表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ  作者: 真輪月
最強の更に先へ
159/162

第147話  魔導書

 オレが神の後頭部に棍を、ターバが神の腹に蹴りを加えた。


 神はオレの突きは首を捻って躱したが、ターバの蹴りは少しずれ、肋骨に当たった。

 バキッと、骨が折れる音がした。


 そろそろ……決着の時だ。


 神の腹の内は読めないが、これまでの神の記憶から、神が有するであろう切り札を予想することはできる。

 オレの予想が正しければ、最大でも神はあと一つ、切り札を残している。


 ふむ。

 ささっと切らしてしまおうか。


「──『虚無情報フォールスパッチ』」


 神に空虚な情報を送り込む。

 次はない。パッチでも、遅れる容量に限界はある。2回送り込めただけでも大したものだ。


「ぐっ!」


 一瞬にも等しい時間、オレは神の思考回路に干渉する。

 だが、【思考加速】のあるオレにとって、問題にならない。この干渉は、緻密さを必要とする。

 つまり、【知】の専売特許だ。


 ──来た!!


 オレは干渉した瞬間、神の思考回路をバレない程度に弄った。

 Aを取ろうとしたが、Bを取った。ではなく、Aを取ることには間違いがない。ただ、右手で取るか左手で取るかの違いでしかない。

 その程度の違いでしかない。


 ……ふむ、やはり、切り札を持っていたようだな。

 ターバ同様、寿命を削り、全能力を超上昇させる。神はそれに加えて【魂】系列の加護を核にしているため、上昇値が高い。

 

 ……加護の上昇値と神器の上昇値は比べ物にならない。

 だが、オレとターバの2人がかりで抑え込めているのが現状だ。


 神は実質、完全解放された加護を2つ持っているため、強いのは納得がいく。

 だが、オレと戦えているのは……。


 オレがまだ、神器の力を解放しきれていないせいだ。

 だが、こればかりは時間の問題だ。この状態で戦うしかあるまい。


「いい加減煩わしい! ──『全能力値上昇フルポテンシャル』!!」


 ふっ……単純なやつで助かった。

 切り札を切るタイミングを早めただけ。そりゃ、違和感なく使うだろうな。


 それで『全能力値上昇フルポテンシャル』は脳の制御装置リミッターを外すことだ。

 オレのアシストで、若干外れやすい……制御装置リミッターに干渉しやすくさせた。

 

 神の纏うオーラが強くなった。

 制御装置リミッターなんて、そうそう外れるものじゃない。火事場の馬鹿力って言うほど、いざという時しか外れない。

 死中に活を求めよ、というやつだ。


 神の今の魂と体は、本来別々だったもの同士。だから、制御装置リミッターが外れやすい。


「──死になさい!」


 神はオレの眼の前にまで、一瞬で距離を詰めてきた。

 ……想定済みだ。


「──『魔導書グリモワール』 ──『盾』」


 オレは神器である本を顕現させ、空中で本を開かせた。

 その中の1枚が切り取られ、オレと神の間に割り込んだ。

 神が紙に触れると、紙は破られる──ことはなく、神の攻撃を完全に防いだ。


「神器とは……厄介ですね」


 そう、神器は厄介なのだ。

 

 神器は世の理そのもの。

 破壊不可能……イモータル・オブジェクト、というやつだ。


 残念だが、『盾』は2枚までしか展開できないうえ、守備範囲が狭い。

 

 だが、これは切り札ではない。

 切り札の1つを切ったとき、これは必要なくなるしな。


「──『炎龍』」


 神は炎の龍を生成した。


「──『滝雷』」


 しかしターバが上空から雷を含んだ水の塊を落とし、『炎龍』は鎮火された。


「──『炎の書』」


 本からページが更に切り取られ、神を囲んだ。

 すると、ページに魔法陣が描かれ、そこから灼熱の炎が噴射された。


「──『水檻』」


 神は水で自分を包んだ。

 炎と相討ちか。水蒸気で紙が濡れるが、どうせ使い切り。限界もないし、問題ない。

 魔法1発が消されたようなものだ

 

「その程度ですか? あなたの神器は戦闘向きではない──」


 ──ドズンッ!!


 新たに用意した紙から土の塊……岩が発射され、神の腹に命中した。


 神が怯んだ隙に、更に紙を切り取り、神を覆う檻とした。

 魔法よりも、発動までの時間が短い。しかも、魔力の消費量は同じだ。


「な……!?」

「──『殲滅の書庫(アサルトライブラリ)』」


 紙の檻の中では、様々な属性の魔法が光線となり、雨のように神に降り注ぐ。

 地面の中に潜ることができないよう、地中にはバリアが張り巡らされている。

 そして、光線は檻の……半球の中心に向かって降り注ぐ。

 その降り注ぐ魔力でもって、地中のバリアは維持、強化される。


 そして、半球の上空に神器を浮遊させているため、ページが消えても次々と追加される。

 しかし少しばかり、消費量に供給量が追い付いていない。


 まあ、これで決着がつくなんて思っちゃいないし、つけるつもりもない。

 こんなもので、神は消滅しないし、消滅させる気もない。

 これはまだ準備段階なんだ。死んでくれるなよ?


 ああ、反撃はできない。

 地中のバリアが神の体外に出た魔力も吸収するからな。

 肉体攻撃も、この紙は破れはしない。





 5分後、ようやく『殲滅の書庫(アサルトライブラリ)』が終了した。

 供給が追い付かなくなり、開いた穴から神が飛び出してきた。魔法は射線を変え、飛び出してきた神に全弾命中する。


 ドサッと、神が地面に受け身もなく着地した。


 あの光線の雨の中に5分以上晒され続けたにしては、軽傷のようだ。

 だが、五体満足ではないようだ。


 だが、すぐに魔法で代わりの手足を生成する。

 だが、受けたダメージは決して軽くない。残り魔力も残り1割にも満たないか。間違いなく瀕死。

 よかったな、オレが切り札を使わせなかったら死んでたぞ。

 死んだら死んだで、またこの世を彷徨うだけなんだろうけど。


「かふっ」


 神が血を吐いて倒れ込んだ。


「──『雷槍』」


 ターバが雷の槍を大量に生成し、神に飛ばす。


「──『封印シール』!!」


 その瞬間、ターバが消失した。

 封印したか。しかし、封印師でないため、完全な封印とまではいかない。


「ターバは私の魂に封印しました。いくら貴方でも、魂には攻撃できないでしょう。ターバも、魂は不死ではありません。……終わりです」

「……お前がな」

「────!?」


 神が鼻血吹いて倒れた。


「何を……?」

「自分の体、見てみろ」

「……? ──!!」


 そう、神の体はズタズタだった。

 無理やり使用した『封印シール』が仇となったな。


 神が何かしら大技を使用することは読めていたから、その隙に体と魔法でできた手足の接合部を亀裂を入れた。


 それに、ターバは加護持ちで、加護の力を(できる限り)最大限引き出した天災だ。字は間違っていない。

 その魂が、一般人の魂と同レベルのはずがない。


 神は、オレのお手手の中で転がっていたというわけだ。


「さて、これまでお前は何人、犠牲にしてきた? ……と聞きたいが、オレも魔物の命を奪った。【戦闘狂】と言われるぐらいにな。それに、オレはこの世界で目いっぱい生きた。奇しくも、お前のおかげでな」


 オレは神に近づき、そう言った。

 神にはもう、動く気力も体力もない。ターバを封印から解けば、その反動で死に至る。


「お前は、自分が死んだあとの算段すら立てているだろうな。だが、オレはお前を……魂ごと消滅させることができる」


 オレには、神を倒す術が2つ、用意されている。

 片方は、永劫封印。もう片方が、消滅。


「神に祈る間を……ああ、お前が神なんだったな。神殺し……悪くないな。それじゃ……今度こそ本当に」




 ────死ね

 




 ────────────────────

ブックマーク、コメント、星をつけて頂けると嬉しいです!

皆さんが読んでくださることが、私の作品を書くエネルギーへと変換されているのです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ