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騎士は嵌められ内側から崩壊していった

ジャリュウ一族五龍帝の一人であるミズチの策により殺意が暴走してしまった雪蓮は美羽を滅ぼすと決意し軍を率いて攻めてきた。


対する袁術軍は一刀が向かうもその一刀を素通りし、孫策軍が城まで迫ってきたのだった。


一体何が起きてこうなったのか!?


ここで時間は少しばかり戻り


(さかのぼ)ること数時間前


パカパッ!


一刀は先遣隊を率いて孫策軍の足止めに向かっていた。


兵士「なぁ、孫策って紀霊将軍より強いんだろ。足止めとはいえ俺達にできるのかな? 」


兵士「大丈夫だって、こっちには一度孫策を倒した北郷さんがいるんだからさ 」


と、このように一刀を高く評価する者がいるなか


兵士「ケッ!新参者の将軍が偉そうに 」


一部に一刀否定派もいたりする。


そしてこの時は気付いていなかったのだが


このわずかな歯車の欠けが切っ掛けで大変なことが起こるのだった。


と、孫策軍に向けて進軍していたその時


一刀「(あれは) 」


一刀は崖に挟まれた道にて崖の上に孫策軍の姿を発見した。


一刀「(崖の上から岩や木を落とすつもりか?しかし、ここは冷静に考えて┅) 」


だがその時


兵士「あれは! 」


一刀否定派である兵士が崖の上の孫策軍に気付くと


兵士「皆、孫策軍が上から狙っている!急いで崖を抜けるんだ! 」


うおぉーーっ!!


一刀「なっ!? 」


勝手に兵士達に伝達し、彼の伝達を聞いた兵士達の多くは一刀が止めるのも聞かずに駆け出していった。


兵士「あいつら勝手なことしやがって!?北郷様、どうしますか? 」


かといって置いていくわけにはいかないため


一刀「皆、いくぞ! 」


ダダッ!!


一刀達も先行く兵士達を追うように向かっていった。


だが


ダダダッ!!


一刀率いる軍が崖を越えたその時


シュバァッ!!


兵士「何だこれは!? 」


軍の回りを水が包み込んできた。


一刀「(これはまさか!?)皆、早くこの水から脱出を┅! 」


と叫ぼうとする一刀であったが時すでに遅く


バァンッ!!


一刀達は水の檻に閉じ込められてしまった。


兵士「何だよこれ!? 」


兵士「こんな水ごとき 」


スッ┅


一刀「馬鹿っ!やめ┅ 」


水に包まれただけならば脱出も簡単


そう思い込んだ兵士が水の檻に触れようとするのを止める一刀であったが


これまた時すでに遅く、兵士が水の檻に触れた瞬間


ブシュッ!!


兵士「ぎゃあぁーーっ!! 」


水に触れた兵士の腕が切り落とされてしまった。


兵士「だ┅大丈夫か!? 」


兵士「一体どうなって!? 」


何故水がこんな威力を持つのかわからない兵士達であったが


一刀「ウォーターカッターだ 」


この中で唯一仕組みを知っている一刀がそう言った。


ウォーターカッター


水を物凄い勢いで噴射させたものであり、その威力は鉄をも切り裂く


水の檻、そしてウォーターカッター


全てに共通するのは水であり


一刀「まさか!? 」


ここで一刀の頭の中にあるパズルが出来上がった。


突然起きた孫策の反乱、怪しげな水の力とくれば┅


ミズチ「その通り、僕の仕業さ 」


バァンッ!!


一刀「やはり貴様かミズチ! 」


檻の外にジャリュウ一族五龍帝のミズチが現れた。


ミズチ「しかし、こうも簡単に罠にかかるとはそれでも王宮騎士団(ロイヤルナイツ)なの?悲しくって涙が出ちゃうよ 」


一刀「フッ、孫策を使うとは自分の手を汚さず他人の力を利用する外道のお前らしい戦法だな 」


五龍帝にはそれぞれポリシー的なものがある。


ファーブニル、クロウクルワッハ┅卑劣なことはしない正々堂々戦うタイプ


ニーズヘッグ┅特になし


ヴリトラ、ミズチ┅他人の力を利用し、どんな手段を使ってでも勝とうとするタイプ


といった具合である。


ミズチ「何とでも言いなよ。利用されるやつが馬鹿なのさ、そして僕の役目はここでお前を足止めするだけ、さぁお前達いくよ 」


ミズチがそう言うと


ギャシャァーーッ!!


呉の鎧を着た兵士級ジャリュウ一族達が姿を見せた。


そう。最初に一刀達が見た孫策軍はジャリュウ一族による変装なのである。


ミズチ「驚いた?今頃本当の孫策軍は袁術の城についてるはずさ、バイバイ無能な騎士様 」


スッ!


そう言うとミズチは一刀の前から姿を消したのだった。


一刀「(孫策が城に向かっているのならば美羽様が危ない!一刻も早くこの水の檻から脱出せねば) 」


脱出方法を考える一刀であったが


兵士「お前達が突っ込むからこんなことになったんだぞ! 」


兵士「何を!北郷なんて役に立たなかったじゃないか! 」


兵士「何だと! 」


一刀「お前達よせ! 」


兵士達がそれぞれ揉めてしまい考える時間すらも与えてくれなかったのだった。


一刀「(何か打開策があるはずだ。早く考えねば┅!) 」


美羽の危機と兵士達による内輪揉めを止めるため打開策を考える一刀であった。

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