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戦争の定義
瓦礫の山。
原型をとどめているものはない。
灰色の空。
空まで壊れてしまったかのようだ。
飛び散った赤い汁。
混じり合って、最早どれが誰のものかなんて分からない。
僕は、絶望の真ん中に立っていた。
いつもそうだ。
何かがほしくて、どうしようもなくほしくて。譲りたくないから必死になって努力して。そして、やっと掴めそうになったときに僕はそれを手放さなきゃいけなくなる。
全部、持っていかれるんだ。
「お前の……」
もう涙すら出ない。これで何度目だ。
こうして全てを破壊して、また失って、僕はいつか何かを得ることはできるのだろうか。
「全部、お前のせいで……!」
僕は吠える。
わかっている。半分は僕のせいなんだ。
僕のせいで全部壊れて、僕のせいでみんな死んでしまったんだ。
それでも僕は恨みをぶつける。
何故ならこれは戦争だから。
僕にとっての戦争は、全ての責任を相手に押し付けなければならないから。
全面的に相手が悪くなれば、僕の戦争は勝利だ。
これは、そんなーーそんな僕たちの、僕らの、戦争の物語。