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神社の小箱  作者: ほね
3/3

なわとび

家に帰り、夕食のときに、母親に

「近所のおねえちゃん」のことを聞いてみた。


お姉さんは、近所に住んでいて、昔なまりとよく遊んでくれたらしい。

苗字は「渡里」名前は「さつき」。妹は「ふう」という。


なまりはあいまいな記憶しかなかった。

さつきさんには仲が良い姉妹がいて二人は仲が良かったけれど、

ある時、ふうちゃんは行方不明になってしまった。


昔は、神社で小正月行事をしていた。

小正月行事で母親が準備している間、姉妹で遊んでいて、

ちょっとの隙にいなくなってしまったそうだ。


住民総出で捜索してけれど、

結局今も見つからなかった。


布団の上で考えた。

結構重い話だった。

(さつきさんに会ったら何ていえばいいんだろう。

神社で会わなければいいけど。)


(だめだ、こんなこと考えてるから自分嫌いになるんだ)

風が強くて、雨戸が音を立てている。


学校帰り、神社の前で、さつきさんに会ってしまった。


「なまりちゃん、私の名前覚えてなかったでしょ?」

「すいません。」

(分かってたのか)

気にしてないとさつきさんは笑った。


「神社に最近来てるから、もしかして思い出したのかと思って。」

(何を思い出すんだろう。)

「妹が行方不明になったときの話。」


十年前の小正月の夜、さつきさんとふうちゃん、そして私は、

神社で親たちが準備している間、神社の境内で遊んでいたらしい。


余った飾りを振り回して、遊んでいると、

神社の社殿の床下に、ふうちゃんが何か見つけて、

しゃがみこんだ。

「なにかいるよ!」

床下にどんどん入っていった。


さつきさんは、そのとき来ていたお気に入りの服を汚したくなくて、

「何見つけたのー?」

なんて言ってた。


返事がない。

私とさつきさんは、床下を覗き込んだけど、

ふうちゃんは見えなくなってしまった。


その後、大人を呼びに行って神社の社殿に戻ってきたとき、

私は空を指さして、ふうちゃん、ふうちゃんがいるよって。

その後、私は高熱を出して寝込んでしまい、神社での出来事はすっかり忘れてしまっていた。

それから、さつきさんの家族はふうちゃん探しに忙しくなってしまいすっかり疎遠になってしまった。

ということだそうだ。


さつきさんの話が終わると、自分の体が冷えていることに気付いた。

(どうして私は、忘れていたんだろう。)


「だからさ、この間なまりちゃんが物を探してた時、なんとなくふうを思い出して声かけちゃった。」


「いなくならないでよ」

目を逸らせなかった。


さつきさんが寒いでしょうと言って、ご飯に誘ってくれた。

取り立ての免許で連れて行ってくれるという。


その前に、私は確認したくて、さつきさんを神社の前に待たせていつもの小箱を探した。

今日はいつも通りの場所にあった。


小箱の中には縄跳びが入っていた。

縄跳びの持ち手の部分のは、「わたりふう」と書いてあった。

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