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【揺花草子。】(日刊版:2015年)  作者: 篠木雪平
2015年2月
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【揺花草子。】<その1116:ドキュメント2.14 #3>

 【揺花草子。】<その1116:ドキュメント2.14 #3>


 Cさん「まあ何はともあれ、ようやく全員揃って良かったわ。

     でも阿部さんがまさか遅れて来るなんて驚きよ。

     中の人はこのあと反省会ね。」

 中の人「いやっ!! なんでぼく怒られ・・・いや怒られるのは分かりますけど

     なんでカトリーヌさんにそんなこと言われなきゃいけないんですか!」

 Cさん「乙女の純真を踏みにじった罪は万死に値するわよ。

     ブリジットを泣かせた──それだけで怒る理由は充分よ。」

 Bさん「(なななな泣いてはないよ・・・////)」

 中の人「第一踏みにじったなんて大袈裟な・・・」

 Cさん「でもね、さっきの私の科白は、ホントは阿部さんが言うべき科白よ。

     これはちょっと阿部さんも反省会ね。」

 Aさん「いや知りませんけど!! なんですかその唐突すぎるフリ!!?」

 Cさん「そんなんだからせっかくのバレンタインにチロルチョコでお茶を濁されたりするのよ。」

 Aさん「ホントにそうなの!!? チロルチョコなの!!?

     いやもらえるだけありがたいですけど!!」

 Cさん「ただし普通のチロルチョコではありません。

     ご存知ロイズの生チョコを模した・・・」

 Aさん「・・・ふふふっ、そう来ると思ってましたよ!」

 Cさん「えっ?」

 Bさん「(急に芝居がかった台詞になった・・・)」

 Aさん「ぼくが今日午前中遅れて来た理由は何故だったのか・・・

     その点をあなたはもっと真剣に考えるべきでした!」

 Cさん「なん・・・ですって・・・!!?」

 Bさん「(うわこっちも芝居がかって来た・・・なにこれアドリブ? 仕込み?)」

 Aさん「いや、こう言うべきかな?

     『カトリーヌさん、このあと反省会ですね』」

 Cさん「・・・ッッッ・・・!!」

 中の人「(なにこの茶番・・・)」

 Aさん「ブリジットか・・・カトリーヌさんか・・・どちらかが

     ロイズのチロルチョコを持って来るであろうことは予想できていました。

     ならばぼくはどうするか?

     そして今日ぼくが遅れて来た理由・・・。

     ──その答えがこれです!」

 Cさん「こっ・・・これは!!

     ロイズの生チョコレート!!!」

 Aさん「そうです!

     バレンタインにふさわしいロイズ×ウィスキーシリーズのひとつ、

     『ロイズ生チョコレート【バランタイン17年】』です!!」

 Bさん「(バランタインは『V』でなく『B』だったような気がするけど・・・)」

 Aさん「女子でごった返す売り場にいいトシしたオッサンがソロで吶喊決め込んで

     手に入れてきた逸品です!

     ロイズにロイズで返すと言うこの妙手! どうですか!!」

 Bさん「(なにこの強気・・・)」

 Cさん「・・・ふふふ・・・」

 Aさん「!!?」

 Cさん「おーっほっほっほっほ!! それがあなたの奥の手!?」

 Bさん「うわっ!! いかにも悪役キャラが言いそうなセリフ出た!!」

 Cさん「阿部さん、愚かね。前のめり過ぎる男は嫌われるのよ。

     女の話をきちんと聞いて、充分に咀嚼して、気の利いた答えのひとつも返せなければ

     男として落第よ。

     そう、あなたみたいな人にピッタリの言葉があったわ。

     なんだったかしら・・・。

     ・・・そう、『阿部さんこのあと反省会ね。』だったわ。」

 Aさん「なっ・・・!」

 Cさん「私はまだこちらの手札を見せていないわよ?」

 Aさん「いやっ・・・ロイズのチロルチョコって・・・」

 Cさん「そうかしら? 私はこう言ったはずよ。『ロイズの生チョコを模した・・・』」

 Aさん「それがチロルチョコのことでしょう!」

 Cさん「『・・・チロルチョコの、その元ネタとなったものがこちらです。』」

 Aさん「っっっっ!!!!!」

 Cさん「フランスの香り漂う『ロイズ生チョコレート【シャンパン(ピエール・ミニョン)】』。

     そこには私たちの故郷の風や空や花の匂いにも想いを馳せて欲しいと言う含意!

     いつものバレンタインのプレゼントと思わせて、

     その実自分のことも少しだけ見て欲しいと言う内緒の気持ちをそっと隠す

     素直になれない、でもいじらしい乙女心を演出しているのよ!!」

 Bさん「(演出!! 演出ってハッキリ言っちゃうんだ!!

      イヤそれはそうかも知れないけども!!)」

 Aさん「くっ・・・。

     最初から・・・ぼくが前のめりに来ると読んでいたと言うんですか・・・。」

 Cさん「──まさか。

     最初に言ったでしょう、私たちは阿部さんが遅れて来るなんて思ってもいなかったのよ。

     だから、ね?」

 Aさん「えっ」


 Cさん「阿部さんが生チョコ出して来たときには、

     正直ちょっとキュンと来ちゃったわよ?」

 Aさん「っっっっ////」

 Bさん「もぉぉーーー!!!!!

     なんなのもぉぉーーー!!!!!////」


 蚊帳の外感。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2015/02/16.html


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