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永遠の恋人 〜佐久間警部の要請〜  作者: 佐久間元三
忠明の拘束
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犯人像

 二十三時、連絡を受けた河村忠明、飯島里美の両親は、警察病院の遺体安置室に案内された。


「捜査が至らず、間に合いませんでした。誠に申し訳ありません」


 飯島里美の両親は泣き崩れ、河村忠明はただ立ち尽くしていた。


 司法解剖は、これからですが、絞殺による窒息死と思われます。


「何時に発見を?」


「それにお答えするには、皆さんのアリバイを伺わなければなりません」


「ーーーー!我々を疑うのか?捜査の手落ちで娘が死んだのに?ふざけるな!」


「これは、殺人事件です。肉親でも例外ではないんです。ご協力を」


 佐久間は頭を下げ、質問をする。


「十八時から二十一時半までのアリバイを確認します。飯島さんからお願いいたします」


「・・・・あなた?私からお答えします。

十八時から二十一時半までは、二人とも自宅で犯人からの身代金電話を待っていただけです。外出なんてしていません」


「わかりました。では、忠明くん」


「・・・私は十九時までは職場です。同僚の近藤俊彦と一緒でした。二十時過ぎには自宅近くにいたと思います。二十時二十分頃、一度里美から電話がありました」


「ーーーーーー!電話が?本当かね?」


「何故、それをすぐ言わん。お前じゃないのか犯人は?」


「飯島さん、落ち着いて。忠明くん、続きをどうぞ」


「・・・はい。里美は、声が聞けて良かったと。あのねと話した時点で切れました。その後、何度も里美にかけましたが電波の届かない所におられるか、電源が入っておりませんのアナウンスばかりで。警部に電話しようかと考えてたら先に電話が来たんです」


「私は、忠明くんに二十二時に連絡をした。

二十時二十分から二十二時まで、君はどこに?」


「自宅で、里美からの連絡を待ってました」


 佐久間は、静かに話した。


「河村忠明くん、飯島里美は、おそらく二十時四十分から二十一時までの間に殺害された。二十一時十三分に遺体が発見。そして、今のところ君には、その時間のアリバイがない。アリバイが立証されるまで、君の身柄を拘束させてもらうよ」


「やはり、貴様か!若旦那と言われていい気になったか?おい?答えろ!」


 飯島正志が、河村忠明を殴り掛かろうと拳を振り回した時、佐久間が割って入り身体を張って、忠明を守る。


「飯島さん、勘違いされては困ります。私は彼を拘束するだけで、犯人とは言っていない。アリバイが立証されれば彼は無罪です。また、私は忠明くんを信じます」


「警部さん・・・」


「ふん、勝手にしろ。おい、帰るぞ!」


「あなた?里美に声を掛けないの?」


「馬鹿な娘など知らん。忠明なんかに目を眩ませやがって。もう娘でも何でもない。勝手にしろ!」


 山川刑事が、激昂し口を挟む。


「あんた、本当に人の親か?可愛さ余って憎さ百倍にも程があるわい!」


「山さん、人には色々な感情がある。そっとしておいてやろう」


「奥さん、忠明くん、今は里美を労ってあげてください。取調べも明朝にするから今夜は喪に服すんだ」


 忠明は、佐久間の優しさに涙した。


 飯島和子も忠明にしがみつき、二人で里美の死を悲しんだ。


 佐久間は、山川を別室に呼び、話した。


「山さん、明日は河村忠明の事情聴取をお願い出来きるかな?私は、通話履歴から河村忠明と飯島里美の二十時二十分時点の居場所を電話会社に確認し、河村忠明の居場所特定箇所から、遺体発見現場までの所要時間を調べてみようと思う。時間的に犯人が可能かどうか検証してみたいんだ」


「わかりました。警部はどう考えておられますか?」


「どう考えても、父親の葬儀当日に、恋人を殺す人間とは思えない。誰か身近な人間に嵌められている可能性が高い」


「私も同感です。もし、その仮説が正しければ、保護する面からも忠明を我々の目の届く所に置いておくべきかと」


「そうなんだ。犯人の次のターゲットは河村忠明の死かもしれない」


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