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“彼”を見つけた日。1 ―オルトレイン―

オルト視点の話になります。キリトとの出会い、彼を好きになったキッカケみたいな話になるかと思います。(話を区切っている為、今回短めです。すみません)


 とある晴れた日の朝。


 「魔王様。こちらが本日中に決裁頂きたい書類となっております」


 パサパサ、なんて軽い音ではなく、ドカリと。

 紙と言う名の長方形の元・木の塊(と言った方が良さそうだね?)ではないのかと言う位の分厚く重なった書類達が私の目の前…執務用の机の上に容赦なく積み上げられた。うん、崩れるどころかピシッと少しのズレもないね。


 「それから、本日この後の予定ですが、午後に東地区の軍を統括されていますガレッダ様と面会のお約束。その後、先日報告を受けた下級魔物達による農作物荒らし被害の大きかった西地区の村について対策会議がございます。夜は前魔王様、その奥方様との会食となっております。本日も全て時間厳守でお願い致します」


 午後も夜も予定が、しっかり詰まっている。


 「ハァ…今日も厳ついオヤジ…んんっ、重役達と会ってばかりか。たまには癒されたいものだねぇ」


 窓の外に目をやれば、空はあんなにも青く澄み渡っているのにねぇ。中々外には出られなさそうだ。


 「……本日の業務も滞り無く済みましたら、残りのお時間は自由時間にあてて頂いて構いません」

 「軽く言ってくれるなぁ。まあ、いいや。そうだ、ラスタ。君が会議には私の代わりに出「却下です」せめて、最後まで言わせて欲しいね…ハイハイ。冗談だから、そう細い目を更に細めて睨まないでくれよ」


 私の右腕兼秘書のラスタは執事服を着た糸目の男なのだが、通常よりも目を細めたらもう糸目と言うより線だよなぁ、と思う。

 

 「何か?」

 「いいや、何も? それじゃ、この書類をまずは片付ける事にしよう」

 「それが宜しいかと。それでは、私は失礼致します。何かご用の際はお呼び下さい」


 片手を上げて、了承の意を伝える。

 

 ラスタは一礼して私の執務室から退室し、隣室へと入った。(隣室はラスタの執務室となっている。万一の有事に備えた際の控え室の役割も兼ねているからね)








 暫く、書類の山を片付ける作業を続けて。残りは、およそ三分の一となった頃。


 コンコン、と扉をノックする音に返事を返す。


 「失礼致します、魔王様。お茶をお持ちしました。暫し、ご休憩をお取り下さい」

 「ありがとう。丁度キリも良い事だし、そうするかな。ああ、そうだラスタ」

 

 お茶の用意をしているラスタに声を掛ける。


 「はい、何でしょうか?」

 「今日は思ったより早く書類が片付きそうだから、終わったら少し散歩に出るよ」


 思ったより書類仕事が捗ったので、ラスタに告げた通り、私は散歩に出る事にした。散歩、と言っても、我が魔族の領土内では無く。人間達が暮らす、とある街へ。

 

 「散歩…ですか。まあ、ガレッダ様とのお約束の時間に間に合うようお戻り頂けるのならば問題はございません。…もしや、先日報告が来ていた例の件の…?」

 「うん、光の神子一行って、どんな人間達なのか散歩ついでに見に行ってみようかなと思って」

 「左様でございますか。お気をつけて」

 

 そんな会話をし、休憩を済ませた後。


 残りの書類を、さっさと片付けた私は、神子達が現れたと報告を受けた場所付近、次に神子一行が立ち寄るだろう人間の街の外へ転移の“魔術”(ああ、人間達は“魔法”と言っているね)を使って降り立った。


 さて。神子一行とやらは、どんな存在なのだろうね――…?


(相手をするに値しない詰まらない者達ならば、捨て置けば良いだろう。私もそんなに暇な訳でもないし――…)



ここまでお読み下さり、ありがとうございます…!!

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