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僕ラノ戦争  作者: 影都 千虎
乱戦
81/104

10.とある観察者の報告

 猫神(ねこがみ)(よい)、年齢不詳。

 猫神(ねこがみ)(あや)の妹で、『魔力補助』のスキルの持ち主。

 九十九(つくも)(らい)、或いは終夜(よすがら)(らい)のもうひとつの人格としてその身体に宿っていた。

 猫神綾に殺されるため、囚我(とらわれ)廃人(はいと)に情報を売って情報を得て、その機会を伺っていた。


 猫神(ねこがみ)(ゆう)、年齢不詳。

 猫神綾の弟。消息は不明である。

 探査系のスキルを持っている。



 戦うための戦い。強くなるための手段を彼らは取り始めた。

 最初は個々で技を磨いていたようだが実際に使えなくては、ということで彼らは二対二の模擬戦を始めることにする。

 チーム分けはくじで決め、黒岩(くろいわ)(あかつき)昼夜(ちゅうや)空美(そらみ)嘘誠院(きょせいいん)音無(おとなし)と終夜雷という組み合わせになった。嘘誠院音無は戦力に差がありすぎると思っていたようだが、結果から見ればそうでもなかったようだ。

 チームから漏れた戸垂田(へたれた)小坂(こさか)雨宮(あまみや)気流子(けるこ)源氏蛍(げんじぼたる)仁王(におう)はトラップを仕掛け、チームを組んで戦う四人の邪魔をする役割を担った。

『光の壁』を扱う終夜雷が黒岩暁の攻撃を受け止めることによって戦闘は一時間以上続いた。その状況を崩したのが妨害をする三人である。

 雨宮気流子の力を使い、超高水圧の水鉄砲を作り上げた戸垂田小坂の攻撃によって終夜雷と昼夜空美は仕掛けられた罠に捕らえられ戦闘不能となる。

 捕らえられた二人を回収しつつ、着替えと昼食の準備のため、戸垂田小坂は雨宮気流子と源氏蛍仁王を森に残して、昼夜空美、終夜雷と共に自宅へ戻った。


 一方その頃、自宅では猫神綾が目を覚ましていた。

 目覚める直前に見た過去の記憶の夢について彼女は疑問を抱いたようだがそれが何を意味するのかは現時点では分からないだろう。

 猫神綾は近くで眠っていた雨宮(あまみや)雪乃(せつの)の記憶を読むことで大体の状況を把握する。その直後、帰宅した戸垂田小坂、昼夜空美に発見される。

 遅れて部屋にやって来た終夜雷の記憶を読むと、猫神綾の能力が勝手に発動する。それはかつて猫神綾の弟、猫神裕が所有していた能力だった。

 能力の発動により“組織”の接近を知った彼らは森へ再び戻ることになる。


 黒岩(くろいわ)(あかつき)は模擬戦での戸垂田小坂の超高水圧水鉄砲から逃れるため走り回っていた。すると、『黒岩暁の足止め』を目的とした昼夜(ちゅうや)海菜(しいな)と遭遇してしまう。

 黒岩暁は猛攻を仕掛けるが、大量の刃物を身体中に仕込んだ昼夜海菜の前では無意味に終わり、全身を切り裂かれ窮地に追いやられる。そこで彼女が最後にすがったのは、かつて自分を暴走させていた元凶、消えろと願い消したはずの人格、狐だった。

 狐は自らを稲荷(いなり)と名乗り、黒岩暁の人格と入れ替わると圧倒的な力で昼夜海菜を無力化した。


 同時刻に対峙していた琴博(ことはく)桜月(さくらつき)嘘誠院(きょせいいん)音無(おとなし)。その戦闘は琴博桜月の奇襲によって始まったわけだが、源氏蛍(げんじぼたる)仁王(におう)が『最善の選択肢』を示すことで嘘誠院音無は奇襲を回避、逆に琴博桜月に奇襲を仕掛けることになる。

 しかしながら嘘誠院音無と琴博桜月の間には明確な力量の差があり、嘘誠院音無は圧倒されてしまう。

 だが、二人の戦いに決着がつくことはなく、その前に囚我(とらわれ)廃人(はいと)をつれた源氏蛍仁王の一言によって戦闘は中断された。その一言とは、琴博桜月の根源とも言える過去について言及するものであり、琴博桜月が本当に恨むべき人物は嘘誠院音無ではないことが判明した。

 その後、彼らは二手に別れる。

 嘘誠院音無と囚我廃人は久し振りに師弟での再会を果たし、多少過去に思いを馳せたが、嘘誠院音無の身を案じた囚我廃人により強制的に終了する。

 そして囚我廃人は嘘誠院音無を見守りながらとあることに気付いてしまう。


 すなわち、この戦いの前、彼の前に訪れた少女──猫神宵──が九十九雷と同一人物であり、現在実の姉である猫神綾に殺されるために行動しているということだ。


 囚我廃人はそれを阻止すべく、近くに潜んでいた雨宮雪乃に協力を依頼する。猫神綾の名前を出された雨宮雪乃は即座に了承した。

 だが雨宮雪乃は失敗してしまう。

『魔力補助』の能力を持っている猫神宵は、周囲の人間の能力を使うことが出来る。猫神宵は、目論見を邪魔しに来た雨宮雪乃の能力、幻術を雨宮雪乃以上の強さで雨宮雪乃にかけることでその動きを完全に封じる。

 次に雨宮雪乃が動けるようになったのは、猫神綾の手によって猫神宵が殺されたときだった。

 尚、その一部始終を雨宮(あまみや)気流子(けるこ)(むらさき)時雨(しぐれ)が目撃しており、暴れだす雨宮気流子を紫時雨が宥めるようすが伺えた。


 一方、戸垂田(へたれた)小坂(こさか)昼夜(ちゅうや)空美(そらみ)は嘘誠院音無と合流すべく森のなかを駆け抜けていた。その途中、風見(かざみ)(じん)に遭遇し二人は行く手を阻まれる。

 だがそこから戦闘が始まるわけではなく、風見風の目的は『話し合い』だった。

“組織”の内部に関すること、この戦いに絡む『誰か』の思惑のこと。彼は得た情報を戸垂田小坂、昼夜空美に明かすことで信頼を得ようとする。そして、協力を持ち掛けるのだった。

 また、その間に稲荷が昼夜海菜を手懐けたようだ。そして何かを吹き込んだらしい。昼夜海菜は随分と態度を改めた。きっと双子の間のわだかまりがこれを機に解消されることだろう。


 随分と彼らは情報を得ることができたようだ。

 やっと動く。

 やっと始まる。

『世界再建のシナリオ』はここから始まる。

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