28話 クラス内戦闘②
「よーし、俺か!」
「頑張って来い、と言う必要もなさそうだな」
「完全な勝利を取ってくるから、見とけよ!」
おーおー。
堂々と勝利宣言しましたね? 吐いた唾は飲めませんし、飲ませませんよ?
ま、ターバであればいくら吐いても問題ないだろうけど。
双剣は両手に握っている(そもそも鞘がないんだ)。
2本とも片手両刃剣。
対して、相手は大剣1本。しかも、攻撃魔法は使えなさそうだ。あれなら勝てるだろう。
……余裕で。
「はい、では……開始!」
2人とも身体強化を発動し、構えた。
俺、ターバは武器を構えた。
相手は、大剣か……。戦ったことはないけど……大丈夫だろ!
「開始!」
身体強化を発動させ、構える。両手剣の構えは、大きく3つに別れる。
一つ目は、正眼の構え。これが一般的な構えだ。
二つ目は、大上段の構え。大剣を使う人がよくやる構え。剣の重量頼りの一撃だ。
三つ目は、自由型。なんでもいい、一つ目と二つ目以外の構えだ。
強者との戦闘で最も警戒すべきなのは3つ目だ。予測不能だからな。
で、相手がしているのは、大剣の典型的な構え──大上段の構え。
ただ大上段の構えは基本、反撃の構えだから……。
敢えて、ここは攻め入ろうか。何分……いや、何秒で決着をつけられるかな?
足に力を入れ、一気に駆ける。
あの時、入学式の時にラインが見せた低空飛行。アレを真似するように……!
大上段に構えていたことが敗因となる。
懐に入り、速さを維持したまま、滑らかに体勢を戻しながら回転を加え、下から切り上げた。
2撃とも、顎を狙った。
けど、まだ終わりじゃない。まだ回転の勢いは消えていない!
……回し蹴り!! 右足の踵で相手のこめかみを思いっきり蹴る!
おーー。吹き飛びました! お見事!
「勝者、9番、ターバ・カイシ!」
……瞬殺じゃねぇか、ターバよぉ。
あーあ。相手さん、気絶状態してるよ。
オレ、ラインはターバの試合結果に唖然としていた。
まあ、半分予想通りであったがな。ここまで圧倒的だったのは予想外だった。
「ライン、どうだった?」
「倒すのに何秒だ? 10秒前後だと思うけど……」
「そんぐらいじゃね?」
「そうか……。まあ、感想を言うとしたら──」
「ターバ、おめでとう! 相変わらず強いね!」
「──だ」
間に入ってきたのはヤマルだ。
あの日曜日以降、オレたちと一緒にいることが増えた。
ヌーとクォーサは別だ。たまに話すけど。
で、話を戻すが、ヤマルがターバの後ろからやって来るのが見えたから、何を言うかを予想し、予想通りの言葉をターバにかけた。
それに便乗し、タイミングを合わせた。
「……ありがとさん」
クラスは40人だから、残り何回やるんだろ? 最終的な勝者は1人だから……40−1で39回か。
で、ヤマルとターバが試合をして、10分と少し……。ターバが速すぎたからなぁ。
1試合10分だとすると、390分。6時間と半分……。
ターバみたいな瞬で勝者をつける人物がいるから……5時間ぐらいかな。
昼は弁当だけど、どうするんだろうか?
各自で時間を見つけて……?
今日のメニューなんだっけな? 朝、ロイズが言っていたはずなんだけど……。
「──開始!」
あ、次の試合が始まった。ふむふむ。魔術師対魔術師か……。
『火球』や『水球』の撃ち合いか。ただ、片方は『水盾』が使えるらしい。
大きさは小盾程度か。
フォーレンさんは、大盾ぐらいまで作れたっけな?
まあ、そんなもんだろ。
どちらもいまいち決め手に欠けるな。これは長引きそうだ。
まだか……。そろそろ15分経つぞ? なんで、真正面から撃ち合うかね?
敵の足元に『火球』なり『水球』なり撃ち込んで砂煙をあげ相手の視界が悪化したその隙に魔法を連発すればいい話なのによ!
「足元に撃ち込めばいいのにな」
ターバも同じことを考えていたらしい。
ほらほら。他のみんなが退屈そうに……してない。おしゃべりしてる。退屈を越えたか。
なんなら、試合を観てるのオレとターバぐらいのもんだ。
ヤマルはヌーとクォーサのところで喋ってる。
「どっちの魔力が先に尽きるか……か」
「俺の言った方法か、どちらかがミスをするか」
「それしかねぇな」
数分後、ようやく決着がついた。
負けたのは、『水盾』が使える方。
敗因は……魔力切れだ。この試合だけで20分かかったぞ。
現在11時過ぎ。そろそろ腹が減ってきた……。
昼飯はいつだよ〜。で、メニューはなんだよ〜。肉だった気がするんだが……。
なんか駅弁みたいだな、と感想を抱いたはずだ。
「はい、あと4、5試合したら昼ごはんですからね。次は……20番、スゥ・フォナイ対31番──」
お、スゥ・フォナイか。最初に当たらなくてよかったぜ……。
彼奴の実力は果たして一体……? 汝の力の底、見せてもらうぞ?
なんちってな。
「おお、ラインと同じ、属性特化じゃん。火……だっけ?」
「そうだな」
「んで、相手さんは……同じく魔術師か」
「切り札は……多分あの短杖だな。攻撃魔法は使えるが、習得していないものをあれで補うつもりか」
「お互いにな」
2人とも、魔法が込められている短杖を所持している。
魔法が込められている短杖は、魔力を込めると、込められている魔法を発動できる代物だ。
『火球』が込められている短杖に魔力を注ぐと、『火球』が使える。
デメリットとしては、本来その魔法を使うより若干消費魔力が多いこと、短杖が壊れたり離れていたら使えないこと。
だからみんな、魔法を覚えるわけだ。
「──開始!」
遠隔試験の時に、スゥ・フォナイを見かけた。
放つ小さめの『火球』は全て的に当たり、試験官相手に無傷で勝利した。
……オレも同じことをしたのは置いといて。
試合開始の合図とともに行ったのは、身体強化。だが、次にやったことには、さすがにちょびっとだけ驚いた。
「──『火壁』」
スゥ・フォナイの前に、火の壁が出現した。
高さはおよそ3m、幅は5mほど。
短期決戦に出たのか、魔力量が多いのか。
相手の放った魔法は火の壁に阻まれ、スゥに届くことはなかった。
ただ、『水球』は少し壁に穴を開けた。
だが、その穴も即座に塞がれてしまった。火に、定まった形はない。
「すげぇことするじゃん。でも、攻撃はどうするのかね?」
火の壁……いや、火の膜……か?
「おそらく、そのままだろうな」
「……? それだと、ジリ貧で負けるぞ?」
「まあ、見てたらわかる」
この勝負、スゥ・フォナイの勝ちだろう。
「──『火球』」
スゥ・フォナイの放った『火球』は、『火壁』を無視して突き進んだ。
ただ、放った直後と、『火壁』をすり抜けた後では、大きさが違う。後者の方が一周りも大きかった。
つまりあれは──
「──火の膜か」
「なるほどね。自分の火の魔法はあれで強化され、敵の魔法はあれで阻まれる」
「火が不定形なのも幸いしている。オレはできないからな。いや、やろうとすればできるけど」
とはいえ、相手も馬鹿じゃない。
『水球』や『水盾』で迎撃したり防いだり、避けたりしている。
隙を見て、先程の反省を活かして『水球』を2連発。
しかしそれらは、1発目は『火球』に、2発目は『火壁』に防がれる。
「これで終わり! ──『火槍』」
スゥ・フォナイの手に、火でできた槍が現れた。それを……投擲!
『火壁』で火を吸収し、その火を利用し、加速する。
これが、あいつの必殺技……最高の一撃だろう。少し息が切れてたからな。
ん? 先生が駆け出している。 相手の女子の元へ…………
──やばい!!
そう思うと、オレも駆け出していた。あの女子に『火槍』が到達する前に、30メートルは近づかないと……!
先生も(私物の)剣を抜き放ち、こちらに走ってきているが、オレの方が先に着く!
スゥ・フォナイは、『火壁』でこちらの様子は見えていない。
よし、30メートル以内に入った!
「──『晶壁』!!」
相手の女子の目の前に『晶壁』を出現させた。
……って、何座り込んでんだ、あのクソ女!
「──何座ってんだ、馬鹿!! 早く逃げろ!」
「──早くこっちに来てください!」
オレと先生が叫ぶと、怯えたように先生の方へ走り出した。
幸い、『晶壁』は『火槍』を受けても破壊されなかった。
スゥ・フォナイは、自分のしたことを知り、深く落ち込んでいたが、勝負としては何も悪いことではなかったため、そのまま勝ち進むこととなった。
ただ、やり過ぎではあったため、深く反省している。
オレ目線で言わせてもらえば、腰を抜かして、防御もせずに座り込んでいた相手が悪いんだけどな。
たったあれだけの試合で疲労困憊? 根本的に、に修練が足りなかったんだ。
「一歩間違えたら、死んでたかもしれないからな」
「ほんとにな。もし、『火槍』が当たってたら、間違いなく脳天を貫かれていた」
まあ、相手が許したのも幸いかな。
でも、スゥは特定の相手とつるんでいるし、さっきの女子だって、その仲間の1人だった。
問題が起こるとすれば、クラス内での新しい友達作りぐらいだろうな。
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