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【完結】戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ  作者: 真輪月
戦闘狂の水晶使い
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第85話  騎士団祭


 連合の諜報員スパイは牢獄にぶち込んだ。

 場所は城の地下牢だ。何重ものセキュリティが、侵入を阻む。


 まあ、いい。今日は騎士団祭の日だ。


 オレとターバ、【魔導士】は優勝者と戦うんだが。

 そんなわけで、オレたちは騎士団長に呼び出されていた。


「お前らみたいな加護持ちは多くないが、私と同じ聖物持ちは、現在確認されていない」

「? 聖物持ち?」

「ああ、言ってなかったか? 私のこの電気の能力は聖物の効果でな」

「聖物というのは、持ち主を選ぶオリハルコンのことですよ。変形できる武器や形は弄れないようですが、特殊な能力を保有します。それがどのような能力かどうかは、運次第ですけどね」


 へぇ……。アーサー王の剣──エクスカリバーのようなものか。

 ああ、三賢者の装備も持ち主を選ぶとか言ってたな。


「まあ、騎士団長の電気攻撃は私も使えるんですけどねぇ」

「応用力は私の方が上だがな。まあ、そんなとこだ」






 騎士団長とのミニ会議(雑談)も終わり、オレの使っている宿に、ターバと【魔導士】が来ていた。


「では、作戦会議を始めましょうか!」

「相手が決まっていない今から、か?」


 なんで【魔導士】はこんなにテンション高いんだ? 相手もわからないのに作戦会議って……。


「互いの実力もわからないんですが?」

「ああ、そうだな。だが、模擬戦は本番まで禁止されている。それがオレたちに与えられたハンデだ」

「とにかく、危険人物は……第三隊隊長、ペテル・ヴァシクス。加護はなく、魔法も使えませんが、強いですよ。加護持ちと言えば、あとは副騎士団長ですね」


 もちろん、他国の騎士と戦う可能性だってある。ヤマルとかリーインと戦ったりしてな。

 リーインは一般レベルだが、ヤマルはそこそこ優秀だからな。






 そして、オレたちの出番がやってきた。対戦相手は、鬼国──フェンゼル国だった。

 途中の試合は見させてくれなかった。

 これもハンデだと。ハンデになるか?


 その間オレは、騎士団長と一緒に格闘していた。…………書類の山と。


『さあさあ、始まりました、騎士団対抗戦最終日! 優勝チーム、フェンゼル国! そして、近衛騎士団が誇る英雄3人!』


 会場は、王都の外にある平原の一部を隆起させたもの。

 攻撃の余波が観客に届かないように、会場の周りには覚醒済みの騎士が立っている。


『ルールは簡単! 3対3の真剣勝負! 場外、失神で失格とし、これ以上の戦闘続行が禁止と判断しましたら、それもまた失格とします。3人全員失格となったら、そのチームは負けとします!』


 フル武装で挑む。

 能力に制限はかけられていない。全力投球だ。


『もちろん、防具の着用も禁止!』


 フル武装じゃなくなった。


 にしても、外でやるってことは連合への牽制もあるのか。


『では、早速始めましょう! 優勝チーム、フェンゼル国代表!』


 さてさて、どんな人なのかな? ヤマルしか知らないけど。


『双頭槍を華麗に操る! ヤマル・コラヤン! 大剣を軽々と振り回す! ヨウファン・コラヤン! そして、フェンゼル国副騎士団長! ゲラード・ヴェール!!』


 ん? コラヤンとコラヤン? そういや、兄がいるとか言ってたな。シスコンだっけ?


『そして、騎士団代表の最強3人!』


 最強…………「最」も「強」い。オレらだけじゃないけどな。どこの国の騎士団長も出場してないし。


『その名を知らぬ人はいないでしょう! 【魔導士】! 【水晶使い】! 【双剣士】!』


 全員二つ名で紹介されちゃったよ。本名の紹介も、特徴の紹介もない。

 すんごい簡略化された。

 なんかショック…………。


 とりあえず、紹介された順番に会場に上がる。

 オレと【魔導士】は仮面してるもんな。どっちがどっちかわからないだろう。

 仮面と服装は全然違うから、そこで判断してもらえたら、と思う。


「ターバ、久しぶり! で、どっちがライン……?」

「こっちの、白い服がライン。まあ、戦えばわかるだろうけ──」

「──ライン! お前か!!」


 ターバの言葉を遮って、もう1人のコラヤンが出てきた。

 向こうは3人とも仮面は着けていない。

 そのため、表情はまるわかりなんだが…………お怒り中だ。


 オレなんかしたっけな? 

 心当たりは……まったくの皆無だ。


「おいお前! これ以上妹に関わるな!」

「え、なんで?」

「お兄ちゃん! 師匠に対して!」

「ヤマルは黙ってろ! 俺はお前を心配してだな!」


 ああ、修羅場だ。ってか、師匠って…………間違ってはないけども!

 師匠って言われるとむず痒いんだよ。

 

 にしても、まじでシスコンだな、こいつ。重度の。精神科は……殴れば治るか?


『えーー、喧嘩は別でやってください』

「ちっ! いいか、たらし! この勝負で失格になったら金輪際ヤマルに近づくな!!」

「あーー、はいはい」


 それだけ言うと、コラヤン兄は去って行った。


「いいの? ライン? お兄ちゃん、結構強いよ?」

「あーー、大丈夫大丈夫」


 負ける気はしない。だってチーム戦だし。

 少なくとも、落ちなければいい。2つの意味で。


『えーー、では、早速始めましょう! 構えてください!』


 オレたちは覚醒し、オリハルコンを出す。

 ターバは双剣、オレは棍、【魔導士】は短杖ワンド(普段使わないくせに)。


 ヤマルたちも覚醒する。そして、角が伸びる。

 武器は、ヤマルが双頭槍、コラヤン兄が大剣、で、え~~……と、なんだっけ、グ……グ……あ! ゲラードだ。ゲラードは身長と同じぐらいの長さの杖。


 会場の周りを囲む騎士も覚醒している。


『では、始めましょう! 3……2……1……始め!!』


 その瞬間、コラヤン兄の大剣が飛んできた。


「おぅわ!!」

 

 間一髪で避けたけど! いくら真剣勝負とは言えども!


「殺す気……か!!」


 大剣の柄を掴み、投げ返す。狙ったのは相手3人の手前。

 土煙が舞い上がり、視界が遮られる。


「死なねぇだろうが!」


 再び大剣を持って距離を詰めてきた。

 あの大きさの大剣を右手一本で振り回すって、どんだけ怪力だよ。


「──『晶鎖』」


 バックステップで距離を離し、間に『晶鎖』を出す。

 斬ることはできない。斬られると、それに合わせて『晶鎖』も動くからだ。そして、そのまま武器に絡みつく。


 ──はずなんだが…………


「はあっ!!」


 ……斬られてしまった。大剣の圧倒的な質量とコラヤン兄の怪力により、ありえない速度が出る。


「こんなものか! ライン!」

「──『炎槍ブレイズランス』」


 オレたちの間を断つように、3本の『炎槍ブレイズランス』が飛んできた。

 放ったのは【魔導士】だ。


 そう、これはチーム戦。ターバはヤマルと戦っている。

 敵の頭は後衛型のため、ただ立っているだけのようだ。手助けも何もしていない。


「ちぃっ! 邪魔を……するなあ゛ぁ!! ──『飛撃』ぃ!!」


 まるで狂戦士バーサーカーだな。妹絡みだから、か?

 それとも、もともとこんなものなのか?


「──『土壁ウォール』」


 コラヤン兄の放った『飛撃』は、【魔導士】の『土壁ウォール』を砕いたが、同時に『飛撃』も霧散した。

 土煙と『飛撃』の欠片が舞い、視界の状態は最悪だ。


「──『竜巻トルネード』」


 ん? 竜巻か?

 と思ったが、横向き(・・・)の竜巻だった。凄まじい斬撃の嵐だ。


 その竜巻はコラヤン兄だけでなく、ゲラードも捉えている。

 射程はどれだけあるんだ? この闘技場の端っこまで伸びているが……。


「んだ? その魔法はぁ?」

「私独自の魔法ですよ。ああ、死なないから大丈夫大丈夫」


 竜巻だから吹き飛ばし効果もあるようだ。


「──くっ!」


 離れていたゲラードは回避できたが、近くにいたコラヤン兄は避けれず、食らってしまった。

 だが、吹き飛ばずに堪えている。体中に切り傷ができているが……軽すぎる?


 ああ、魔力で膜を作り、攻撃を緩和しているのか。だが、そう長くは保たない。


「ならオレの相手は──」

「──『飛撃』!」


 後ろを向くと、『飛撃』が迫っていた。棍を構え、打ち消すが、次に迫っていたのはコラヤン兄だった。


「抜け出したか!」

「そいつは頼みます! ──『飛行フライ』」


 【魔導士】はコラヤン兄をオレに押し付けると、空を飛び、ゲラードに迫った。


「はは! 見捨てられたか!」

「これがチーム戦だってこと、忘れたのか? 任されたんだよ!」


 …………多分。

 



  

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