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永遠の恋人 〜佐久間警部の要請〜  作者: 佐久間元三
失踪
10/18

二十一時十三分

 忠明が、職場で近藤俊彦と話をしている同時刻、警視庁捜査本部では、事件について会議が開かれていた。


「河村正利殺害についてもう一度事件を整理しよう。佐久間警部、司会進行を」


「はい。河村正利が、死亡したのは、司法解剖の結果から、四月二十日の二時から三時。別の場所で絞殺され山林に遺棄されたと思われます。発見は、同日九時頃。市の不法投棄警らによるものです。つまり、絞殺されてから、発見までは、六時間程度空白時間がありますが、おそらく人の目を気にすることを考慮すると、三時から六時前には遺棄されたと考えられます」


「河村正利が、最後に確認されたのはいつだね?」


「はい。大学に問い合わせた結果、前日四月十九日の二十二時三十分に、助教授と講師が生存を確認し、また研究室の学生も同部屋でやりとりを見ています」


「全員が嘘をついているというこは?」


「大学出入り口には、守衛が二十四時間待機しており、四月二十日の0時に河村正利の帰宅を目撃しています」


「すると、午前0時から一時の間に何者かに呼び出されたか、拉致されたという訳か」


「鑑識官。被害者から、何か付着物は?発表したまえ」


「はい。河村正利の衣服には、微量ですが、医薬品が検出されています。これは、大学ではなく病院や介護施設、薬局などで取り扱い可能な薬品なので特定は困難です。また、本人以外の衣服、繊維が見つかり、どの店で扱っているのか調査を開始しました」


「今のところ犯人に直接結びつく証拠はなしか。被害者の息子、河村忠明の恋人飯島里美の方はどうかね?」


「今のところ、有力な目的情報はなし。駅など防犯カメラに本人特定に繋がる映像がないことから、自宅から交通機関での移動はないと考えます。おそらく、自宅を出てすぐに、車で拉致された可能性が高いでしょう」


「身代金の電話は?」


「今のところ、犯人から連絡はありません。また、家族からも情報はなしです」


 山川刑事が挙手をし、質問をした。


「河村忠明ですが、河村正利とは確執があり、事件発生時刻は就寝中であったとありますがアリバイの確証はなしです。恋人の飯島里美についても、河村忠明が犯人であれば、説明がつくのでは?」


 佐久間は、首を横に振った。


「山さん、それは私も当初考えた。しかし、飯島里美の母親の話や同僚の話から推察すると、忠明が殺したとはどうしても思えないんだよ。教授の地位を棄ててまで、母親や里美との未来を選んだ少年が、殺人など犯すかな?」


「佐久間警部、今後はどう捜査を進めるつもりかね?」


「はい。現状では何も有力な手掛かりがない以上、まず生きている者を優先に捜査をすべきかと。河村正利、里美、忠明はどこかで繋がるはずです。もう一度里美の足取りについて、広範囲で聞き込みを行いたいと思います」


「わかった。では皆、明日からは班を再編成し聞き込みを開始しろ」


 捜査会議が、終わりを告げた時、電話が鳴った。


「はい、捜査本部。・・・えっ?」


「どうした?」


「南千住で、飯島里美と思われる死体が発見された模様です!」


「ーーーー!山さん、現場に急行だ」


 三十分後、佐久間達は、南千住の現場に到着した。


 発見した交番の警官に話を聞いた。


「巡回中に、路地裏にマネキンみたいな不審物があるなと調べてみたら、手配中である飯島里美に間違いないと思われ、捜査本部に連絡しました」


「何時に発見されましたか?」


「二十一時十三分です」


 佐久間は、飯島里美を触ってみた。


「また、絞殺か。しかもまだ温かい。殺されて一時間程度といったところか?」


 山川が、佐久間に尋ねた。


「家族に連絡を入れますか?」


「ああ。家族に連絡を。時刻は言わずに。アリバイと照合してからだ」


「はい。では飯島家には私から連絡を」


「河村忠明には、私から連絡しよう」


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