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彼女はいつも同じさよならしか言わない 〜さよならを言う練習  作者: ふぁい(phi)


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エピローグ 十年後

結婚して十年。


 


子どもが一人。


 


家は狭い。

ローンは重い。

洗濯物は多い。


 


恋は、落ち着いている。


 


たまにぶつかる。


 


言いすぎる。


 


謝る。


 


それでも生活は続く。


 


 


ある夜。


 


子どもが寝たあと。


 


キッチンで皿を洗いながら、彼女が言う。


 


「ねえ」


 


「うん?」


 


「後悔してない?」


 


 


十年前と同じ質問。


 


 


俺は少し考える。


 


 


あの春のホーム。

あの再会。

あの結婚前夜。


 


全部、通過点になった。


 


 


正直に言う。


 


 


「楽な選択じゃなかったけど」


 


 


「してない」


 


 


彼女は少し笑う。


 


 


「私も」


 


 


沈黙。


 


 


子どもの寝息が聞こえる。


 


 


恋みたいなドキドキは減った。


 


でも、別のものが増えた。


 


 


安心。


 


信頼。


 


一緒に失敗できる感じ。


 


 


彼女が言う。


 


 


「ねえ」


 


 


「うん」


 


 


「もし、昔の人に今会ったらさ」


 


 


「うん」


 


 


「やっぱり“ちゃんと終わったよ”って言える?」


 


 


俺は少し笑う。


 


 


「言える」


 


 


「今のほうが、ちゃんと選んでるから」


 


 


彼女は頷く。


 


 


「私も」


 


 


その夜、布団に入る。


 


 


横を見る。


 


 


この人と、何千回も「小さな選択」をしてきた。


 


怒らないを選ぶ。

話すを選ぶ。

許すを選ぶ。

もう一回やるを選ぶ。


 


 


結婚は、

一回の選択じゃなかった。


 


 


毎日の更新だった。


 


 


窓の外は静かだ。


 


世界は相変わらず止まらない。


 


 


でも。


 


 


止めなくていい。


 


 


さよならを言えたから。


 


おかえりを言えたから。


 


それでも選び続けたから。


 


 


人生は、劇的じゃない。


 


でも、ちゃんと積み上がる。


 


 


――完。


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