【揺花草子。】<その1139:a cup of happiness.>
【揺花草子。】<その1139:a cup of happiness.>
Bさん「阿部さん阿部さん。今日3月11日。」
Aさん「うん・・・そうだね。」
Bさん「ぼくら【揺花草子。】的にはこの日を迎えるのは都合4回目になりました。」
Aさん「そうか・・・あれからもう4年目・・・。」
Bさん「ぼくら【揺花草子。】はふだんは毒にも薬にもならないようなネタを
ネットの荒海に投下することを生業としているわけだけれども、
今日この日だけはね。いつもと違います。」
Aさん「うん・・・。」
Bさん「そして、毎年そうであるように、今年もまた、中の人からは特段
これと言ったディレクションもなく、完全にぼくらにお任せって形になってます。」
Aさん「それも恒例だね。」
Bさん「言ってもさ、ぼくらが今日この日に伝えたいこと、言いたいことは、
これまでも言って来たからね。
改めて言うべきことはもうないよ。」
http://www.studiohs.com/28if/brief/2012/03/11.html
http://www.studiohs.com/28if/brief/2013/03/11.html
http://www.studiohs.com/28if/brief/2014/03/11.html
Aさん「うん。」
Bさん「そんなわけで、せっかくだから、今日はぼくのママンに話してもらおうと思う。」
Aさん「ほう、なるほど・・・。」
Cさん「まあぶっちゃけそのために私今月ずっと出演することになったって背景もあるしね。」
Aさん「あ、そう言うことだったんですね。」
Cさん「あの日私たちに何があったか・・・ってのはまたいつかどこかで
話す機会があるかも知れないからここでは話さないでおくけれども、
実際私もブリジットもすごく衝撃を受けたのよね。
それはまぁこの街に住むみんながそうだったのだとは思うけれども。
電気もガスも水も止まったし、有り体に言えば困窮したわよね。」
Aさん「まあ・・・そうですよね。」
Cさん「でも、みんながみんな大変な時なのに、みんな優しかったのよね。
なんだかんだ私たちって日常の中でも外国人だってことで
まぁいろいろ厄介事や面倒事があったりするんだけど、
あの時は日本人とか外国人とか関係なくみんな優しかった。
とてもありがたかったわ。」
Aさん「なるほど・・・そう言う苦労もあったんですね。」
Bさん「女2人はやっぱり心細かったりもしたけどね。」
Cさん「でも、私はあの出来事でいろんなことを知った気がするの。
それに、大袈裟に言えばある種の価値観を変えさせられた。」
Aさん「価値観・・・。」
Cさん「こう言うと少しわがままに聞こえるかも知れないけど、
人はそれぞれ、自分の幸せのために頑張れればそれでいいんだ、って言うか。」
Aさん「自分の・・・幸せ──。」
Cさん「毎日を楽しく生きるために、毎日を頑張る。
そう言う人たちがたくさんいることで、
みんなが頑張って、みんなが楽しく幸せになれる。
青臭くて観念論的で理想論的かも知れないけどね。
あ、もちろん自分の幸せのために他の人を追い落すなんてもっての他よ。
でも、そうじゃない限りは。周りの誰をも困らせない範囲内でなら。
自分の価値観が許す限り、精一杯、自分にわがままでいいんじゃないかなぁって。
──私は、そう思うのよ。」
Aさん「自分の価値観が許す限り・・・」
Bさん「自分にわがままで・・・。」
Cさん「そう。
人からもらう幸せもすごく大切だしかけがえのないものだけどもね。
でも──自分のことをいちばん上手に幸せにできるのは自分自身なのよね。」
Aさん「そう・・・かも知れませんね。」
Cさん「だから私は、ブリジットにも、阿部さんにも、
自分の力で自分なりの幸せを探して欲しいと思う。
自分が幸せだと思えることに全力であって欲しいと思う。
もちろん他の、大きく言えば世界中のみんなにも。」
Aさん「──はい。」
Bさん「うん・・・。」
Cさん「世界はそんな単純でも簡単でもないけれども、
世界中のみんなが、今よりちょっとだけ多めに毎日に小さな幸せを
感じられるようになればね。
その先にきっと、今よりずっと優しい世界が待ってるんだろうなって、
年甲斐もなくそんなロマンチックなことを信じたいとね。
思うようになったの。」
Aさん「ええ・・・確かに非現実的な理想論みたいに思われるかも知れませんけど、
そんな風に思ってもいいかなって、ぼくも思います。
ぼくはまだそこまでこの世界に絶望してませんから。」
Bさん「ま、その点に関しては・・・。
ぼくはママンと同意見だから・・・。」
Cさん「──うんうん。見込みのある若人たちだわ。
頑張りなさい、若者たち。
その両手を広げた範囲をあなたたちそれぞれの幸せで満たしてみせなさい。
(そしてそれがきっといつか──重なるときが来るかも知れないしね。)」
Bさん「──うん。」
Aさん「頑張ります。」
みんなが頑張れればきっとそれで。
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