18話 冒険者学校
「ふぅ〜」
「な、なんか……すまんかったな」
オレの一撃で腹を下したとか言ってたからな。一応謝っておいた。
「ああ、スッキリしたから気にしなくていい」
「ラインが謝る必要はないですよ。むすびを5個も食べてたロイズもロイズでしたから。それに、勝負だった。仕方のないことです」
苦笑するしかない。ゴースもミルも苦笑いだ。
「さて、そろそろ2時だな。クラス発表、どうなるんだろ」
「でも、1組はエリートクラスだろ? 成績優秀者が入る。……だったか?」
「そう。ラインは1組だと思う。魔術も武術も強いから」
「「同意見」」
ミルとノヨ、結構気が合ってるじゃねぇか。どっちも静の人間だからな。
けど、そんなことより、みんなしてなぜフラグを立てる?
オレ、フラグ立って回収されなかったことがない人間なんだけど……。
ガガ……ザー。
ボロいのかな。それとも、こういうものなんだろうか。
『2時になった。さて、まずはクラスを発表するとしよう。まずは、1組から。1番──』
さっきの人じゃないな、どうでもいいけど。オレはライン・ルルクスだから……呼ばれるのは最後の方だな。呼ばれるとしたら、だけど。
『──39番、ライン・ルルクス。40番、サヤ・ワーグ。以上、呼ばれた生徒は、体育館を出なさい』
はい。フラグ回収。
なんとな〜く、そんな気はしてた。
「じゃあな、ライン」
「ばいばい」
「また」
「また会いましょう」
三者三様の別れの言葉をドーモ!
くっそ、こういう時は──
「──あぁ、またな」
やっぱ、別れの挨拶はちゃんとしないとな。よし、さっさと出てしまおう。
「──39、40」
……。スーツを着た若い男の人が人数を数えていた。この人が担任なんだろうな、多分。当たりなのかなぁ。当たりだといいなぁ。
「よし、全員来ましたね! 僕が君たちの担任をする、クーラ・デインです。明日のHRでも自己紹介するから、今は覚えなくていいですからね。さて、制服の採寸に行きましょうか。そのままついて来てくださいね」
結構丁寧な先生だな。第一印象は良いと感じた。顔もいいし。
採寸か。最初のうちはダボダボ、制服に着られてるって言うからな。
中学に入学したての頃はそうだったし。
連れて行かれたのは隣の体育館だった。
面接の時に置かれていた仕切りが、真ん中に全て集められ、大きな仕切りとなっていた。
「左が女子、右が男子です。入ったらそれぞれ服を脱いで、採寸をします。もちろん、試着できますから安心してください。やることはどちらも一緒ですからね」
先頭から別れていってるな。……女子の割合多くねぇ?
3人に2人は左に行ってる気がするんだが。気のせいじゃねぇな。よし、入るか。
「よし、それじゃ男子のみなさん、服を脱いでください。パンツまで脱がなくていいですからね。話し声は女子側に筒抜けですからね」
誰が変な声なんか出すか!
まあ、ここで意味する変な声ってのは、他人の裸体を見たときの感想交換会のことだろうけどよ。
なんかボソボソ喋ってる奴らがいる。
「女子の方からは何も聞こえないな……」
「だな。面白くねぇ」
……このかごに服を入れればいいのか。
やっぱり、こういう奴らはいるもんだ。どの世界も共通だな。
「さて、脱いだようですね。それでは、目の前にハンガーがあると思います。そこに、いろんなサイズの制服が掛かってるので、試着して、自分に合うやつを探してください。成長することも考慮してくださいね?」
まぁ、ほとんどの奴らは、成長期も終わってると思う。オレもほとんど終わったはずだ。
さてさて、さっさと決めてしまいましょうか。オレの身長は確か、今は165だったか。
あれ、物の長さってどうやって伝わったんだろ。北極点とか赤道とかわからないと思うんだけど。
ま、オレが考えてもしゃあない。あるもんはある
。それでいいじゃねぇか。
165ってことは、170ぐらいのを試着してみればいいかな。あった、これだ。
……あれ、なんだこれは? 変なのが引っ掛かってたけど、気にしないでおこう。
……ふむ、もう少し大きいほうがいいかな。175は……これか。
お! これはちょうど良さそうだ。これを基準に選んでいけばよさそうだな。
うん。よさそうだ。質感は体操服みたいだな。見た目は制服だけど。材料はなんだろ。
蚕にあたる虫はいるから、絹は存在している。
この世界にポリエステルとかあるわけないしな。
綿かな。綿か絹だろうな。
まあ、綿もどき、絹もどきなんだけど、気にすることはない。
「はい、みなさん、選びましたか? 選んだら、ハンガーに引っ掛かってた布を裸になってから纏ってください。あ、その前に用紙にサイズを記入してくださいね」
ああ、かごに入ってたあれね。えーと、175……と。
他も同様に書く。
これで、今晩辺りに届くのかな。
……で、これを素っ裸になって着ろと? まあ、水泳の授業の着替えみたいなものか。
女子の方からはキャッキャッ聞こえる。
さて、着替えたぞ。いや、脱いだぞ。
これでどうしろと?
「えっとですね。前側にマスクがついていると思います。それを鼻に掛かるようにつけてください」
怪しい集団みたいだな。ってかまるっきり犯罪組織の誕生じゃねぇか! フードはないから、顔丸出しだけど。
うお!なんだこれ、肌にピッタリ引っ付いてきた!
「え、なんだこれ! 先生、これは!?」
「もう少しすればわかりますよ。大人しくしていてください」
痛みも異常も感じないから大人しくしてるけど。……にしてもお前ら、慌てすぎ。
1分ほど経ったかな。マントが緩くなり、元に戻った。
「みなさん、自分の体を見てみてください」
……体? ……あ! なるほど、脱毛か!
あ〜、何人かショック受けたような顔してら。実際ショックだったんだろうけどさ。
あれ、魔力が減ってる。
「これは脱毛に使われるマントでしてね、着用者の魔力を使って中で火を起こし、毛を根本から焼くんですよ」
なるどな。最初に説明しろっての。
オレはいいけど、何人かが……もう立ち直ってら。復活早いなぁ。
脱毛技術は最高だな。痛みもなかった。
確かに、火の魔法が存在するんだ。
毛に引火したら大惨事だ。身体的にも精神的にも。
「さてさて、では元の服に着替えてください。次は、校内案内ですね」
体育館を出て女子と合流したあとは、学校の施設を見学した。
校舎は4階建てで、3つある。学年ごとに校舎が違う。
ただ、実技教室は共用のため、移動する必要がある。
3階、4階に実技教室があるため、その階にはそれぞれ渡り廊下がある。
端と端にあるから、計8つ、渡り廊下がある。
そして教室は、大学の教室のようだった。
5列あって、段々となっている。教室の広さは……中学校と奥行きは同じくらいだが、横に広い。
その後、実技教室を案内され、寮へ向かった。
寮も校舎と同じく3つあり、学年毎に別れていた。
「これが、君たちの入る寮ですね。1階は、食堂と対談室。2階と3階は部屋です。部屋は個室ですね。ま、あとはこのプリントを配るので見ていてください。なくさないでくださいね」
ほうほう。部屋は個室……と。最高だぜ!
ま、こういう場合、壁が薄くて隣の声が良くも悪くも聞こえるもんだよな。
おっと、プリントが回ってきた。
「一応、大切なことだけ読みますね。食堂でご飯を食べるんですけど、部屋で自炊もできますので。他には──」
プリントに目を通しておこう。
食事の時間
朝……6時〜7時30分
夜……18時〜20時
昼は弁当を出します。
休日は昼も空いています。
その他の家事に関しては、自分でやるこ
と。ただし、そのための道具は揃っていま
す。
「こんな感じですね。部屋には名札が掛けてありますので、わかると思います。さて、質問がないようであれば、ここで鍵を渡し、解散、となります。……それじゃあ1番の人から鍵を取りに来てください」
えーと、オレは119号室……。番号順じゃないのかよ。2階は男子、3階は女子。
……なんで女子は上の階なんだろ。修学旅行も、女子が上の階だったよな。
ま、いいか。119ってことは、男子は19人なのかな。
さて、部屋も見つけたことだし、入りますか。
中は意外と広い。洋風な部屋……というより、畳とかの和風の部屋ってあるのかな。
中学生が畳の作り方なんか知るわけないもんな。ないよな。
寝床はベッド。二人分はあるな。
そしてキッチン。ちゃんと料理に使う魔法具も揃ってる。
トイレと風呂は別か。風呂も足を伸ばせるほどの広さがある。
……下手なアパートよりいいんじゃないか? あ、掃除ロッカーまである。
キッチンにあった魔法具、よく見ると一般の家庭でも使われるやつだ。オレの家にもあったのと同じやつだった。
これなら使い方も慣れてるし、料理男子を目指せるかもな。
この世界じゃ、家電が全部魔法具なんだよな。
しかも、性能は家電以上。魔力を使われるけどな。
すげぇな、この寮……というより、学校。
こういうところでちゃんとストレスを軽減させてるんだなぁ。
もしかして……ストレスかかるのか?
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