初恋の魔王
異世界に召還された僕の前に人ではない何者かがいた。見た目は人に見えるがよく見ると二本の角が生えていた、そして左腕が爛れ、今にも死にそうだった。
その姿に怯えているとその男が口を開いた。
「チッ、失敗か。仕方ねぇ。小僧、お前の体を貰う!」
そう言って、男が右手を春樹の頭を掴んだ。その瞬間、春樹に電流が走った。そして、春樹は倒れ男は崩れさった。その後、春樹が立ち上がったがその表情はさっきまで自殺しようとしている少年ではなく、野望を持った男の顔だった。
「くそっ。貧相な体だが、ないよりマシか。覚えていろ、あの野郎。」
男は春樹の体を乗っ取ったのだ。男は近くに落ちてた二つの剣をとり、森の中を進んでいた。
(ここは・・・どこ?)
森の中を進む春樹。しかし、春樹自身の意志ではない。何故か意識があるが体が思うように動かない。すると、何か頭に響いてきた。
(早く魔王様のところに行かなければ。)
(え、魔王様?)
そのまま森を出るとそこには街があった。しかし、そこにいたのは人ではなかった。赤や青の肌の者もいれば、角やトゲ、羽やしっぽなどが生えている者、巨人みたいに大きい者もいた。
春樹が通ると周りの魔族達は不審に思っていた。
「おい、お前・・・」
「あぁ、なんだ?」
「お前、まさかソリュウ!」
魔族の一人が春樹に声をかけるが声や目付きでソリュウと分かり動揺していた。ソリュウはそんな魔族を無視して前にある城に向かった。
その城はTHE中世の城の形をしているがどこか禍々しいオーラを放っていた。春樹がその城に入ると多くの魔族が立ちはだかった。
「ソリュウ、あんな目にあっても懲りないのか。」
「当たり前だ。俺はあの方に仕えると決めたのだ。」
「悪いが、もう新魔王派はいない。ここにいるのは全て前魔王派だ。」
「まだ俺がいる。どけ。」
「お前も死ぬんだよ。ここで。」
魔族の一人が剣で切りかかってきた。春樹はそれを紙一重で避け魔族を真っ二つにした。
「めんどくさい。邪魔するなろ一気にかかってこい。」
春樹の挑発に乗った魔族達は一斉に攻撃してきた。
しばらくすると魔族を皆殺しにした春樹が城の中を歩いていた。
(見たくない!何これ!)
春樹が悲惨な光景に現実逃避したいと思っていると大きな扉の前に立った。春樹がその扉を開けると大広間に出た。
そこには、大量の魔族と奥の玉座に座っている少女がいた。
(え、花崎さん!)
春樹がその少女を見ると花崎百合に瓜二つだった。