勇者じゃなくても君だから(短編版)
とびらの様主宰「あらすじだけ企画」参加作品です。
つまりあらすじです。
企画主の批評も届きましたので、時間ができ次第
もともとのあらすじ
↓
改訂版
の順番で並べて比較できるようにしたいと思います!
魔王が倒され、百年が経過した。その影響で魔物は弱くなり、魔法の研究も科学技術も進歩し、人間は未来の発展を疑わなかった。その魔王の復活が世界中に報告されるところから物語は始まる。
魔王を倒した女勇者の末裔であると発表された、かつては軍事国家として名を馳せたグリア王国の近衛騎士団長。だがケガのために長年戦線を退いていたため、その娘が討伐に出ると決まり、「女勇者の再来」として世界中に注目されることとなった。討伐隊の隊長となったグリア国の王子は重い期待を背負うことになった幼なじみを支えようと誓い、城から旅立った。
旅は順調だった。立ち寄った町で王子が不安を抱く国民たちに演説し、出会う人々と話をし、時には魔物を退治し、討伐隊は進み続けた。
だが魔王との戦いで要となる娘の負担を減らすためにと、魔物との戦闘で最も活躍している娘ではなく、名ばかりでも隊長だからと自分が注目を集める役を担うことに、王子は違和感を抱いていた。王子ばかりを目立たせたがる動きを不審に思い、討伐隊隊員を警戒しつつも魔王のいるという山へとたどり着く。だがそこで出会ったのは、虫の息で戦うことなどできないほど弱った邪竜だった。
邪竜は語った。邪竜を魔王と呼び、伴侶の女性を奪い、邪竜を倒したのがグリア王国なのだと。女性の生んだ邪竜の子供の子孫が娘なのだと。女勇者など嘘だと。
娘は竜の血をひくと聞いて納得するほどに強かった。旅の道中も城の階段ですら転ぶ運動音痴王子を守りきっていた。だが自分が選ばれたのは、邪竜の子孫を邪竜は傷つけないだろうという判断からと知り動揺する娘に対し、邪竜は復讐を呼びかける。
だが邪竜に睨まれても王子が退かなかった。生まれがどうあれ娘は心優しい普通の人間であり幼なじみであり、そんな娘を己のために戦いに巻き込むことは許さないと断言したのだ。
冷静さを取り戻した娘は邪竜を拒み、邪竜も王子は「女勇者の再来」を悪用しないと信じ、息を引き取った。
ただし、魔王として恐れられた邪竜が蘇ったのはグリア国の仕業であり、国王は何かを企んでいるということを警告して。
魔王が倒されたという一報が世界に発信され、言い伝えられていた恐怖の魔王の脅威が去ったと人々は安堵した。グリア国が魔王討伐の「謝礼」を各国に求め、魔王を倒した「女勇者の再来」の力をちらつかせていることを、一部の人間以外は知ることはできなかった。
魔王討伐の帰り道、討伐隊には険悪な空気が流れていた。
世界を救った「女勇者の再来」を育てたからと過剰に自国を持ち上げ、他国を見下すような噂を流そうとする者。国民を扇動するような演説を王子にさせようとする者。国民に娘を王家の「物」だと印象付けようとする者。もれなく王子の逆鱗に触れ首に。
全てが国王の差し金だと気が付いた娘と王子は討伐の緊急脱出用として使わないでいた移動魔法でいち早く城へと戻り、国王を問い詰める。国王は堂々と宣言した。この世界全ての王になるのだと。
百年前、グリア王は魔王の子供を拐い、手駒にすることで世界征服を企んだこと。しかし子供に魔王ほどの力はなく、一先ず国内に置いていたこと。
魔王が倒れ、魔物も対した脅威でなくなってからも軍事力以外は遅れているグリア王国を嘲笑する国々を恨みながら、魔王を復活させて操ることを代々夢見てきたこと。
近衛騎士団長は娘の養父であり、王の命令で実子として育てていたこと。娘の保護者である彼がケガを負ってからも団長という地位にいさせたのは「女勇者の再来」に説得力を持たせるためだとも。
魔王の子孫と知られれば憧れから一転し迫害されるだろう娘は、国王の言うとおりにする他ないのだと。
我こそが世界の王になるべきなのだと言い放つ王は、死病に冒されていた。手が届きかけている魔王の完全復活も待てない。今や己のものである悲願のため、魔王の子孫の力を全世界に振りかざそうとしているのだ。
育ててやった恩を返せ、歴代の王に報いろ、ふぬけた他国に逆らう力はないから国にいればいい、親の言うことを聞け――
反対する二人に叫んでいた王は突然倒れた。病にではなく、近衛騎士団長が盛った毒のために。
ケガにも関わらず重用してくれた王に恩を感じつつも、長年育てた子供を愛した彼は、娘を悪用されることだけは許せなかったのだ。
王の急な「病死」と王子の即位の後、王子は魔王復活の研究を廃止し娘との婚約を発表し、他国との関係を良好なものとするべく努力した。娘を「女勇者の再来」として利用することがないように。
なぜそんなにもよくしてくれるのかと聞く娘に、王子は答えた。
「君がただの幼なじみだった時から好きだったからだよ」
だから結婚してほしいと目をそらしながら言う王子に、娘もうつむきながら頷くのだった。
改行などを含んで1996文字です
なおこのあらすじの小説を書く予定はないのですが、「書きたい」と思った方はぜひ読みたいのでご連絡下さい( ̄▽ ̄)