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【完結】戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ  作者: 真輪月
水晶使いの成長
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第75話  放浪者➃


 会議から一週間。

 オレは、フレイを完璧に乗りこなせるようになった。

 リンクも太く、大きくなった。そのおかげか、魔力の共有もできるようになった。


 1日でへラリア国の端から端まで駆けることができた。

 途中休憩はなかった。フレイの体力、半端ねえ。




 そして今日も、元気に王都の上空をかけっていた。空中散歩だ。

 そのとき、『通話トーク』が入った。騎士団長からか。


『ライン、今、話しても平気か?』

『ええ、大丈夫です』

『国王陛下からの勅命だ。お前の冒険者ランクを、たった今からオリハルコンとする』


 え? は? 絶対裏があるやつやん…………。


『そして各国を巡り、魔物連合の解体に努めよ、とのことだ』

『……かしこまりました』

『贈呈品の中に仮面があったな? あれは、常時着用しておけ。お前は大分有名になったからな、顔は隠すべきだろう』

『わかりました』

『旅は明日からだ。行き先は自由に決めよ。話は以上だ』


 『通話トーク』が切れる。


 有名だから、顔を隠す。理由は、主に2つだろう。 


 1つ。シンプルに、ファンの存在。 


 2つ。嫉妬による奇襲防止。こっちのがメインの理由だろう。

 シヴィルのアライバルとか。


 あいつは結局、覚醒はしなかったらしく、最強決定祭には来なくなった。

 おまけに、荒れ気味らしい。



 

 そろそろ夕方なので、帰ろうと思い、王都外の草原に降り立った。

 

「──やぁ」

「──!!」


 突如現れた気配。だがこの声は…………


「……【魔導士】アーグ・リリス……」

「久しぶりですね、ライン・ルルクス」


 そこにいたのは、黒ずくめの男だった。

 前髪も長く、鼻まで届いている。そのすぐそばには、覚醒アヌースがいた。毛は赤色だ。


「3年ぶりほどだね。実は騎士団長からの指示で、ちょっと講義をしに来たよ」


 ああ、【魔導士】もオレと同じ立場だったか。


「仮面は……すでに受け取っているようですね。それは必須アイテムですからね。あと、それ──聖火の指輪リングオブクリーンフレイムもあるようですね。とりあえず、それらがあればなんとかなりますよ」


 ホルスの仮面に、聖火の指輪リングオブクリーンフレイム

 かなり貴重なアイテムだ。

 だが、オレと【魔導士】の持つアイテムは、デザインが全く違うものだった。


 ホルスの仮面。

 オレのは、顔全体を覆う形状であるのに対し、【魔導士】のは、顔の上半分を覆うものだ。


 ただし、聖火の指輪リングオブクリーンフレイムはほとんど同じ形状だ。


「うん、その服も魔法具ですね。よしよし。必要な物はそろっているようですね。なら、講義もそんなにやる必要はなさそうです! さてさて、では早速…………」




 話はとても──短かった。いや、うん、マジで短かった。


「心に従え」


 こんなんで大丈夫かと不安になりもした。言うなら、オレたちの立場って、遊撃だよな。臨機応変に対応する必要がある役割だ。


「ただ、要請があればそちらに従え」


 当たり前だ。


「当面の目標は、魔物連合の解体だ。魔物連合とは戦え。できることなら、情報を集めろ」


 これは先日の会議でも言われたことだ。やらないわけにはいかない。


「多くの国を回れ。行ってはいけない国はないが、国によっては、立ち入り禁止の場所がある可能性もあることを忘れるな」


 これも先日の会議で言われ、さらには、騎士団長にも言われたことだ。


「──以上」


 はい、異常。いや、普通か。オレの思う「普通」は、漫画知識に基づくものだしな。


「これは世界地図です。あげましょう」

「へぇ…………これが……」


 ちっぽけな世界だ。

 陸:海は、およそ3:7。これは前世と一緒だ。だが、地形、陸の形といったものが全く違う。

 そして、一番目を引くもの。──こことちょうど真反対──対蹠点周辺は真っ黒だった。


 この星小さくない?


「ここは……?」

「そこは不可侵領域。そこは魔物が特別な変化を遂げています。そして何より、入れない(・・・・)

「入れない?」

「はい。行ったことはありますけど、何かがあるようですね」


 なるほどな。結界が張られているんだろう。


「特別な変化を遂げているのは、なんでわかるんだ?」

「中は見えるんですよ。もちろん、不可視の壁…………通称、結界は、内と外を隔離する。言ってしまえば、別世界ですね」


 ほう……。俄然興味が湧いてきたぜ……! 結界がなぜ張られているのか、気になるな。


「結界が張られた理由、それはわかりません。ですが、三賢者が深く干渉するな、と言っていたらしいですよ?」


 中に何かある。それは確定だな。まさか…………


 ────魔王?


「まあ、なんだ、そういうことです」

「いつか、近いうちに行ってみようか」

「まあ、そうですね」


 …………何か隠してないか?

 いや、なんとなく。勘でしかない。気のせいかもしれないし、根拠はないから、何も言わねぇけど。


「さて、話は終わりです。私はもう行きます」

「ああ、ありがとう。……っと、『通話トーク』を繋げてもいいか?」

「ん? ああ、そうだ。一番の目的を忘れていていました」


 大丈夫か? 案外抜けているのか……?


 


 『通話トーク』を発動させ、オレと【魔導士】を繋ぐ。これで次からいつでも『通話トーク』で話すことができる。


「これで目的は果たせました。今度こそ、行きま。このあと、エルフの国に滞在する予定です」

「ああ、いろいろありがとう」

「どういたしまして」


 そう言うと、【魔導士】は赤毛の覚醒アヌースに跨り、去って行った。その後ろ姿は、一瞬で見えなくなった。


 ふぅ…………。今日はもう帰って休もうかな。


「──おう、小僧ライン!」

「ああ、爺さん」


 なんでこの時間帯に集中してくるんだよ!


「ああ、とはご挨拶じゃの。明日から旅立つとレイハル坊から聞いたのでな。お主のことだ。朝から出るつもりだったのじゃろ?」


 おお、大正解!

 ほんの数日しか一緒に過ごしていないのに。人のことをよく見てるんだろう。長年の積み重ねか?


「ああ、正解だ」

「ふふん! わしの目に狂いはなかったようじゃの」

「で、挨拶というのは?」

「ああ、ちょっと、模擬戦でもしようかと思っての。いいか?」


 模擬戦か。

 審判がいないんだが。


 ここは草原だし、王都外だから多少荒れても、問題はないだろうけど。


「う~ん…………」

「寸止めで終了、魔法や技術スキルの使用は禁止。これでどうじゃ?」

「ふむ…………うん、大丈夫そうだな。距離は……」

「15メートル……いや、10メートルでどうじゃ?」

「それでいい」


 オリハルコンの刀を出現させ、ベルトに差す。

 もちろん、鞘付きだ。構えは居合い。技術スキルは使用禁止。『飛撃』も『重撃』も使えない。


「回復は…………ほれ!」


 投げ渡されたのは、緑色の石だった。手のひらに収まるサイズだ。


「『回復ヒール』が込められたミスリルだ」


 これが?

 そこそこ高価な品のはずだが……。1個あたり銀貨が飛ぶ品だ。

 冒険者や近衛騎士といった、死を隣人とする生業に就く者にとっては必須アイテムだ。


 低級の冒険者では1つ持っているかどうか、だ。覚醒者──魔鉱級、近衛騎士であれば、2つは所持している。


 これは、ただミスリルに『回復ヒール』を込めただけ。100パーセント込めることはできないため、術者は本来より多くの魔力を消費する。


 そんなことなので、『全快フルポーション』を込めることのできる存在はそうそういない。

 各国に、片手で数えれるだけの人数しかいない。


 つまり、ないわけではない。

 ただ、超レア。ちなみに、『全快フルポーション』のミスリルは桜色だ。






 勝負は、5分にもおよんだ。

 結果は、オレの敗北。


 爺さんの怪力による攻撃を受け続けたことによる、握力の低下が主な原因だ。

 流せばよかった、と気づいたときにはもう遅かった。


 オリハルコンは棍に変えていたいたが、片手で持っていたときに弾かれてしまった。

 

 大剣の切っ先を首に押し付けられ、敗北を認めざるを得なかった。

 魔法、技術スキルが使えていたら、なんて考えてもしょうがない。

 明日からの旅で、もっと強くなれることを願うのみだ。




 



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