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嘘から始まる本当の恋  作者: naomikoryo


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第3話:偽同棲生活スタート、しかし早々に問題発生

「……え?」


來未は、父親の言葉を理解するのに数秒かかった。


「だから、もう新居は決めてあるから、そこで二人で暮らしなさい。」


父、佐々木誠一は腕を組み、満足そうに頷いている。

母親の佐々木志乃は目を潤ませながら、「ああ、良かったわぁ」と感激している。


その横で、來未と雄二は完全に固まっていた。


「えっ、ちょ、ちょっと待って!

いま何て言った!?」


來未は慌てて聞き返すが、父の誠一は当然のように言葉を続ける。


「だから、新居を決めてある。

もともと、お前の結婚が決まったら用意しようと思っていたんだが、幸いにもいい物件があってな。

ほら、賃貸よりも持ち家のほうがいいだろう?」


「いやいやいや、待って待って!

なんでそんな話になってんの!?」


「婚約したからだろう。」


「いやいや、婚約したら即同棲っておかしくない!?」


「おかしくないだろう。

むしろ自然な流れじゃないか?」


父親は全く動じる様子がない。

母親は「一緒に暮らして、お互いをもっと知っていくのも大事よね」と優しく微笑んでいる。


「いや、でも!」


來未が必死に抗議しようとしたその時、横で黙っていた雄二がぽつりと呟いた。


「……まぁ、いっか。」


「いっか、じゃないでしょ!?

なんで納得してんのよ!?」


「だってもう決まっちまってるんだろ?

それに、ここで反対したら逆に怪しまれるだろうし……」


「いや、それはそうだけど!

でも!!」


來未は頭を抱えた。

まさか、偽の婚約者作戦を始めた初日で、同棲する羽目になるなんて誰が予想できただろうか。


「それじゃあ、今週末に引っ越しだな。」


父親はすっかり決定事項のように話を進めている。


「俺も手伝うぞ、雄二くん。」


「ありがとうございます、お義父さん。」


「義父じゃないから!

まだ結婚してないから!!」


來未は絶望しながら叫んだ。



◆そして、引っ越し当日


「……意外といい部屋だな。」


新居に入った雄二は、思わず感心していた。


「まぁ、確かに……」


來未も渋々頷く。


父親が「お前たちのために」と用意したこの家は、2LDKのマンションで、

駅からも近く、内装も新しくて綺麗だった。


「まぁ……いい家ってのは認めるけど……」


「でも、お前の親、本気だったな……」


「本気すぎるのよ……!!」


來未はソファに崩れ落ちた。


(これは完全に、逃げ道を塞がれた状態じゃないの……!?)


「とりあえず、俺はこっちの部屋を使うからな。」


雄二は奥の部屋を指差した。


「えっ、何?

來未は俺と同じ部屋で寝る気だったのか?」


「違うわよ!!

何言ってんのよ!!」


「いや、そんなに慌てて否定しなくても……」


來未は思わず頬を膨らませる。


「とにかく、私はこっちの部屋ね!」


來未はもう一つの部屋に荷物を運び込む。


こうして、「偽装婚約者」同士の奇妙な同居生活が始まった。



◆しかし、早々に問題発生


「ちょっと、來未。」


「んー?」


「お前、その格好……」


來未はシャワーを浴びた後、部屋着としてゆるゆるのタンクトップとショートパンツを着てリビングに出てきた。


「え? これが何か?」


「……お前、手を出せない男にそんな格好見せるのか?」


雄二は、冷たい視線で來未をじっと見つめた。


來未はポカンとした表情で雄二を見返し、少し考えてからあっさりと答えた。


「馬鹿ね。

こんな格好、雄二だからに決まってるじゃん。」


「……は?」


「だって、雄二とはそういう関係にならないって分かってるから、別に気にしないのよ。

家族みたいなもんじゃん?」


「…………」


雄二はなぜか口を閉ざし、來未の格好をじっと見つめた。


來未自身は全く気にしていないが、タンクトップの肩紐が少しずり落ち、鎖骨がくっきり見えている。

その無防備な姿に、妙な緊張が走る。


(……いや、俺は何を考えてるんだ。)


雄二はゴクリと唾を飲み込み、視線を逸らした。


「まぁ、お前が気にしないならいいけど……」


「そうそう!

雄二も適当にくつろいでよ!」


來未は気楽に言いながら、ソファにゴロンと横になった。


しかし、雄二はそれを横目でチラリと見て、少しだけ頭を抱えた。


(……なんか、ヤバい気がする。)


こうして、何かがおかしな方向に進み始めていることに、二人はまだ気付いていなかった。

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