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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ある小さな星の物語

作者: 在り処
掲載日:2019/02/17

 

とある小さな星に私は生まれた。

数多く存在し、繋がれていく命の1つ。


もちろんこの星にも統治者は存在するが、見た事は無い。

だが、私達を大事にしてくれている事は分かる。

その慈愛を身に感じるのだ。





私の背が伸びてくると、隣に住むおじさんからこの星の歴史を聞かされた。

そのおじさんも星の全てを見てきた訳では無い。

命が生まれ、死にゆく中で語り継がれてきたそうだ。




元々星が生まれた時の命の数は今に比べて少なかったらしい。

統治者も星と共に生まれたが故に幼く、母なる神によって守られてきた。



だからといって平穏だった訳ではない。ある時は伝染病が蔓延し、ある時は見たこともない外敵の侵攻を受けた。

しかし母なる神は神の雫によって病を癒し、化け物のごとき侵略者すらも駆逐された。


年月が過ぎ、母なる神から統治者が全てを受け継ぐと、星は荒れ始める。

水は汚れ、大地には不純物が積もる様になった。

統治者は星の命に興味が無いのだと、皆が悲観したそうだ。




それでも豊穣な大地に根付く命は増え続けた。

大地が荒れても生命力のみなぎる星に、栄華はいつまでも続くと、そう信じていた。


異変が起こり始めたのは更に年月が過ぎた時だ。

星はゆっくりと、だが確実に蝕まれていた。

生まれてくる命の数はそう変わらない。

だが見るからに虚弱な者が生まれ始めた。

ひ弱な身体故に寿命を待たずに死んでしまう。

周りを見れば、命の数が減って来ているのは明らかだった。



その頃から統治者はこの星に対して真摯になったそうだ。


命を強くしようとして鍛え、栄養を振る舞った。病に侵されぬ様に浄化作業も頻繁行われる。

豊穣な大地が蘇る様に、勉強し、改革を行っていったのだ。母なる神と同じ様に、神の雫を与えてくれたりもしたそうだ。

今までの事を恥じる様に、必死に私達の身を心配してくれた。





だが星の衰えは止まらなかった。

とうとう、住むことが出来ない大地が現れたのだ。

その場所に命が生まれても、儚く消えていってしまう。

いつしか誰も生まれない土地になったのだ。




統治者は悩み、禁断の領域に手を出してしまう。

人工生命体(ホムンクルス)


大量の財を投入する事で確かに命は増えた。人工生命体(ホムンクルス)は誰も住めなかった土地にさえ生きることが出来たのだ。

だがそれは儚い仮初めのもの。

星の財政が圧迫されると人工生命体(ホムンクルス)計画は中止となる。

最後の人工生命体(ホムンクルス)が死に絶えると、元の何もない土地になってしまった。





ここまでが語られた歴史だ。

語ったおじさんは役目を果たして、永い眠りについた。

暗い過去の筈なのに満足そうだった。

種の減少は悲しい事だが、統治者の慈愛を近くに感じていたからだろう。




それからの環境も厳しいものだった。

仲間の命はまた1つ、また1つと失われて行く。

そう遠くない将来、命が住むことが許されない死の星となるだろう。


ある日、統治者から星に住む全ての命に向けての演説があった。




星を立て直すことはもう不可能に近い。

これ以上無理をさせる事は星の寿命を縮ませる事。

1秒でも長く私達と一緒にいたいと。

統治者の命が尽きる時には、星に命は存在していないかもしれない。

だがずっと寄り添って生きて行く。

今まで苦労をかけた。

ありがとう。







私はこの日の事を忘れないだろう。

私は足腰が弱り、生気が失われ体が白みを帯びている。

寿命も幾ばくも無いだろう。

それでも為さねば成らぬことがある。数少ない生まれた命に歴史を語ろう。

いかに愛されていたかを。


そして意識が遠くなる中、温もりを感じる。


統治者の声が聞こえた気がする。


(かみ()よありがとう。)そう言われた気がした。


充足感に包まれ、そっとその役目を終えると、大空に舞い落ちるのだった。


















共感してしまった貴方に言いたい。

星の命はいつでも貴方に寄り添っていると。


これって何のジャンルなんでしょう?




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― 新着の感想 ―
[一言] ※ネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。 散髪してきた日にまさかの髪の話を読むとは。くっそwwww 最初はですね、農園のお話かと思ったんです。 世話人が親から子供に代わって土地…
[良い点] 雰囲気や語り口がきれいだと思います。 [一言] なんて幻想的なお話なんだろう、寓話なのかな?と感動しつつ読み進み、オチまでたどり着きました。 そして「え?」と思い、そして冒頭に戻って読み…
2019/03/03 19:22 退会済み
管理
[良い点] 寓話的で童話的なちょっとしたファンタジー+SF……っぽくみせかけて、これ、要するに頭のアレの話ってことでいいんですよね? 意表を突かれました。正直に言って。 一種のショートショートかな? …
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