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永遠の恋人 〜佐久間警部の要請〜  作者: 佐久間元三
真犯人を追え
15/18

新たな疑惑

 佐久間は、あと一歩の所で犯人を挙げられなかったことを悔やんでいた。


 しかし、一連の殺人事件は近藤俊彦が刺殺された事で、終息ではなく、新たな疑惑へと変わったのだ。


「山さん、この殺人は私怨によるものなのか、口封じのどちらになるのかな。前者なら、飯島正志や河村忠明、または縁者が考えられる。後者なら、近藤俊彦から新たに追いかけるしかあるまい」


 山川は、少し考えてから、口にした。


「もし、前者なら、近藤俊彦を刺して現場から逃走するでしょうか?仇を討て満足し、その場で逮捕されても、動じない気がします。私ならそうします」


「山さん、ありがとう。参考になるよ。もう一度、近藤俊彦の遺留品や部屋を捜索して、手掛かりを洗おう」


 翌日、朝から佐久間と山川は近藤俊彦の部屋を捜索していた。


 昨日の司法解剖で、飯島里美の体内から検出された体液が、近藤俊彦のものである事が判明した。


 また、河村正利の衣服に付着していた成分についても、近藤俊彦の衣服と成分が一致した。


「これで、近藤俊彦が二人の殺人事件の実行犯で間違いないですな。」


「ああ。後は裏で操ってる黒幕を探し出さなければならないね。・・・ん?山さん、昨日の刺殺される一時間前に誰かと話をしているね」


「掛けてみますか?」


「この携帯ではなく、公衆電話からにしてみよう」


 山川は、公衆電話から、履歴の携帯に掛けてみたが、応答はなかった。


「電話会社で詳しく調べてみよう」


 佐久間たちは、近藤俊彦の家宅捜査を他の刑事に任せ、電話会社に向かった。


 調査の結果、何と飯島正志が浮上した。


「どういうことだ?何故、実行犯と被害者の父親が、このタイミングで繋がる?」


「警部、二人の関係を洗いましょう」


 佐久間たちは、近藤俊彦の過去の通話履歴や銀行口座、戸籍、聞き込みを念入りに行い、全貌が少しずつ判明してきた。


 近藤俊彦と飯島正志は、昔から関係があったのである。


 まず、通話履歴から、飯島里美が失踪した時点から殺害される時点まで、二人は連絡を取り合っている。


 次に飯島正志から、近藤俊彦に対して定期的に二十万円ずつ送金されたことが判明。


 戸籍を調べた結果、近藤俊彦は飯島正志の子であることがわかった。


 飯島正志が現妻の和子と籍を入れる前、近藤智美と結婚しており、その時の子供が近藤俊彦だ。


「驚きました。こんな繋がりとは」


「驚いたね。飯島正志は、実の子供に腹違いの子供を殺させたのか?でも、何故、河村正利を殺害させた動機がわからんね。周囲の聞き込みからは、河村忠明を将来、婿養子にして店を継がせようとしていた程、仲が良かったらしい。理解に苦しむよ」


「警部、飯島正志を逮捕しましょう」


「そうだね。裁判所に逮捕状を請求しこの事件を終わらせよう」


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