前編 ―キリト―
※後程、修正します…!
これは、俺がまだ旅に出る前の話。そして、今現在へと続く話だ―――…
普段は王城警備(主に外回り)についている俺には無縁の華やかでゴージャスな空間、と言えば良いだろうか…そんな王城の一室にある日。何故か俺は呼び出されていた。
やべー、俺最近何かしたかな? いや、記憶にねーな。
…――なんて考えていると。
「キリト・ターナ。面をあげよ」
「はっ」
偉そうな人の声に顔を上げてみれば―…わお。
噂のミコサマとその取り巻き連中の皆様と偉そうなオッサンその一(あ、国王様だな)からその三(宰相と、あれ? ウチ(魔法剣士)の団長?)までいらっしゃるではありませんか。
「今日そなたを呼び出したのは、ここに居る光の神子と、我が国選りすぐりの者達と共に、世界の平和を脅かしているであろう魔王を倒す為の旅に出て貰いたい為だ。旅に出てくれるな? キリト・ターナ」
「は? …私が神子、様方と共に…ですか?」
あぶねー、あぶねー。ハァ? 何言ってんの? 王様。とか言いそうになっちまった。
選りすぐりの人達が居るなら、俺は別に付いていかなくてもいいだろーが。
「ふん、パッとしないヤツだな。まあ、こんな奴でもキサリを守る盾位にはなれるか。俺達の旅に同行させてやる事を光栄に思うんだな、平凡」
おうおう、言ってくれるねー。見た感じ王子サマっぽい容姿だけど。王子だとしても継承権低いヤツか? 第一、第二王子なら顔知ってるからな。
そのキンキラ金のオツムにはさぞ立派なオガクズでも詰まっているんでしょうね。つか、キサリって誰よ。
「もう! キラ! そんな言い方しちゃ駄目だろ! あっ、と名前なんだっけ? オレはキサリ! 光の神子だ! これから宜しくな!!」
「…ターナ、と申します。王城の警備をさせて頂いております。ええと、宜しく(したくないので極力無視して欲しいです)お願い致します、神子様」
「キサリでいいよ! ターナ! オレ達もう友達だろ!!」
うわー…フルネーム名乗らなくて良かったー。誰も俺の名前言い直さないでくれて良かったー! そして、断じて友ではない。嫌だ。
「フン。貴様、ターナと言ったか。貴様みたいな平凡が優しいキサリの言葉を真に受けて、尊い光の神子であるキサリの名を呼び捨てにしようとしたりするなよ」
しないよ。する訳ないだろ。勘弁してくれよ、オガクズ野郎。
「ハッ、心得ております。今後も神子様とお呼びします」
「フン、解っているならばいい」
「こらっ! キラったら! もう、そう言う言い方は駄目だぞー? ゴメンな、ターナ! その内、名前で呼んでもイイからなっ! あっ、そうだ。こいつの名前は、キラーファ。この国の第三王子で剣が強いんだぜ!」
「ご親切に、ご紹介頂きましてありがとうございます、神子様」
へー。どうでもいい情報だわ。つか、コレが第三王子、ねえ? あ? オージサマ、デレデレっすね。ちなみにミコサマの名前は呼びたくないので、どんなに時が流れても呼びませんよ。
「フ、フン! 騎士団では団長、副団長に次ぐ三席だからな。だが、平凡。危ない時でも自分の身は自分で守れよ。俺はキサリしか守る気は無い。まあ、これは貴様だけでなく、そこに居る三人にも言っているがな。ああ、そうだ。お前らも平凡に名乗ってやったらどうだ?」
と、オガクズオージに言われて。(勿論、守って貰う気はありませんよ)喋ってはいなかったが俺の事を睨んでいたり、警戒するように見ていた他のお取り巻きサマ達が、ようやく紹介された。
別に仲良しこよしになりたい訳ではないから、サラッと聞き流しておこうと思う。
「…では、俺から。俺は武闘家の○○○だ」
「…私は白魔法使いの○○○です」
「……黒魔法使い、○○○」
何で皆さん一瞬間を置いてから話したの? そんなに平凡が旅に同行するのが嫌なの? 俺も嫌だけどさー。ちなみに○○○の部分は名前を言っていたんだけど…すぐに忘れちゃったんだぜ!(ミコサマ風に言ってみた)
「皆様、ご丁寧にありがとうございます。改めまして魔法剣士で王城警備の職に就いております、ターナです」
宜しくしたくないので(あちらもそうだろう? だって、誰も“宜しく”言ってない。分かりやすくて吹き出しそうになった)名乗っておくだけにした。
その後からは三人組も加わってのミコサマ争奪戦が始まり――…
『みんな、止せよ! 俺の為に争うなよ! 俺はみんなの物なんだ! だから、みんな仲良くしろよ!!』
…――的なセリフ聞いて、鳥肌立ったわー。お見せできないのが残念だ。
そして。王を始めとしたお偉いさん達は『ハッハッハ! 仲が良いな! 今日は顔合わせだけで他に用は無いからな。親睦を深めるのも良かろう』とか抜かし、サッサと部屋を後にして行ってしまった。え? 頭おかしいの?
とりあえず。上司である魔法剣士団長は後で(何故、あんな奴らのお守役が俺に決まってんのか)問い詰めるてやる!
そう思いながら。俺も気配を消してソッと退室したのだった――…。
「団長ウォオオ!!」
豪華な部屋から脱出後。すれ違う城内警備担当の騎士や、侍女さん達に、にこやかに挨拶をしながら。
城の左側に位置する、魔法剣研究塔へとやって来た。ここは…まあ、魔法剣士の詰め所兼寮みたいな物かな。魔法の研究してる人も少数居るけど。
そんな塔の奥にある団長室のドアを、周りに人がいない事を確認してから――…
ドゴン!!、ドゴン!! と。
遠慮なくノックし、返事(すごく嫌そうだったけど、気にしないからな!)と同時に扉を開き、室内に入った。
「あー…やっぱ、来るよなぁ」
「うっす。当たり前っす」
面倒臭そうに頭をバリバリ掻いているオッサン(一応まだ三十代らしいが、俺からみればやはりオッサンな事には違いない)は、机に頬杖をついて『何が聞きたい。三つまで答えてやろう』と。やる気なさそうに言ってきた。
「三つ…まあ、いいっす。まず、何で俺があんな奴らの子守役になってんすか? すっっげぇ嫌なんすけどー」
あ。素で喋ってるけど、問題はない。この人は昔から俺の事を知っている人だからだ。(俺の魔法剣の師匠の友人だったりする)その為、今更猫かぶりするのは気持ち悪いし。猫かぶりは、身内…まあ、俺の場合は師匠と団長と、親友かな。それ以外の人前で、だったりする。
「仕方ないだろー? お前ウチで一、二を争う実力者だし、他の奴等は親や嫁さんや子供、彼女、中には彼氏とか言ってる奴も…まあ、それはいい。とにかく。大切な人と長く離れたくないって、すーげぇ嫌がられちゃってさー。その点、お前なら優秀だし? 他の奴らもお前はどうか? って推してきたしラナの許可も貰ったしさー」
み、皆…ヒデェ!! 俺なら…俺なら! そんな事(仲間を売る)っ…! …するわ。
まあ、自分の身の安全が掛かるし。あのご一行相手じゃ精神的負担も掛かりそうだもんな。
「つーか、何すか! ちゃっかり師匠から許可貰ってんすか! 何で俺を売ったの、師匠!」
この場合“なんで、俺を売ったの”ではなく。“なにで(大抵は物かな…)、俺を売ったの”か、だ。
ちなみに“ラナ”は俺の師匠ね。保護者ってーの? それも兼ねている。
「あ? ウチの持ち禁の本あるだろ―…ウチでも、三席以下は許可が無いと閲覧出来ないヤツ。一応国のお宝になるレベルのアレな。アレを――…」
「ま、ままままさか! 上げちゃったんすか!?」
「いや、まさか。流石にそれやったら、俺今ここでのんびりしてられないからな? ちょっとだけだが、見せてやるって約束したんだよ」
「な、なるほど。つか、のんびりしていないで仕事してくれよ。そして、師匠…やっぱり、物に釣られたんだな」
ニヤリと笑う師匠の姿が目に浮かぶよ…。
「そんで。まだ、何かあるか?」
後一つだけなら聞くぞー、と言う団長に一番聞きたかった事を、俺は聞いた。
「この旅、お断りって事には!?」
「できません。頑張って、キリトくん!」
ぐあぁあ!! 嫌じゃー!! と叫びながら床に転がる俺を『うるせー! ハイハイ、質問の時間終わり! 諦めて旅の支度でも始めろ! あ、そういや支度金預かってるわ』と。
容赦なく叩き出し、それと同時に小さな布の袋と一枚の紙を渡された。
袋には十枚の銀貨(これは、多いのか? 少ないのか? まあ、それなりの装備は整えられるか)と。
紙には――…
『三日後の朝、可愛らしい神子様とお取り巻きサマ御一行、行ってらっしゃいパレードをした後に、すぐ出発だから遅れるなよ! パレードには参加したければご自由にどうぞ!』
…――みたいな事が、書かれていた。やべぇ、この国、ホントやべぇな。
(ホントは世界の平和を脅かすのって魔王じゃなくて――…)
ここまでお読み下さりありがとうございます…!!




