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永遠の恋人 〜佐久間警部の要請〜  作者: 佐久間元三
プロローグ
1/18

忠明と里美

「タッくん!お昼だよ?」


 介護ヘルパーで、休み無しで働く河村忠明に今日も恋人の里美が弁当を届ける。


「もう、お昼か?いつも、サンキューな」


 安月給のため、一円でも節約したい忠明を

里美は優しく助け、もう一年にもなる。

 

 どんなに助かっていることか。


「里美ちゃんも、こっちへどうぞ。食べて行くんでしよ?席空けたわよ!」


「えへへ〜。スミマセン」


 周囲にも、すっかり顔馴染みだ。


 忠明に昼飯を届けるだけでなく、人手が足りない時には、気さくにお年寄りの散歩を手伝う姿勢に、たちまち人気者だ。


 中には、里美をヘルパーだと勘違いし、わざわざ電話で指名してくることもある。


「忠、ホントお前には勿体無いな。この幸せモンが?泣かしたら、承知しないぞ」


「トシ兄、茶化さないで」


「アハハ。里美ちゃん、ごゆっくり。忠、昼から浅草一丁目の清水ばあちゃんの訪問に回るから、準備しておいてくれよ」


「はい。準備しときます!」


 この業界に入って、忠明は一から十まで、この近藤俊彦に教わった。


 近藤は、仕事の悩み以外にもプライベートな相談まで乗ってあげるため、兄弟のいない忠明にとって、肉親と同じくらい、この男を慕っている。


 二人はいつものように、介護の合間に昼食を取る。


「今日は、夕飯どうするの?」


「・・・まだ計画中」


「どうせ、タッくんカップラーメンでしょ?母さんが、連れて来なさいって。今日はすき焼きよ」


「和子おばさんが?里美だけでなく、和子おばさんにも敵わないや。もちろん、顔出すよ」


 昼食が終わり、里美はソソクサと帰り仕度をすると、忠明に誰も見ていない事を確認し、そっとキスをした。


「じゃあ、お仕事頑張って。また夜にね。あ・な・た?」


 万遍の笑顔で里美は、自宅へ帰っていった。


「あいつめ。どこで覚えた?ここ数年で急に女房面だな。・・・まぁ、いいか。今日も、あと半日頑張りますか!」


 こうして、忠明の一日は、平穏に過ぎるのであった。


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