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【完結】戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ  作者: 真輪月
水晶使いの成長
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第45話  体育祭➃

 いよいよターバとの模擬戦が始まる。


 本気で戦える(・・・)のは久々な感じがする。

 いや、実際久々か。もう2月半前か。


 あれ以来、やってないからなぁ。血沸き肉躍るとはこのことだな。






 いよいよラインとの模擬戦か。

 本気のラインとやるのは、森の調査から帰ったとき以来……か。

 いい緊張感だ。

 体の内部から熱が噴き出すようだ。


 ……これは反逆戦だ。あの時よりも強くなった。お互いにな。……勝つ!






『──両者、構え。1年決勝戦……開始!!』


 オレは棍を、ターバは双剣を構えた。

 同時に身体強化も発動させる。互いに動かない。今なら、相手の一挙手一投足も見逃さない。




 数秒経った。

 どちらが先に動き出したのかはわからない。

 おそらく、同時。

 相手が動いたら動く。そう思っていた。というか、そのつもりだった。


 走りながら『晶弾』を4つ生成し、発射する。

 だが、ターバは止まらない。


 すべて弾かれた。

 無駄の一切ない動きだった。

 ターバにとって、双剣は腕の延長のようだ。自分の体の一部と化している。


 瞬く間に距離が迫る。

 そして、激しい攻防が繰り広げられた。


 オレの突き。ターバの交差させた双剣でギリギリ防がれる。 


 ターバの両斜めからの振り下ろし。上から突き下ろされた棍に防がれ、同時に胸に攻撃を食らう。


 後ろに跳ぶと同時にオレの棍を掴んで引き寄せ、バランスを崩させる。

 その反作用で体制を直し、攻撃をしようとする。


 体制を崩される。

 その中、ターバが攻撃をしようとしているのがチラリと見えたため、『晶盾・小』──小盾サイズの『晶盾』──を生成する。


 ──だが、一足遅かった。


 オレが捉えたのは、ターバの振り上げた左手側。

 だが右手側は既に振り下ろすところだった。


 よって、左腕・・に一撃をもらった。とっさの反射で、軌道上に左腕を滑り込ませることができた。

 それがなければ、こめかみに一撃を食らっていただろう。

 これで、互いに一撃。


 ちっ!  


 厄介だな。

 ターバは体を広く使ってくるからな。

 右だけ、左だけってのは無理。両方に気を付けないといけないし、オレも攻撃を入れる必要がある。


 どこかで大きな一撃を!


「「フーーーッ」」


 ターバとの距離はおおよそ5メートル。


 棍をどう使うか。

 水晶をどう使うか。

 ターバが双剣をどう使うか。


 それに、オレたちには型がない。

 つまり、決まった動きがない。途中の動きが同じでも、それから先が同じとは限らない。


 しょうがない。水晶をフル活用しよう。メインを棍から水晶にchangeだ。


 こればかりはタイミングを合わせる必要がある。

 同時に動きだす必要がな。


 だが、この互いの一挙手一投足も見逃さない状況。

 相手を誘導するなんて、屁でもない。


 …………じり


 オレが出した、体重の移動を知らせる音だ。

 体重を移動すると、足元の砂が音を立てる。そして、走り出す。


 よし! 成功だ。

 そして、コンマ数秒後、中間地点で激突する…………かのように思われた。


「──『晶壁しょうへき』!!」


 つい声が出てしまった。

 詠唱はいらないのにな。ま、イメージの問題でスゥなんかは詠唱を必要としているが。


 オレたち間に水晶の壁が現れた。

 ターバの攻撃が壁にぶつかる。その直前にオレは、壁に足をかけて上り、宙返りして後方の地面に着地していた。 


 よし、『晶棘しょうきょく』と『晶壁』の混合技、『晶壁棘しょうへききょく』だ。

 音からして、まだ壁の近くにいるはずだ。チャンスは今!


 『晶壁棘』を発動。顔、腹、足元があるであろう位置を狙った。

 万が一を考慮し、同じものを間隔を30センチほど空け、5列に発動した。






 目の前の水晶の壁から突如、水晶の棘が大量に生えてきた。ラインは俺を殺す気なのか? 

 体を横向きにして、何とか避けられたが。……これを上れば……。いいこと考えた。


 




 手応えがない。当たれば、わかるはずだが……! 上ってきてる。


 クククッ。残念だったな。

 感覚が軽くリンクしているのだよ。


 そろそろ頂点に到着か。

 さて、どうするか。ここで武器のみの戦いをするのも面白そうだ。

 ターバは水晶を気にしつつ戦わなければならないわけだしな。

 よし、そうしよう!


「よっこいせっと」 


 やっと降りてきたか。

 さて、は消すか。壁も消えて、見やすくなっただろう。

 オレたちの戦い、とくとご覧あれ……。


 互いに接近し、薙ぎ、突き、払う。

 棍の長さを生かし、双剣の同時攻撃を防ぐ。

 棍を回し、遠心力で威力を底上げし、攻撃する。

 交差させた双剣で防がれる。一進一退の勝負。


 水晶を使っても使わなくても、状況は変わらねぇじゃねぇか! と思うだろう。

 実際、少し前だとこう思っただろう。だが、今は違う。使えば──勝てる。


「……そろそろ頃合いか。ターバ。決着といこうか!」

「そうすっか!」


 互いに一度距離をとり、荒くなっていた呼吸を整える。 


 目は、油断なく前だけを見つめている。

 武器を構え直す。獲物を襲うチャンスを待つ肉食獣のように……待つ。


 周りの歓声は既に止んでいる。見飽きたのではない。

 むしろ、その逆。

 声を発することすら忘れ、観戦しているのだ。


 


 どうするか。

 水晶を使うことは、悟られているだろう。

 これで悟っていなけりゃ、ただの馬鹿だ。だが、ターバは馬鹿ではない。


 思考を戻そう。

 水晶を再び解禁する。


 だが、それによって、手段が増えてしまう。

 オレには切り札が存在しない。


 だが、ターバは? ターバは有しているのか?

 ……わからない。


 切り札には、いろんな使用用途がある。


 1つ。最後の手段。劣勢な状況を覆す可能性が、切り札に存在する場合に切れる手だ。


 2つ。早めに切り、相手に自分の実力を錯覚させる手だ。

 ただ、その時点で勝率をかなり高くなるようにしないといけない。


 3つ。切らない。もしくは、切ったことを気づかせない。

 相手は切り札を──相手が切り札の存在を知っている、もしくは感づいている場合、相手が馬鹿でない場合のみ──警戒し続けることになる。


 ターバは切り札を有しているのか。オレの切り札は何なのか。


 これを今一度考えなければならない。


 ターバの切り札。

 ターバは双剣士。攻撃魔法の適性はなし。考えられる手。


 武器を片方投げてくる。……ターバは剣が1本でも戦える。だが、水晶で防げる。


 突進攻撃。……オレの大きい行動が制限される。水晶が間に合うかどうか。

 だが、オレが合わせて後退すればいい。


 オレの創造の範疇を超える攻撃。……わからないな。切り札と呼ぶにはお粗末なものばかりだ。


 そして、オレの切り札は? 

 威力で考えるなら、『晶拳しょうけん』か?


 悪い手ではない。が、生成する間に攻め込まれる。生成物が大きいからしょうがない。


 機関銃のように『晶弾』を発射するか?


 大したダメージが入らないから、無視して突き進んで来そうだな……。


 ……いや、1つあるじゃないか。他の魔術師になくて、オレが持っているもの。


 知識として広まっていない、独自の技能(ユニークスキル)とも言うべきものが。


 そう、プログラミングが!


 良い案が浮かんだ。

 さて、ターバも考えがまとまったようだな。


 外野連中は何も言って来ない。体感時間はかなり長かったが、あまり時間は経っていないはずだ。

 不思議なもんだな。


「ライン、いいか?」

「ああ、問題ない。ちなみに、オレたちはどれくらいこうやっているんだ?」

「さあな」

「そうか。じゃ、行くか!!」

「おぉ!!」


 獅子と獅子。


 そう呼ぶしかなかった。

 それも、ただの獅子ではない。お腹を空かせた……否、血に飢えた獅子だ。


 この世界にいるのは「獅子」ではないのは置いといて。

 似たような魔物は存在するが、この例えはあくまで比喩だ。


 荒れ狂う獅子が2頭。勝者は……1匹しかいらない。






 観客席の一角にて。


「なぁ」

「なんだ?」

「あれ、1年坊主だよな?」

「あぁ、言いたいことはわかる。俺らでも勝てそうにないな」

「将来、どうなるんだろうな」

「さぁな。あれらは敵じゃない。それで、十分だと思うよ」

「そう……そうだな」






 再びグラウンドにて。


 なるほど、やはり切り札はなかったか、ターバ!

 アレをやるのはまだ先。今はまだだ。


 試合時間はすでに10分が経過している。

 体力もそろそろしんどいな。だが、焦ってはだめだ。

 

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