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【揺花草子。】(日刊版:2015年)  作者: 篠木雪平
2015年2月
35/365

【揺花草子。】<その1104:あなた方もどうぞ中へ。>

 【揺花草子。】<その1104:あなた方もどうぞ中へ。>


 Bさん「昨日は節分だったじゃないですか。」

 Aさん「うん・・・今日もその話続くんだね?」

 Bさん「しょうがないよ、ぼくら的には節分はまだちょっと先だもん。

     最近流行りの言い方をすれば時空の歪みが生じてるんだよ。」

 Aさん「どこの流行りだよ。」

 Bさん「とにかく節分です。

     毎年2月3日だけど、これは厳密には『立春の前の日』と言う位置づけになります。」

 Aさん「うん、そうだねぇ。」

 Bさん「そして立春・・・まぁ立春に限らないんだけど、二十四節気は地球の公転の関係で

     日付がずれたりしますので、10年後ぐらいには節分は2月2日に

     なるかも知れないんだって。」

 Aさん「へぇ・・・そうなんだ。」

 Bさん「まぁそれはそれとして、節分と言えば豆まき。

     鬼は外―福は内―。ですよね。」

 Aさん「うんうん。季節の恒例行事ですよね。」

 Bさん「本当の鬼は人間の心の中に棲んでいるのだから

     決して追い出すことなど出来はしないと言うのにね。」

 Aさん「イヤッ!! なに言ってんの!? そう言う世情批判みたいなコトやめて!!」

 Bさん「まぁとは言え、こう何100年もの間、もしかしたら1000年とかもっと、

     節分と言う風習は続いて来たわけですよね。

     それだけ長きに渡り、人々は鬼を駆逐してきた。」

 Aさん「はぁ・・・うん、まぁ、そうなるかなぁ。」

 Bさん「逆の見方をすれば、それだけ長きに渡り、鬼たちは人間から

     迫害を受けて来たとも言えますね。」

 Aさん「おっ・・・そう言う視点・・・」

 Bさん「毎年この時期になると人間どもが大挙して鬼たちに襲い掛かってくる。

     『魔を滅せ』と口々に叫び、豆を投げつけてくるわけだ。

     そうして鬼たちは、失意の中で撤退を余儀なくされる。」

 Aさん「うーん・・・。」

 Bさん「でもさ、こんなに長い期間虐げられて来たらさ、そりゃ鬼たちだっていい加減

     何らかの対策を打って来るんじゃないかな?

     毎年無策に人間たちに襲い掛かって無意味に駆逐されるほど彼らは無能だろうか?」

 Aさん「えっ・・・な・なにそれどう言うこと・・・?」

 Bさん「つまり鬼側もいい加減豆を無効化する武装なり作戦なりを

     用意して来てるんじゃないかってこと。

     それに気付かず、人間たちは毎年毎年バカの一つ覚えみたいに

     『豆まいときゃ良いだろ』みたいな思考停止でただただ豆をまき散らし悦に浸る。

     そんな慢心をこそ、鬼たちは狙っているんじゃないだろうか?」

 Aさん「いやー・・・それはどうだろう・・・?」

 Bさん「人間の世の中が毎年進歩しているように、鬼たちだって成長していく。

     今年は豆で首尾よく鬼たちを撃退できたかも知れないけど、

     来年はどうか分からないってことだよ。

     人間は決して鬼たちのポテンシャルを軽んじてはいけないはずなんだ。

     人間は弱く小さな生き物なのだから。

     万物の霊長などと言う不遜な肩書に甘んじてはいけない。

     獅子は兎を狩るのにも全力を尽くすと言うよ。

     人間たちだって、本当に鬼を殲滅したいなら、もっと知恵を絞るべきだ。

     でもできることなら鬼たちと融和を図るべきだ。

     寛大な心をもって、鬼たちを赦すべきだ。

     鬼たちと共に在るセカイを模索するべきだ。」

 Aさん「うーん・・・。そうだろうか・・・。」


 Bさん「人間が鬼に勝っているのは

     知恵と慈愛の心だけなんだから・・・。」

 Aさん「そう言う話!!?」


 鬼の指が人間より2本少ない理由だそうです。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2015/02/04.html


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