【揺花草子。】<その1420:笑えばいいと思うよ。>
【揺花草子。】<その1420:笑えばいいと思うよ。>
Bさん「来年の話をすると鬼が笑うって言うじゃないですか。」
Aさん「えぇ言いますけど・・・。
昨日の続きなんだね・・・。」
Bさん「昨日は鬼役の阿部さんが来年の話じゃ笑わないとか言ってたくせに
幼女の話題にあっさりデュフフフって笑ってたね。
阿部さんの中の鬼が荒ぶってたね。」
Aさん「デュフフフとは笑ってない!!! そう言う言い方しないでくれる!!!??」
Bさん「とにかく、来年の話をすると鬼が笑うと言う慣用句。
一般的に言って、鬼とは、恐ろしい形相をし猛り狂う容貌じゃないですか。」
Aさん「まあ、一般的なイメージとしては、そうだよねぇ。
とても強くてとても怖いイメージだよね。」
Bさん「そんな彼らにはとても笑顔は似合わないじゃないですか。」
Aさん「まあ・・・それはそうかも。
こっちを威圧するような恐ろしげな表情だよね。」
Bさん「ぼく思ったんだけどさ、彼らは笑わないんじゃなくて笑えないんじゃないかな。」
Aさん「んっ・・・え? なにそれどう言うこと?」
Bさん「つまり、鬼が鬼たるために、彼らは笑顔を見せることを許されていない。
あるいは、鬼となってしまったがゆえに、鬼として生まれてしまったがゆえに、
笑いのような幸せな感情が失われている。
笑いたいのに。笑い方が分からない。
そんな悲しみを、彼らは背負っているのかも知れないよ。
彼らはあの恐ろしい形相をしながら、心は泣いてるかも知れないんだ。」
Aさん「いや、うーん・・・どうかな・・・。」
Bさん「だからね、ぼく、誓ったんだ。」
Aさん「え? なにを?」
Bさん「鬼たちが心から笑ってくれるなら。
彼らが笑顔を見せてくれるなら。
ぼくはいくらだって来年の話をするよ。」
Aさん「なにその意味不明な慈愛の心。」
その優しさは種族の壁を超える。
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