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弱小メディアは生き残るのに手段は選びません

作者: ときどきねこ

「お疲れっす」

俺は現場前に集合してる仕事仲間に挨拶する。

今日の仕事は毎朝新聞社の兵庫支社だ。


仕事仲間たちは慣れたように着々と準備を進めはじめていて、

入り口前に脚立を並べ、ライトのセッティング、カメラの準備、さらにはアルバイトで募集した記者もどきに今日の手順を説明している。


俺の仕事は客から仕事を引っ張ってくる営業職なので、現場ではあまりすることはない。

だが、受けた仕事の目的を把握しているのは現場よりも営業担当と言うこともあり、不測の事態が起こった時の対応のために毎回顔出しには来ている。

ただ、今回は出張案件なので気持ちが仕事終わりに向いてしまっているが。


「ターゲットの動向は?」俺は現場担当の杉本鉄平へ質問をしてみる。

「道也さんの情報通りっすね。19時過ぎには帰社して今は記事を書いてるところだと思います。」

「俺の情報ってもな~。ターゲットが取材している相手の帰宅時間は18時前後。

そこから囲み取材して戻るだけなんだから誰でも想像できる。しかも、その取材されてる本人から連絡があったんだからな」

「それでも、ターゲットはよほどのことがない限り23時前には会社を出るって調べてくれてたから僕らも安心して準備できるんすよ。

このタイプの仕事って相手が何時に出てくるか分からないから無駄な時間が多いんですよね~。

その時間が減るだけでストレスも減りますし、」

「バイトに払う金も少なくなるしな」

「そう!それですよ! 何もしてない待機時間なのに手当が加算される分バイトの方が僕らよりも時給換算だと高給取りになりますからね」

「でも、今回に限っては臨時ボーナスも期待できるから心配すんなよ」


気の知れた同僚の鉄平と雑談していると今回のターゲット“枡谷 耕三”が出てくるのが見えた。

「予定より早めだったな。鉄平、行くぞ」



会社から出てきた枡谷に対して照明をたっぷり浴びせ、記者5人(内アルバイト3人)とカメラマンでターゲットに突撃していく。

「今回あなたが書いた記事のことで取材させてください!」

「今回の事件での加害者家族への取材方法についてお聞きしたい!」

「加害者家族の家に石が投げ込まれたということへの責任は感じますか?」

「あなたの記事で不幸な人を増やしたという実感はありますか?」


口々に続けられる質問に枡谷は狼狽えていた。

“なぜ自分がこんな状況に?”とでも思っているような表情だ。

彼の口からは「質問は会社を通してください。」「どこのメディアの方ですか?」「こんなことをしてただで済むと思っていますか?」など、質問に対しての回答はないが、声を出すたびに驚きから怒りに感情が変わってきていることが分かる。


ついには声を荒げながら「どこのメディアだ!答えろ!」とアルバイトに突っかかり始めたので、俺はそろそろと前へ出て名刺を差し出しながら名乗る。


「株式会社メディニュースの近藤道也と申します。主にメディアに対しての取材活動を行ってネットメディアを利用して配信している会社でございます。

今回は、先月神戸市内で発生した高齢者ドライバーによる親子ひき逃げ事件での、加害者家族への取材体制、記事内容、さらにはあなた個人アカウントSNSでの誹謗中傷について取材したく待たせていただいておりました。」


「メディニュースだと?聞いたこともないな。弱小メディアが大手新聞社にこんなことして良いと思ってるのか?しかも取材のルールも知らんような会社では話にならん。

お前たちに話すことはない。道を開けろ!」


「いや~参りましたね。取材のルールですか?

私たちは今回あなたの取材方法を真似て対応させていただいております。

あなたは一般個人を相手に毎回こんな取材をしているんですが、ご自身にされるのはお気に召さないでしょうか?

それとも何でしょうか?大手新聞社の毎朝新聞の記者である自分は特別だから、そういった取材も許されるということでしょうか?」


「ふっ、ふっ、ふざけるな!

あいつらは人間のクズだ! 幸せな親子二人の将来を一瞬で壊した殺人鬼だぞ!

そんな奴らのことを少しでも調べて日本中の方に知ってもらうことは新聞記者の使命だろ!

しかも、ヤツらはクズのクセに人権なんか持ち出して抵抗しやがって、だから俺たちも気を使ってやって写真にはモザイクを掛けたり、名前を隠してやっているだろ!

俺たちも法律で守られてるところまでは報道しない!

だがっ、俺の記事で世論が動いて法律が変わることだってある!

そのための報道で、そのための取材だ!

俺は日本のために仕事をしている!お前らみたいな三流ネットニュースと一緒にするな!」


「ご高説ありがとうございます。

確かに世間への影響力と言う点で我々が御社と肩を並べるなどおこがましくて言えるはずもございません。

私たちは小さいからこそできる点で特色を出していくつもりでございます。

今回の取材も柵がある会社ではできないことだと自負しております。


さて、本筋に戻させていただきますと、あなたが取材されている内容の大本は確かに高齢者ドライバーによる無情なひき逃げ殺人事件でした。

人通りが少ない道を時速140km以上の速度で走り、親子二人を轢いたうえで、警察にも救急にも連絡せずに走り去ったわけですから。

ただ、事件を起こした本人は既に起訴されており刑が確定するまでは高齢を理由に自宅で待機されている状況です。本人の罪の重さは国によって裁かれるでしょう。

それに対してあなたが行っていることは本人ではなく、その周辺。息子さんや、お孫さんにまで取材対象を広げられているようです。


その結果、お孫さんは学校でいじめの対象となり現在は引きこもり。

息子さんは会社にまで押し掛けたあなたの影響で上司から仕事ができないとクレームが入り、当面の間は休職することになったみたいです。

事故を起こした人の家族と言うだけで、ここまで非難される必要はあるのでしょうか?」


「そんなことは俺には関係ないだろ!俺は国民の知る権利を守るために、国民が大きく関心を寄せるこの事件について取材して真実を報道している!

その真実に対して国民がどう反応するかは俺の責任じゃない。馬鹿な行動をするやつがいたとしても、それはそいつの責任だ!俺に擦り付けるな!」


「確かに今回の事件・事故に関わることであればある程度同意するのですが、あなたの取材範囲は明らかにそれを逸脱しているようにも感じますがいかがでしょうか?」


「逸脱?加害者家族の動向は必要情報だろうが。今も同居してるなら特にな。

それが嫌なら本人を表に出して謝罪なりさせればいいだろ!

それをせずにかばっている以上、家族も同罪だ!」


「だからと言って、お孫さんの学校にまで押し掛けるのはどうでしょう?さすがに学校からクレームが入ったと聞いておりますが?」


「ヤツらが素直に取材を受けないから仕方ないだろ!俺らは真実を突き止めるためにどこまでも追っかける。なのに逃げようとした。あいつら自身の責任だね。

俺は今までも、これからも言論の自由・表現の自由の実現のため何者にも屈せずに取材を続けていくね。」


「どうやら、少し落ち着いてこられたようで安心しました。

それでは今後も加害者家族への取材は続けられるのでしょうか?」


「もちろんだね。ただ、その前にやることができたな。」

「と、言いますと?」

「お前らの記事を全力で叩き潰す。お前らがどこでニュースを発信するか知らないが、全ての媒体で発信できないようにしてやるから覚悟しとけよ!」


「おおっと!言論の自由・表現の自由と言った次の言葉が言論統制とは参りました。

さすが大手新聞社は柔軟な発想力をお持ちですね!」


「お前、馬鹿にしてるのか?この世界でメディア同士のネットワークを無視して何ができると思ってるんだ?むしろ哀れだな。」


「大変恐縮でございます。あなたの個人SNSの件など、まだまだお聞きしたいことはたくさんありますが、そろそろ良い時間になってきましたので締めに入りましょうか。追加質問につきましては文書でお送りさせていただきますので、是非ともご回答いただければと思います。

それでは、今見られている、視聴者の方たちへ伝えたいメッセージはありますか?」


「は? 何言ってんだお前?」

「はい。今までの取材内容をノーカットで生配信しておりますので、ご挨拶をと。」

「ふざけてるのか?そんなことをしていたら肖像権、個人情報保護に抵触するだろ。訴えるぞ!」

「もちろん、あなたのお顔は一度も映しておりませんし、個人の特定に繋がるような氏名や住所の公表も当然行いませんので、ご安心ください。」

「ふん。焦ってしまったが、そんなコケ脅しが効くと思ってるのか?よく見てみたら、そこのカメラは回ってないじゃないか。それとも弱小メディアではカメラの使い方が分からずに生配信してしまってたのか?とんだお笑い番組だな!」


「あ~。そのカメラは予備のため準備してるだけで、今の中心はこっちなんですよ。

サっちゃん。こっち来て。この子がウチの正カメラマンの井上幸子さん。主にスマホを使って撮影してます。」

「井上です。今4媒体で生放送しており、合計視聴者が12.5万人ぐらいです。

コメントも大荒れで、どうやらこの時間にもかかわらず本社や兵庫支社へ電話してる人もいるみたいです。」


「いや~。最近のスマホの画質ってバカにできないぐらい良いですし、編集も楽で、生配信もそのままできて、何より女の子には軽いってメリットがあるみたいでしてね。

グラビアに乗せるような画質にはなりませんが、ウチはネット配信のみなんでこれぐらいで十分なんですよ。

って、話がそれましたね。

リスナーの方々へのお願いです。皆様がこの放送で感じたことは様々だと思いますが、深夜帯でのお電話など、常識から外れることはなさらないようにお願い申し上げます。

正義感を持った行動とは承知しておりますが、行き過ぎると暴力にも等しい行動となります。この報道よって報道被害者が増えることを私たちは望んでおりませんので、皆様にもご協力をお願いいたします。

さて、今までの内容でコメント欄が大荒れということでしたが、最後に一言お願いできるでしょうか?」


「これまでの発言はあくまでも私個人の意見であり、正式な取材は会社を通していただくようにお願いする。また、このような取材形式および放送は大変遺憾であり、後日正式なクレームを御社へ入れさせていただくことになるだろう。取材に対しての配慮がなかったことに、同じメディア業界にいるものとして大変残念に思う。以上だ。」


「ありがとうございました。

取材に対しての配慮、まさしく同感です。

加害者家族のご自宅、近隣、勤め先、学校などへの取材の件で同じメディア業界にいる人間として、なぜ配慮できなかったのか大変残念でございます。

今日は遅い時間の中ご協力ありがとうございました。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「お疲れっした~」

「俺は担当外の仕事までしたんだから、お前ら奢れよ」

「いや。あれは道也さんが勝手にしゃしゃり出ただけですよね~奢る理由にはなりません。」

「サっちゃん。そんなこと言う?バイトの子が絡まれそうだったから仕方ないだろ?

むしろ大樹!お前がすぐにフォローしてたら俺が出る必要もなかっただろ!」


「道也さん、むしろ俺が先に話し始めたのに、それを聞かずに割り込んできたじゃないすか。

しかも、あんな楽しそうな顔で来られたら止められませんよ」


「えっ?そうだっけ?俺はお前らが動かね~な、と思ったから割り込んだだけなんだが、、、」


「「「違います!」」」


「全員で否定!? マジで? てか、大樹が話し始めてたんなら鉄平は総合演出として止めに来てもよくね?」

「むしろ、道也さんが出てった方が面白くなるんで、そこは演出としての判断でスルーしました!」

「ふざけんな! お前らも一応今日の流れを何パターンも想定して準備してきたんだろ?

それを台無しにしてプロと言えるのか?」

「・・・それを台無しにした張本人に言われてもねぇ。」

「うっ、それはマジでスマン」

「まぁ、ウチらは慣れてきたんで、道也さんが乱入してきた時のパターンも想定済みなんすよ!

ちなみに、取材相手が美人女性だったら緊張して何も話せなくなるので、乱入しても即刻退場してもらうことまでが共通認識です!」

「お前らの中で、俺はどんな人間なんだよ。。。」

「まぁまぁ、気にしないで飲みに行きましょ。ウチらの仕事で地方出張なんてめったにないしね。LIVE配信の視聴数も今までにないレベルだったし!急上昇ランキング載ってたんじゃないかな~」

「そうだな。枡谷も思ったより早く出てきてくれたから時間もあるし、みんなで行くか!」

「近藤さん。私は先ほどのインタビューを書き起こして配信するので、これで失礼します。

みなさんも今日はお疲れ様でした。」

「あっ。はい。佐伯さん帰りますか?せっかくだからご飯だけでも食べていったら?

すぐに帰っても大丈夫だし。」

「いえ、なるべく早めに仕事に掛かりたいので、ご飯はコンビニで済ませます。」

「そっか残念。それじゃ、明日のMTGでは配信記事のレスポンスについて報告をお願いします。じゃ、他のメンツは飲みに行くか~」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

俺、近藤道也が今働いている会社「株式会社メディニュース」は、東京都江戸川区に本社を構える役員含めても10名弱の小さなネットメディア会社だ。

5年前に飲み屋で知り合った社長と意気投合して、なぜか入社してしまったが、元は金融機関に勤めていてメディアのことは、実は知らないことも結構多い。だが、メディアの常識が分からないのは、ここの会社がおかしいせいだと思う。


会社としては、普段報道する側のメディアに対して、独自目線で切り込む。というコンセプトを掲げているものの、やってることはかなり低俗だ。

いわゆるワイドショーや週刊誌の取材風景を、時には遠くから、時には間近で取材をする。

傍から見ればかなりシュールな風景が、この会社の日常風景だがもめ事も多い。

スクープ狙いの記者からは「お前らが付いてくるからホシに気付かれた!」とか、ワイドショーのカメラマンからは「俺らは見せもんじゃねぇ!」と怒鳴られることもしばしばだ。

自分たちは無遠慮に撮影しまくってるのに勝手な話だ。


そんな会社の中での俺の仕事はライターでも、カメラマンでもなく営業職だ。広告を取ってくるというような全うな営業ではなくて、「どこどこ新聞の記者に突撃取材してほしい。」とか、「○○テレビのリポーターの態度が悪いから困らせてほしい」とか、普段からメディア特権に辟易している国民から直接、またはクラウドファンディングを使って間接的にお金を集めている。


先日の毎朝新聞兵庫支社への突撃は、枡谷記者からの取材攻勢で辛い思いをしたという、交通事故加害者家族からの直接依頼だった。

依頼内容は、普段自分たちがしている取材が、どれぐらい相手を苦しめているのか理解してほしい。と言うもので、決して自分たちへの謝罪が欲しいというものではなかった。

そのため、あの日を皮切りに1週間毎日会社、自宅、奥さんのパート先など、場所を変えながら取材を続けた。


依頼主からは毎日溜飲が下がる思いで楽しく配信を見ていると連絡があったが、俺が提案した中でも最高額の案をさらに追加資金が必要なレベルまで引き上げた執念と言うか怨念には頭が下がる。

俺が提案したのは3パターン、

①毎日早朝、深夜の電話取材攻勢(自宅含む)20万円~

②①に加えて、突撃取材(3名体制1日)150万円~

③連日突撃取材(3名体制3日以上)300万円~

※取材回数、継続日数などにより変動します。


実際、電話だけだと効果は薄いのでお勧めはしていなかったが、彼らは自分たちがやられたことと同程度までは実行したいという希望があり、1回の取材陣の人数は10人程度、場所は自身の職場、配偶者の職場、自宅、子供の通う学校、人の目が触れる通勤途中は最低限必要。さらには、その状況を見たいというご希望をいただいたのでLIVE配信も行った。

東京から神戸への出張旅費、宿泊費はもちろん、取材陣が10人前後を希望していたので、外注人件費に、配偶者や子供の学校、その通学通勤通路に通う時間の割り出しなど、驚くほど必要時間と予算が膨れ上がった。

ちなみに、調査に掛かる費用と、突撃取材実行費用を合わせると見積もりが5000万円にも及んだ。消費税だけで+500万だぞ?個人で払える額ではなさそうだが、事故を起こした当人の資産を充当したら全く問題ないそうで、値切り交渉すらなかった。

どうせ相続税で持っていかれるのだから、こういう使い方をしてもいいだろうということらしい。

おかげで臨時ボーナスも出たし、動画もバズったので次の依頼が処理しきれないほどある。

上級国民様との繋がりは本当にありがたい。

正義とか使命じゃなくて、お金を持ってきてくれるお客様の味方です。はい。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

会社の話の続きで、俺自身の話と、同僚の紹介もしていこう。


近藤道也。33歳未婚で独身の真っ新なシングル

大阪生まれ、大阪育ちで東京在住8年目

前職の転勤で東京に来たものの、当時の同僚からの何故か非常に熱い大阪バッシングの影響でストレスを抱えていたころに現職の社長と飲み屋で知り合い、そのままその会社へ転職。

メディアには全く興味がなかったが、自分たちとは違う目線で営業できる人が欲しいと熱望されたのは嬉しかった。

前の仕事の影響か、未だに月末以外は20時には仕事モードが切れるのだが、その時間に同僚を飲みに誘うと仕事が終わってないと怒られる。生粋のメディア人とは体内時計が全く違うようだ。


鈴木修。社長。年齢は俺より10コ上の43歳。

こんな会社を立ち上げたぐらいだからアクが強いイメージを持たれやすいが、本当にただの良い人。自分の生活よりも社員の生活のことを一番に考えてくれてる。なんでこの会社を立ち上げたか聞いても「なんか面白そーじゃん!って勢いでやったら意外と上手くいったんだよね。」ということらしい。元々大手メディアにいたみたいなので、ストレス溜めてたのかも?

東京人の非道さに辟易していた俺に、東京人の優しさを教えてくれた恩人。

(大阪バッシングしていた前同僚たちに東京生まれは1人もいなかったが。)

奥さんはマジで美人。


鈴木玲子。専務。社長の奥さん。

会社の立ち上げ期にはすでに社長と結婚していたらしい。

ただ美人なだけじゃなくて会社の経営が上手くいってるのは玲子さんのおかげです。

社長が独自目線で取材してきた記事を、小さいながらもネット配信したり、他媒体へ転載してもらったりして読者を乱獲していき(マジでどんな手法つかったんだろ?)今の屋台骨を作ったお姉さまです。


田畑恵子。総務経理の鬼

この会社で唯一の先輩社員。

鬼とは仕事が恐ろしく正確でかつ早いことを指しています。

金融出身のわりに大ざっぱな私は、仕事中に声を掛けられると提出書類にミスがあったんじゃないかとビクビクしてしまいます。


宮城かよ。デザイナー兼システム担当

いつも事務所の奥の席に陣取って黙々と仕事を進める芸術肌?タイプ

リアルでは無口なのにチャットだと誰よりも雄弁で、提案してくれるアイディアが面白い。

ニュースを見てくれてる人から直接依頼を受けて記事を書くなんて突飛なアイディアも彼女の発信が大本だ。

メディアへの仕返し取材なんてサービスにしたのは俺のせいだが。

しかも、やりすぎてウチの記事に広告が付かずに収益がなくなったときに、やりたくない広告デザインを受けてくれて売り上げを稼いでくれたのはホントに感謝します。


杉本鉄平。編集担当者

年齢は俺より2つ下だけど、入社はほぼ同じだから同期と言っていい。

人懐っこい性格で付き合いも良いからプライベートでもよく遊ぶ仲だ。

ただ、仕事は超マジメ。余裕がない時に声を掛けるとマジで怒られることも多々ある。

編集者と言う肩書だが、ウチは動画も扱っているので演出、編集も行うマルチプレイヤー。


佐伯理沙。ライター兼編集者

普段は無口なまじめ系女性です。

任せた仕事は素早く完璧にこなす才女だが、ちょっと融通が利かないところもある。

たまに顧客からの要望で取材内容が変更になることもあるが、「そんな変更はできません!」ときっぱり言われることもありましたし、一度目の前が真っ白になるぐらいまで怒られました。

今でもお話しすると緊張してしまいます。


井上幸子。カメラマン

ちょっと小柄かつ表情が豊かなタイプで、見ているだけで和むわが社のマスコット。

性格はサバサバしていてカメラへのこだわりも少ないみたい。

決してプロ意識が低いわけじゃなくて、不要な過剰スペックに嫌悪感があるっぽい。自分たちが配信する画像や動画のデータサイズに合わせてカメラも変えるべきで、そうすれば選ぶ機材も自然と変わると話していた。

何となく、大は小を兼ねるから常に高スペックのカメラを準備していれば、後で質を落とすのは簡単なんじゃ?って言ってみたが、そういうことじゃない!と怒られました。


斉藤大樹。わが社の最年少24歳のライター

社長の知り合いの息子で、21歳ぐらいまで引きこもり生活をしていた。

最初はアルバイト感覚で月に4~5回ぐらい会社に顔を出すようになったのが、だんだん出社回数も増えて、2年前についに正社員になった可愛い弟分。

最初の頃はおどおどしていて、声も聞こえるか聞こえないぐらいしか出てなかったのに、今では会社のムードメーカーと言えるぐらい明るくなった。

ちょっと前に変わったきっかけの話になって聞いてみたら、

「道也さんって、最初見たときは仕事もバンバン取ってきて、仕事できるサラリーマンぽいのがカッコよかったけど、僕からしたら怖かったし苦手だったんすよね。僕はこんな風に働けないから一生ダメ人間なんだろうなって。

でも、何回か働きに来たら、そんな道也さんが怒られてるのを結構見たんすよ。

一番多いのは田畑さん。1日に1回は見たんじゃないかな。他にも玲子さんや、鉄平さん、サっちゃんさん。で、極めつけは佐伯さん。ボロカスに怒られてましたよね?

人があそこまで怒られてるのは初めて見たというか、佐伯さんがあんなに感情むき出してたの初めて見て逆に感動したっていうか。

でも、何ていうか道也さんも俺と同じように間違ったら怒られるんだな。って思ったら楽になったというか、大人になったら失敗しちゃダメだって思ってたのが、道也さんを見てたら失敗しても大丈夫なんだって安心したから、今まで失敗が怖くてできなかったこともやってみようと思ったんです!」

と、持ち上げてる風ディスりを大声で展開されたのは悲しい思い出だ。



なぜか大樹の話がやたら長くなったが、役員2名、従業員7名の計9人体制の会社だ。

ん?女性の年齢が書いてないだって?そんな恐ろしいことは聞いたことがありませんし、耳にしたことがあっても忘れることにしています。

大まかには玲子さんと田畑さんはお姉さま、宮城さんと佐伯さんは同年代、サっちゃんは年下ってところかな?

社長が最年長なのは間違いないから、みんなそんなに歳が離れてるわけじゃない。


これが俺の務めるメディニュースの仲間たちだ。



初めて書いた小説で、今まで全く関わり合いがなかったメディアのことを題材にしたので、知識が乏しいため専門用語はなるべく使わずに書いてみました。


1日で書き上げたので雑な部分も多いかと思いますが、目にとめていただく方がいらっしゃれば幸いです。


続編、新作含めて今後書くかどうか未定ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

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