近藤を確保せよ
警視庁捜査本部に戻ってきた佐久間は本部長へ検証した結果を報告した。
「・・・であり、時間的にも河村忠明はシロと思われます」
「わかった。こちらも色々調べてみてわかったことがある。飯島里美の体内から体液が確認された。これは、河村忠明の体液ではなく、時間的にも監禁中犯人に強姦された時のものである可能性が高いとの事だ」
「そのことは、河村忠明には?」
「無駄な悲しみを植え付ける訳にはいかない。本人には話しておらん」
「ありがとうございます。本部長、犯人の目星がついてきました。私の推理が正しければ、河村忠明本人の口から、聴けると思われます」
「何?ぜひ聴きたいものだな」
「では、ご一緒に」
取調室に佐久間は入り、切り出した。
「忠明くん、何とか君の無実を証明出来そうだよ」
「本当ですか?・・・良かった」
「君にどうしても聴きたいことがあり、正直に教えてくれ。犯人かもしれない」
「ーーーー!誰なんですか!」
「君の大学か職場で、南千住駅付近に住んでいる人はいないかな?」
「・・・・トシ兄?近藤俊彦が、確か南千住駅近くに住んでいます」
「ーーーー!近藤俊彦は、君と何時まで一緒に居たか覚えてるかい?」
「仕事は十九時に終わり、トシ兄はすぐ帰りました」
「職場はどこにあるんだい?」
「曳舟駅の側です」
佐久間は、確信した。
「曳舟から一時間あれば南千住に十分到着出来る。二十時には間に合うね。ちなみに近藤俊彦は、里美さんと面識は?」
「あります。トシ兄は、密かに里美に告白したことも里美に聞いたことが。でも、まさか?トシ兄ですよ?兄貴のように慕った人が犯人だなんて、今は信じたくないです」
「それは、捜査すれば、わかるだろう。本部長、近藤俊彦の身柄を確保します!」
佐久間と山川は、パトカーで、曳舟駅近くの忠明職場へ向かった。
「警視庁ですが、近藤俊彦さんはいらっしゃいませんか?」
「近藤くんなら、午前中に体調不良で帰宅しましたよ」
「・・・そうですか?実は一刻も早く近藤さんとお会いして、話を伺いたいのですが。ご住所を教えてください」
「あの、近藤くん、何かしたんでしょうか?忠明くんも居ないし、人手が足りなくて」
「忠明さんは、すぐ戻られると思います。捜査にご協力頂きたいのですが、決して近藤さんには、我々がこれから向かうことを電話したりしないでください。また、彼から問い合わせがきても、絶対に我々のことは言わないように」
「・・・・わかりました」




