剣術闘技大会
とうとう異世界初の街へと辿り着いた春樹達。リーシャに連れられてシャーナの門をくぐると中世のヨーロッパの街並みが見えた。
ゲームの世界に来たような感覚に二人は驚きつつ内心興奮していた。並ぶ店には剣や盾が描かれた旗が靡いている。
(本当に異世界に来たんだね。」
「気を付けろ。今のお前らは魔族、それも魔王と高位魔族だ。人間、それもあの勇者にそれがバレたら面倒事は避けられない。)
(はい。分かりました。)
春樹はソリュウの注意を聞きながらリーシャを見る。さすが勇者の娘というべきなのかそれとも彼女自身の人望なのか彼女はこの街では人気者で街の人達から声をかけられていた。
「リーシャ、この前はありがとうね。」
「リーシャ!剣は大丈夫か!?そろそろ俺のところに研ぎにこいよ!」
「リーシャ、一緒に遊ぼう!」
人々から声をかけられているリーシャを見て春樹達は驚嘆していた。すると、気になる単語が聞こえてきた。
「リーシャ、今回も剣術闘技大会に出るのかい?」
「ごめんね。今回はちょっと出れないかも。」
「剣術闘技大会?」
春樹が気になっているとレイが説明してくれた。
「気になる?剣術闘技大会はシャーナで毎年開催されている剣術自慢が集まる大会だ。まだエントリー出来るからしたいなら行ってみればいい。」
「剣術大会•••」
(丁度いい。この大会なら殺生は御法度だし相手もたかが知れてる。お前の体に慣れるのとお前が戦いに慣れるのにうってつけだ。参加するぞ。)
(わ、分かりました。)
春樹はソリュウに言われレイに参加する意思表示をした。
「よし!ならエントリーしよう。会場はあそこに見えるコロシアムだ。」
レイさ春樹を連れてコロシアムに向かう。それに気付いたリーシャ達も興味津々で後をついて行く。
「春樹君、大会に出るの?頑張ってね!」
「はい。ありがとうございます。」
春樹はコロシアムに着くと早速エントリーした。これで32人が出場することになった。
「さてと、ここに出場する選手は皆実力者だ。頑張れ。」
「はい。」
春樹は返事すると選手がいる控室に向かった。