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【完結】戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ  作者: 真輪月
戦闘狂の水晶使い
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第93話  クラーク村の戦い②


 謎の魔物が、血から大剣を生成する。


 その大剣は、血から作り出したとは思えないほど黒かった。そして、奇妙な形に歪んでいた。

 

 人狼に(若干)似た顔に、何の感情も浮かんではいない。

 狂気に濡れた唸り声もない。

 狂気を孕んでいるのかすらわからない。


「お前はなんだ?」


 答えは返ってこない。


 脳がやられているような反応と目だな。


 謎魔物が身じろぎしたかと思ったら、すぐ目の前に迫っていた。

 そして、大剣を振り上げ──






 いつもと変わらない日常を過ごしている、クラーク村。

 そこに、ラインの愛馬──フレイがたった一匹で村へと戻って来た。

 いち早く気づいたのは、リアナスだった。


「フレイ? どうしたの、1人で? まさか……ラインになにか!?」

「ぶるる」


 フレイは首を横に振り、それを否定した。


「ぶるっ……ぶるっ!」

「なに!? どうしたのフレイ!?」


 フレイはリアナスの体を押し、村のはずれへ行くように促す。

 それは、森とは反対方向だった。


「まさか、森から離れろってこと? 森で何かが起きてるの!?」

「ぶるっ!」


 フレイは頭を縦に振り、その質問を肯定する。


「なるほどね。……わかった! 村の人たちをこっちに誘導すればいいのね!」

「ぶる」


 フレイは激しく頭を縦に振る。

 ちなみに、これはフレイの独断だ。


 フレイの考えに従い、リアナスは村のはずれに村人たちを連れて行った。


 普段、物静かなリアナスが必至に村人たちを集めて話をしていたため、村人たちは何かよくないことが起きるのだろうと察することができた。

 だから、みんなリアナスの指示に二つ返事で従った。




 村人全員を避難したその直後、森から1つの影が飛んできた。

 





 ――間一髪で、棍を水平に構え、謎魔物の攻撃を防ぐ。


「ぐっ!! なんちゅーー馬鹿力だ……ヨッ!!」


 大剣を弾き飛ばす。

 その勢いで、謎魔物は大きくバランスを崩す。


 まずは内部破壊だ。


「──『音砲ショックキャノン』!!」


 貫通、範囲攻撃の『音砲ショックキャノン』だ。

 効きはいいらしい。謎魔物は大きく揺らめく。


 そのまま、倒れ──


「──は?」


 倒れるだろうと本気で思っていたオレが愚かだった。

 目の前にいる謎魔物は、連合の隊長よりも強い。


 倒れ際に大剣を振るい、斬撃が飛んでくる。

 そう、オレたちが使う技術スキル、『飛撃』だ。


 油断していたため、反応が一瞬だけ遅れた。だが、なんとか間一髪で避けることができた。


 左腕に掠り、服が破けた。が、腕は無傷だし、服も瞬時に治った。


 謎魔物の放った『飛撃』は、大木を数十と斬り倒した。


 この方向はたしか、村だったな……。このまま『飛撃』を撃ち続けられたら、いつか村に届くかもしれない。

 位置を変えないとな……。



 

 …………ちっ! 

 位置を変えることができない。


 横に動こうものなら、『飛撃』で牽制してくる。

 こいつには、騎士道精神でもあるのか?


 と思ったオレが愚かだった。愚か2回目だ。


 謎魔物は大きく跳躍し、オレを飛び越えていった。

 まさか……!!


 ──『人』の気配、匂いを感じたのか!!


 急いで追いかける。

 幸い、そこまで足は速くないようで、すぐに追いつけることができた。


「お前の相手はオレだと──」


 ──ドンッ!


 ノールックで押し飛ばされた。

 ……が、手は打った。


 オレの右腕から『晶鎖』を伸ばし、謎魔物の体に巻き付ける。

 間に木の枝を挟んでいるため、滑車の原理で必要とする力が軽くなる。


「捕まえたぁ……!」


 そして、謎魔物はようやくオレを敵と認定したらしい。

 向かい合い、謎魔物の体をよく観察する。


 正体不明。奇怪な技を保有している。

 進化型や異形型に加え、突然変異まで持ち合わせているのか?


 だが、重くて持ち上がらない…………!


「──『晶弾』」


 あの毛皮に『晶弾』は効くのか……効かないのか……。


 …………効いた。


 だが、あまり深くは入っていないっぽい。  

 浅そうだ。


 しっかし、こいつの正体はまったくわからない。『不可知の書』で検索するが、何もヒットしなかった。


「なら……これだ! ──『晶装・そう』!」


 水晶で槍を3本作り出し、謎魔物目掛け放つ。 

 が、それが謎魔物に届くことはなかった。


 謎魔物が手に取った大剣を、一瞬で何閃も振るい、すべての攻撃を打ち消した。


 それどころか、その攻撃はすべて『飛撃』だった。 

 おまけに、恐ろしく速い。

 避けるのも、近距離だったこともあってギリギリだった。


「──『晶皮』!」


 避け切れず、左肩に当たってしまった。『晶皮』でダメージは大幅に軽減させることができたが、元の威力が大きかったため、軽く斬れた。

 傷口は深くはないおかげで、戦闘の続行は可能だ。


 それに、今ので『晶鎖』がバラバラにされた。……が、オレを敵として認識しているようなので、逃げることはない。


 今度はオレから行かせてもらおうか!


 棍を構え直し、距離を詰める。

 そして、腹目掛け、6連突きを放った。そして最後に、大振りの一撃を放つ。


 それで、謎魔物は吹っ飛んでいった。追撃の一手として、『音砲ショックキャノン』を放つ。

 範囲を極限まで絞り、威力を上げる。狙ったのは、頭。


 しかし結果として当たったのは、幸か不幸か、胸だった。


 …………ん? この音は……! まさか! 


 謎魔物が飛んで行った方向から、波の音と船が揺れる音。

 船がある、ということは、人がいるということ。


 木々をすり抜けながら進むと、すぐに(・・・)森を抜けた。そこは、先ほどまでオレのいた村──クラーク村だった。


 だが、人はいない。仰向けに横たわった謎魔物以外。

 仮面を外し、村に入る。


 ちょうどそのとき、フレイから村人の避難の完了の意思が伝わってきた。


 オレは指示を出した覚えはないので、これはフレイの独断だろう。

 ほんと、賢いやつだ。あとでご褒美を上げよう。

 この意思は伝えていない。サプライズだ。


 そして、件の謎魔物はというと、ふらふらとしながら立ち上がっている。口からは血が出ている。

 ただ、そのオーラには殺気と狂気が含まれているように思えた。

 もちろん、オレの気のせいの可能性もある。


「ここはオレの滞在先の村でな。ここを荒らさせるわけにはいかない。森へ帰って…………」


 そんなオレの思いを裏切るかのように、謎魔物は周囲の建物を吹き飛ばした。


 足を振り上げ、地面を思いっきり踏む。

 それと同時に、辺りに大きな振動。それにより、建物が倒壊する。


 この振動はオレには届かなかったが、砂煙は大量に届いた。サングラスで目をガードする。


 そしてその倒壊した建物を、謎魔物が腕を振るい、建物の瓦礫を吹き飛ばす。

 しかも、これら一連の流れが一秒にも満たない一瞬で行われていた。


「化け物が! ここを荒らすなって言ったばかりだろが!」


 孤児院は離れていたため、被害はない。でも、いつ攻撃が届くかもわからない。


「ルルクス様……!?」


 ──!!

 声が聞こえた方を見ると、村長が物陰に隠れてこちらを見ていた。

 先ほどの謎魔物が立てた轟音が気になって見に来たのだろう。


「まずい!! ここから離れ──」

「は……ぁ……」 


 その瞬間、村長の体が、右肩口から左腰にかけて斬られた。

 そして村長は崩れ落ちる。


 誰が見てもわかる。致命傷だ。

 村長の体から、血が大量に流れる。だが、謎魔物のもとへ集まりはしなかった。


 攻撃がまったく見えなかった。あれがオレに向けられていたら、避け切れずに深手を負っていただろうな。


「すまない、村長さん。オレにお前を助ける技術は持っていない」


 それに、回復術師もこの村にはいない。

 もう助からないだろう。すでに虫の息だ。事切れるのも、時間の問題だ。


 村人たちを守っているフレイを呼び、村長を運ばさせる。


「よくもやってくれたな。覚悟はできてるんだろうなぁ?」


 オレの管轄下にある者を死なせてしまった。それはオレのプライドが許さない。

  

 その返答は、『飛撃』で以て返って来た。拳で語るタイプか。暑苦しいな。 






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