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わたし幸せです

心なんか開かない

きっと誰でも一度はこんな経験をしたいと思うんだ。


今私は全力で走っている。年甲斐にもなく手を振り上げ足は大地を蹴って走っている。

もう体力の限界なのだろう、路地を曲がった所で崩れ落ち膝をついてしまう。

「ガァ·····くそが·······」

息もまともにできないほど疲れきったこの男性は何故こんなに走っていたのか、

それは「兄貴、いましたぜここでくたばってますぜ」高校生ぐらいの男子に追いかけられていたからだ。


もし殴られ蹴られでもしたら男性は文字通り虫の息になってしまうだろう。

「よくもまあここまで逃げてくれたものだ、なああー」

兄貴と言われた男子は低く大きな声を響かし横にあるコンクリートの壁を拳で殴りつけた。


殴った場所には大きな人一人通れるぐらいの穴があいていた·····ならかっこよくはあっただろう十分相手に恐怖を与えることもできただろう、しかし残念ながらコンクリートを殴った拳からは血が流れてとても痛そうだった。が、そんなんでやめるならここまで追いかけてきていない男子たちは男性に近づき手を振り上げ全力で振り下ろす。またお腹を全力で蹴りつける。そして誰かが病院へ連れて行かないと明日には男性は亡くなっているだろう重傷を負ったころに、やっと満足したのか帰ろうとする男子たち、そこへ


「なにしてんのかな…君たち」


そんな声に振り返った男子を蹴りひとつでふっ飛ばし後ろにいた男子へとぶつかりそのまま吹っ飛んでいくしまいにはコンクリートの壁をぶち破り建物にぶつかることでやっと止まる。もう今ではこちらの男子たちの方が重傷かもしれない。


「君大丈夫」

しかし男性はまともにしゃべる事すらできず意識がもうろうとしてくる。助けてくれてありがとうと伝えたいのに闇が男性を包みこみ男性は意識を手放した。男性が最後に見たのはとても綺麗な男だった。


これを最後に男性を見た者は誰もいない。





                                          END














「とまぁこんなことがあったんだよね~」

男はにこやかな笑顔を浮かべながらそう言ってくる。しかしこれに納得できないものがいるその者は雪のように、いやそれ以上に真っ白なとても美しい白い髪を天使の血で作ったと言われても納得できる紅玉のようにきれいな赤い瞳をした美少女がとてもきれいな男を睨みつけていた。


「生きてるけど死んでないんだけど」

そう少女は生きている。そしてこの少女こそが高校生男子に暴行を受けていた男性だった。

「そうだね、でも男性としては亡くなったけど」

そんなことをいう男を少女は睨みつける。


しかし、今は誰が見ても美少女と言うだろう外見をしている。そんな少女が自分は男だと言って信じる者がどれだけいるか解るだろうか、きっといないと思うが、もしかしたら中にはそうだね君は男だねと言ってくれる人もいるかもしれない、だが限りなく少ない確率だろう。


そもそもそんなことを言っている美少女を見つけたら精神科をお勧めするか鏡を見て来いと言われることになることなど、少女にもわかっている。

しかし少女は鉄の棒の先にいる男を睨みつける。


そう男性は鉄の棒の先にいるそして少女は鉄の棒に囲まれている。


それが意味するのは、もうおわかりだろう少女は檻の中にいるのだ。と言っても檻の中の広さは学校の教室三つ分ほどの広さはあるが、ただその中には少女二人分ほどの巨大なぬいぐるみや少女より少し大きいぐらいのぬいぐるみとクッションなどがあり、さらにはキングサイズよりでかいベットまである。


「だして」

「いーや」

語尾にハートマークがついていそうな感じで男は言うが少女はあきらめず何度も出してという、しかし男の返事は変わらない。このやり取りを5時間ほど続けたとき──


「首輪の方が良いのかな」

この発言に少女は顔を真っ赤にしていた。少女の心中では、首輪首輪とつぶやくと同時に恥ずかしい妄想でいっぱいになっていた。


「は、良くない良くない今のままで十分です」

男は少女の動揺を知ってか知らずか


「そう残念首輪にしたくなったら──いつでも言ってね」

いきなり男の声が耳元から聞こえたために少女は変な声を出してしまったが男は気にした様子は見せずに続ける


「それと檻から出すつもりはないから運動不足にならないようにスポーツジムにあるような運動器具を近いうちに用意しておくね。それと服と下着以外でほしいものがあったらいってね」

男の発言に驚き服装を確認したが、着ていたのは、なぜか貫頭衣とブラジャーだけだった

「どうかな気にいってくれたかな、いくら小さくてもブラはしないとね形が崩れたら大変だ。あとちゃんとした服が欲しいなら─早く心を開いてね」と笑顔で言うのだった。



少女は睨みつけるが、それほど長くは悪意をいだく事が出来ないことは少女にはわかっていた。

なぜなら、少女を助けてくれたのは紛れもなく目の前にいる男なのだから。少なくても少女には今こんな目に合っていてもそれだけで許してしまうには心を開くには十分すぎるほどだった。

だから少女は今だけは精一杯「誰が心を開くか」虚勢を張るのだった。

読んでくれてありがとうございます。大感謝です。

わたし幸せです を連載しています。よかったらこっちも見てくれたらうれしいです。が、期待は少なめでお願いしますね。


では、おまけ?をどうぞ↓



──真夜中

男は檻の中にいた。少女の手を取り頭をやさしくなでる男は「きっと開いてみせるよ君の心を」そう耳元でつぶやいた。

少女が皆が寝静まった夜に起きたころには檻の中には男の姿は見当たらなかった。

それでも少女の手に温もりは残っていた。

「···あったかい」

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