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第8章 ~ 西南西:葬儀の日。それと再会前夜 ~ 2

 

「…………」

「…………」

「…………」

 《 ………… 》


「ちなみに。その後、四十九日が済んだあと『これまで、娘たちがお世話になったお礼がしたい』と書いた手紙を寄越し、自らのグループが所有する建築会社の人手を割いて新たな家を建ててくれたり、法事の度に電報を寄越してくれたりしたことはあったが、彼が直接俺の前に現れることは、あの日以降一度もなかったし未だにない」


 しばらくの重い沈黙の中、補足を口にすると。ルナが沈黙を破った。


「……それならそれで、あのときにそう言ってくれたらよかったのに」

「……そうかもな」


 ルナからは、きっとそう言われる。そう予想していた。ただこれは、俺が予想したわけではない。

 そこで俺はひとつ、ルナに確かめてみた。


「もしあのとき璃那に言ったら『わたしは、幸せにしてもらわなきゃ幸せになれないような女じゃないよ』って言い返してきたかな」


 これもまた、俺が予想したことではない。どちらも、俺以上に璃那をよく知る人物の予想だ。その人物は、もちろんルナのことも、俺よりもよく知っているだろう。


「そうだね、絶対にそう言い返してたと思う」

「そうか……」

「もしかして、それがわかってたから言わなかった?」

「いや。そうじゃない。朱海さんがそう言ってたんだ」

「母さんが言ってた……って!」


 その事実を知ったルナは、瞬く間に俺に詰め寄った。


「トキくんキミ、記憶を取り戻してから母さんに会ったのっ?!」

「あ、ああ……」


 〝モメトラ〟で間合いを詰められるのは、何度体験しても心臓に悪い。きっと俺の反応を面白がってわざとやっている節もあるだろうが、その度に心臓が飛び出そうになるこっちの身にもなって欲しい。


「昨日の電話の直後、朱海さんは突然どこからともなく『理由を教えてくれない?』って言ってから、俺の目の前に現れたんだ」



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