「止めてほしい」という期待。

「行くな」と言ってほしいという期待。


でも、雄二はそう言わなかった。


(……なんか、すごくショックなんだけど……)


來未は、胸の奥に広がるこの苦しさが何なのか、自分でも分からなかった。



◆お見合い前夜、思わぬ一言


來未が一日中モヤモヤしながら過ごし、気づけばお見合いの前日になっていた。


(はぁ……行きたくない……)


來未はソファに座り、ゴロゴロ転がる。


雄二はキッチンでコーヒーを淹れながら、ちらりと來未を見た。


「なぁ。」


「……なによ。」


「お前、本当に行くのか?」


「は?」


來未はガバッと起き上がる。


「なによ、今さら。」


「いや、別に。

ただ、お前……

すげぇ嫌そうな顔してるから。」


「……っ!」


來未は、ドキッとした。


(……なんで分かるのよ……)


「別に、嫌ってわけじゃないし!」


「そうか?」


雄二はじっと來未を見つめた。


「お前、俺が止めるの待ってた?」


「!!!」


來未は、言葉を失った。


(な、なんでバレてんのよ……!?)


「ま、俺が止めたって、どうせお前は『関係ないでしょ!』って言うだろうしな。」


「そ、それは……」


「でも——」


雄二は少し真剣な顔になり、來未の目を見つめた。


「お前が行きたくないなら、行かなくていいんじゃねぇの?」


來未は、息を飲んだ。


「……そっか。」


胸の奥が、少しだけ軽くなった気がした。

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