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神社の小箱  作者: ほね
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ビー玉

なまりには、学校がつまらなかった。

話せる友人もいなかった。

今日だって文化祭の帰りだけど打ち上げには誘われなかった。


ひとりで家まで、肩を落として山の方のリンゴ畑へ向かう農免道を自転車で上がっていく。


(ただただ浮かれてバカみたい。)

と嫌なことを考えては、そんなことを考えている自分が嫌になった。


山から吹き下ろす西風の向い風の中を漕いでいるので、全然進まない。

歩道の切れ目に乗り上げたところで、文化祭で余った飾りや景品用の飴なんかがたくさん入った袋がかごから飛び出して

道路に散乱してしまった。

キーっと大きな音を立てて自転車を止めた。


辺りにちらばったものを回収する。

回収しているうちに雨がぱらぱら降ってきた。


いつもなら雨合羽を来て強引に突破するところだけど、なんとなく今日はそういう元気がなかった。


幸い、近くには昔よく遊んだ神社があったので、そこで雨宿りさせてもらうことにした。


神社の鳥居をくぐって、崩れた石段を上がって、奥の鳥居をくぐった。

お賽銭をいれて神社の軒先に座る。鞄に蜘蛛の巣が引っ掛かった。


携帯電話を引っ張り出すともうすぐ充電がきれそうだった。

暇だ。


(今日の天気予報はそんなに悪くなかったからすぐやむと思うけれど)


辺りを見渡していると賽銭箱の裏に木箱がある。

木箱の上蓋に書道で使う半紙が張ってある。

「飴玉ヲクダサイ。」



-----


(溶けない氷玉って大きいビー玉ってことか)

ちょっと本の読みすぎだったかもしれない。


昨日神社で釘を箱に入れた後、もう一度神社を訪れると、

箱の中に小袋と「溶ケナイコオリ」と書いてある紙が入っていた。


不思議なモノをもらえると思ったけれど、

子供のいたずらだったかもしれない。


(文化祭で一番浮かれているのは自分だったかもしれない。)

ビー玉を机の引き出しにしまうと、文化祭前に読んでいた本を読み始めた。


しばらく、その神社を訪れることもやめてしまった。


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