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お久しぶりです…

「有栖川先輩…」


 いやはやまったく、できることなら会いたくない人だ。そっと窺えば内藤も微妙に顔を引きつらせている。

 当のご本人はやわらか~な笑顔(まず間違いなく営業用)で、おばちゃんに話しかける。


「日替わりの味噌汁と付け合せ、なんですか?」

「わかめと豆腐、切り干し大根とひじきと大豆その他のごった煮。メインは豚生姜」

「じゃ、日替わりで。あと生野菜サラダ下さい。食券はこの従者が持ってきますので」

「はいよ」

「だからなんで俺従者認定ーっ!」


 内藤が涙目で訴えるも、このひとに見込まれたなら諦めるしかないだろう。合掌。明日は我が身だ。


「とりあえず、ココ塞いでると邪魔だから移動ね」


 着いて来ることをまるで疑ってない背中。そんなもんが本当にあるならこれがそれだ。やはりドナドナ。何故に憩いの場であろう食堂でこんな目に。

 本来は券売機で食券を買ってそれを出して注文、という流れなのだそうだが、人が少なくて直で受けられる時や顔パスな有名人は、こうした声掛け後出しもアリなのだとか。そんなことを歩きながら問わず語り。

 更に。


「ファンクラブだか親衛隊だか、まぁ連中がどう名乗ってるのかはどうでもいいとしても。ひとりでいるとそーゆーのが群がってくるんだよね。で、あっちの奥の一角は通称『有名人御用達』。あそこにいればとりあえず外は静か」


 つまりは『有名人』の内輪でうるさい、ということだろう。

 と思ったのが顔に出たのかなんなのか。


「君も『有名人』だから、基本的にココ使って」


 …サトリかこのヒト。


「なんで俺が」

「君には責任ないんだよ、周りが騒ぐだけ」


 和田水流(みずる)


 まるでアナウンサーが言ったかと思って、ハっとした。

 そして見た綺麗なカオは、それすらも折り込み済みだということだ。


「そう、サッカー部。お兄さん。だから君に責はない」

「責はないけど、とばっちりはある、と?」

「君が越境入学してきた理由、こちらからは訊かないけど。言いたくなったらいつでもどーぞ」


 多分ねぇ、と。

 いやもう絶対その言い方『多分』じゃないでしょ!


「良くも悪くも騒がれるから、覚悟して」


 だから生徒会ね、と決定事項で味噌汁を啜る。


「それで風紀会長が御自ら、てか生徒会入れなら会長でしょそこにいるんだし!」


 それなりには抑えたのだろう声で、けれど指したふたりを強く睨む内藤と、綺麗な可愛い子の二人連れがいた。

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