騎士は姫を救うべし!
王宮騎士団を裏切った及川との衝撃によって別世界へと飛ばされた北郷一刀
そこで彼は偶然にも袁術こと美羽を助け城に招かれる。
だがその城には美羽殺害を目論む袁隗がおり一刀の手によってことごとく暗殺が失敗してしまった袁隗の闇に反応し、ある生物が動き出したのだった。
そしてその日の夜
七乃「袁隗様、私に用って何ですか?早くお嬢様のところに向かわなければならないんですけど 」
袁隗「まぁすぐ済むからいいではないか 」
袁隗に呼ばれ城の地下へと案内される七乃
袁隗「実は誰にも聞かれてはならない秘密の話があってな、美羽に一番信頼されているお前にだけは話そうと思ってな 」
七乃「そうですよね。やはり私が一番お嬢様に信頼されてますよね。どこぞの親族と違って 」
袁隗「ま┅まぁな 」
おだてに乗られながらも袁隗を牽制する七乃
袁隗「さぁ、お前から先に入るがよい 」
七乃「はぁいっ 」
そして七乃が先に地下室へ入った瞬間
バタンッ!!
地下室の扉が閉められ鍵までかけられた。
七乃「ちょっと!何するんですか!?早く開けてください! 」
だが袁隗から来た返事は
袁隗「間抜けな奴め、まんまと罠にかかりおって、お前さえいなければ儂の邪魔をするものはいない。美羽の奴が殺されるまでそこにいろ! 」
残酷なものであった。
七乃「そんな!?このままではお嬢様の命が!? 」
どうやってここから脱出しようかと七乃が考えていたその時
グカァーーッ!!
誰かのイビキ声が聞こえてきた。
七乃「今の声はもしかして! 」
声に聞き覚えを感じた七乃が声のする方に向かうと
一刀「ぐかぁーっ! 」
そこには一刀がいた。
七乃「一刀さん!?何でこんなところに!? 」
実は少し前、一刀も袁隗によりこの部屋で寝るよう言われ特に問題がなかった一刀はこの部屋で寝たのだった。
七乃「これは天の助けです!起きてください一刀さん、このままではお嬢様の命が!? 」
一刀を起こそうとする七乃であったが
一刀「ぐかぁーっ! 」
一刀は起きなかった。
実は一刀は一度眠ると朝になるか自分に危険がない限り目を覚まさないという悪い欠点がある。
王宮騎士団時代には仲間に武器を向けられて起こされたほどだ
しかし七乃はその事を知らないためどうすればいいのかわからなかったが
七乃「そうだ♪ 」
何か策を思い付いたようであった。
一方その頃
美羽「すやや~ 」
七乃達が大変な目に遭っているというのにネグリジェ姿で呑気に眠る美羽
するとそこへ
袁隗「よく眠っているようだな 」
袁隗が現れた。
袁隗「どんないい夢を見ているかは知らぬがこれが最後の夢となるであろう 」
袁隗は懐から小刀を取り出すと
袁隗「くたばれ! 」
ザシュッ!!
小刀を美羽目掛けて繰り出した。
ところが┅
美羽「蜂蜜水~ 」
ごろんっ!
美羽は寝相の悪さで袁隗の一撃を回避したのだった。
袁隗「おのれっ! 」
その後も袁隗は小刀を繰り出すが
美羽「むにゃにゃ~ 」
サッサッサーッ!
袁家のもつ幸運力のためなのか美羽は寝相の悪さで袁隗の一撃を回避しまくった。
袁隗「はぁはぁ┅、悪運の強い奴め!? 」
歳のせいか少々疲れてきた袁隗
すると
ジレッタイ奴ダナ、代ワリニ俺ガヤッテヤル!
何処からか声が聞こえると
ズズズーッ!!
袁隗の影から黒いリザードマンの姿をした生物
ジャリュウ一族が現れた。
しかも兵士級より階級の高い隊長級である。
袁隗「お前か、驚かすな 」
ジャリュウ隊長「とろとろしているお前が悪い! 」
どうやらこのジャリュウ隊長は袁隗と面識があるらしい
それもそのはずこのジャリュウ隊長は袁隗の負の感情によって産み出されたのだから
負の感情
それは怒り、憎しみ、妬み、悲しみといったマイナス面の感情である。
一刀のいる世界では負の感情を抱くとジャリュウ一族になるという子供に対する教育があるくらいであった。
ジャリュウ隊長「とっととこいつを殺してお前の願いを叶えてやるぜ 」
袁隗「あ┅あぁ 」
袁隗の望み。それはもちろん美羽の殺害である。
だが邪悪な心を持つジャリュウ一族がただで人間に手を貸すはずがなかった。
何故ならジャリュウ一族の好物は負の感情が解き放たれたことである。
つまり袁隗が美羽を殺すことで負の感情が解き放たれる。
そこをジャリュウ一族がバクンといただくのだった。
だがその時
美羽「うぅ~ん、何なのじゃ?寝ている妾を起こすのは? 」
あまりに袁隗とジャリュウ隊長が騒ぐため美羽が起きてしまった。
目覚めた美羽が辺りを見てみると
美羽「どうやら妾は夢を見ているようじゃな、目の前に刃物を持った叔父上と黒い化け物がおるだなんて 」
自分が見ているのは夢だと思い再び眠ろうとする美羽であったが
ジャリュウ隊長「残念ながら夢じゃないんだよ! 」
ぐいんっ!
ジャリュウ隊長は美羽のネグリジェを持ち上げて美羽を持ち上げた。
美羽「は┅離すのじゃ!?妾は美味しくないぞ!?今日はお風呂に入っとらんし、今だってちょっと漏らしたからな!? 」
風呂に入ってないのはこの時代にガスがないため風呂は毎日入れないからである。
食べられないよう必死で叫ぶ美羽だが
ジャリュウ隊長「安心しろ。お前みたいなガキは食わねえ 」
美羽「ほっ 」
食べられないと知り安心する美羽であったが
ジャリュウ隊長「その代わりにお前を殺してやるからよ! 」
美羽「なんじゃ、それなら好きに┅って、えぇーっ!? 」
安心したのも束の間であった。
ジャリュウ隊長「まずはうるさいテメェの首を切り落としてやるぜ! 」
美羽「い┅嫌なのじゃ~!? 」
じょろろ~っ!
この時、美羽はあまりの恐怖のあまり盛大に漏らしていた。
袁隗「漏らすとはダラしがない奴め、さっさと殺してしまえ! 」
ジャリュウ隊長「言われなくてもわかってるっての! 」
美羽「びえぇ~っ!? 」
美羽にジャリュウ隊長の鋭い爪が迫ったその時だった。
ビュンッ!!
ジャリュウ隊長「むっ! 」
バシンッ!!
ジャリュウ隊長目掛けて蝋燭立てが投げ出されジャリュウ隊長が尻尾で弾くと
袁隗「何者だ! 」
袁隗がそう叫んだ瞬間
一刀「危ないところだったな 」
七乃「大丈夫ですかお嬢様!? 」
バァンッ!!
そこには何かを投げたような構えをする一刀と七乃がいた。
美羽「七乃~!一刀~! 」
袁隗「馬鹿な!?どうやって地下牢から脱出を!? 」
七乃「それはですねぇ 」
ここで話は数時間前に遡る
数時間前
七乃「起きてください一刀さん!ここを出るにはあなたの力が必要なんです! 」
爆睡する一刀を起こそうと必死な七乃であったが
一刀「ぐがぁーーっ!! 」
一刀はイビキをかくだけで全く目覚めなかった。
七乃「困りましたねぇ 」
どうやって起こそうかと七乃が考えていると
七乃「そうでした! 」
ある案を思い付いた。
それは┅
七乃「お年寄りに聞きました。『地下牢はこっちか老人?』 」
?
これまた書いている西森が聞いても意味不明なのだが
『』部分を平仮名にすると
ちかろうはこっちかろうじん
ちかろうハコッちかろうジン
つまり七乃はダジャレを言ったのだ。
七乃「どうです! 」
こんなダジャレに笑う人なんていないと思われるが
一刀「ぶふっ!ギャハハっ! 」
ダジャレには超絶弱い一刀には効果抜群だったようでその威力は寝ていながらも起こすほどであった。
その後、目を覚ました一刀は七乃と共に地下牢を出たのだった。
一刀「まさかこの世界にジャリュウ一族がいるのは驚いたが王宮騎士団として成敗する! 」
一刀はそう決意したのだった。