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絵を描いている時、上手く集中できると幸せを感じる

作者: 宮野ひの

 絵を描いている。お気に入りの漫画のキャラクターを、自分の絵柄で描き出している。


 パソコンに繋いだペンタブに、ペンを走らせる音が、部屋の中に響き渡っている。だけど、そんな些細な音は気にならない。


 スマホに有線のイヤホンをつけて、お気に入りバンドの、最新曲を聴いているからだ。サビに差し掛かったところで、キャラクターを描く手も跳ねる。慎重に描こうとする気持ちを上手く崩してくれる。音に気持ちを委ねて描くと、キャラクターも生き生きとした表情をしているように感じる。


 蓋付きのマグカップに口をつけると、アセロラジュースの甘みが広がった。普通ならコーヒーを飲むところだろう。その方が、雰囲気も出る。にもかかわらず、私はアセロラジュースを選んだ。理由は、アセロラジュースの方が飲みたかったからだ。何かを選ぶのに、絶対的な理由はない。


 絵を描いている時、上手く集中できると幸せを感じる。ああ。これで私はお金持ちになる必要がなくなった。これさえあれば、後の人生も楽しく生きていけそうだ。もしも、悲しいことがあったとしても、絵を描くことができたら、人生なんとかなるような気がする。


 何かを作るのには時間がかかる。時には、もどかしくなり、早送りをしたくなる。そんな時は、焦っている対象から少し離れれば良い。別なことをしていると気が紛れて、また好きなものが、好きだと心から感じるようになる。


 キャラクターの髪の毛を描いたら満足した。絵を描くのは、今日はここまでにしようかな。明日、朝一番で絵を見返したら、歪な部分にも気づくことだろう。そのゾッとする瞬間が私は好きだ。夢中になっている時にはわからない、冷静な視点が自分にもあるとわかるからだ。


 一年後、私は絵を描いているだろうか。わからない。先のことを考えても、どうしようもないことは結構ある。だけど、絵を描くと楽しい気持ちはきっといつまでも覚えているだろう。

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