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永遠の恋人 〜佐久間警部の要請〜  作者: 佐久間元三
プロローグ
3/18

介護ヘルパー

 次の日曜日。


 忠明と里美は千葉県北柏駅に来ていた。


 ここには、東京慈恵医大附属病院があり、この大学病院に忠明の母親、貴子が入院している。


「お母さん、中々退院出来ないね」


「ああ、でも抗ガン剤が効いて、腫瘍が小さくなったから、やっと手術出来たんだ。助かったよ」


 受付で、面会証を受け取りC棟病棟に向かった。


「母さん、具合はどうだい?」


 横になっていた貴子は、息子の声を聴くとパッと表情が緩んだ。


「まあ、里美ちゃんも。ありがとね。忠明、みんなに迷惑掛けてない?」


「掛けてないと・・・思う」


「いえ、お母さん、大丈夫ですよ。ご無沙汰しています。これ、母からです」


 里美は、和子から渡された見舞いのお茶を貴子に差し出した。


「まぁ、和子ったら。私の好きなお茶覚えていてくれたのね。嬉しいわ。よろしく言ってちょうだい」


「はい、わかりました」


「母さん、医師からも聞いたよ。順調だってね。あと一ヶ月の辛抱だよ」


「・・・頑張るわ。退院したら、早く家に帰って掃除やら庭手入れやらが溜まっているから、ウズウズするの」


「・・・父さんは?また研究?」


「タッくん?」


「・・・いいのよ、里美ちゃん。父さんは相変わらずよ。研究しか能がないの。仕方ないわ。悪く言わないで。ねっ」


「・・・わかったよ。母さん」


 三時間ほど、病棟に滞在し、忠明達は病院を後にした。


「タッくんは、お父さんのこと、いつも良く思わないのね。だから、反発して大学院に行かなかったの?」


「それもあるよ。でも考古学の教授になるよりも、母さんの介護をしたかったんだ。介護ヘルパーは、給料安いけどごめんな」


「いいわ。あなたの好きな事をして。私は好きで黙って付いていくから、気にしなくていいのよ」


 二人は、腕を組んで、川沿いに遠回りしながら、駅まで歩いた。


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