表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

第10章 転機

 昼下がりの講堂。

 生徒会主催の討論会が開かれていた。テーマは「華族としての誇りと責任」。

 全校生徒が見守る中、壇上に上がった怜の姿に、ざわめきが広がった。


「偽物が何を語るのかしら」

「華族を名乗る資格なんて……」


 容赦ない声が飛び交う。怜は視線を落とし、胸に抱えた原稿を強く握りしめた。


 司会の声が響く。

「それでは、涼さん。ご意見を」


 一瞬の沈黙のあと、怜は顔を上げた。

「……僕は“涼”ではありません。双子の弟、怜です。それでも、姉を守りたい一心でここに立っています」


 ざわめきがさらに大きくなる。非難の視線、嘲笑、疑念――そのすべてが怜を突き刺す。


「やっぱり偽物じゃない」

「恥を知るべきだわ」


 怜の指が震え、言葉が喉に詰まりかけた、そのとき――


「やめなさい!」


 強い声が講堂を揺らした。

 立ち上がったのは琴葉だった。誰もが注目する中、彼女は毅然とした足取りで壇上へと歩み寄る。


「この人は偽物なんかじゃない。皆が見てきた“涼さん”は、怜そのもの。優しくて、努力家で……誰よりも人を支えようとする、本物の人間よ」


 会場が凍りついた。

 断罪した張本人が、今度は真っ向から怜を庇っている。


 怜は目を見開き、声を震わせる。

「琴葉さん……」

「勘違いしないで。私は正しいと思ったから言っているだけ。……でも、もう目を逸らさない。あなたを見てきた私が、そう思うのだから」


 その言葉に、怜の胸に熱がこみ上げていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ