【揺花草子。】<その1411:歴史のお勉強。>
【揺花草子。】<その1411:歴史のお勉強。>
Bさん「『皇帝』と書いて『しいざあ』と読む子供がいるらしいよ。」
Aさん「っっっ・・・!
ちょっ・・・そう言う話題は・・・!」
Bさん「いやまあ、これはね、ちゃんと言っておかなきゃいけないと思うんだ。
大人になったとき、本人には落ち度がないのに回りから色眼鏡で見られちゃう運命を
背負わせてしまうのは不憫でなりませんよ。」
Aさん「いや・・・うーんと・・・
そう言う人の考え方にはあまり立ち入らないのが
スタンスなんじゃなかったっけ・・・?」
Bさん「それはそうなんだけど。
でも、明らかな誤りを放置しておくのは決して良くないと思うんだ。」
Aさん「誤りとは?」
Bさん「あのね、しいざあ、これは誰のこと?」
Aさん「えっ・・・そりゃ、ジュリアス・シーザーのことなんじゃないの?」
Bさん「だよね。『しいざあ』って名付けようとする親御さんって、たぶん普通は
そこをイメージしてると思うんだ。」
Aさん「うーん。」
Bさん「英語ではジュリアス・シーザーだけど、ラテン語ではユリウス・カエサルと言います。
より正確にはガイウス・ユリウス・カエサルだね。」
Aさん「うんうん。
古代ローマの皇帝だよね。」
Bさん「違います。」
Aさん「えっ!? ち・違うってなによ。
古代ローマの人でしょ?
『賽は投げられた』とか『ブルータス、お前もか』みたいな名言が残るあの人でしょ?」
Bさん「それはそうです。
そこは正しい。」
Aさん「じゃあ何が違うって言うのさ・・・。」
Bさん「あのね、ガイウス・ユリウス・カエサル、ここでは省略してカエサルって呼称するけど、
カエサルが生きた時代のローマは共和政国家でした。」
Aさん「共和政・・・」
Bさん「そして彼の役職は『ディクタトル』日本語で言うと『独裁官』。」
Aさん「ディクタトル・・・」
Bさん「ちゃんと歴史を踏まえて言うと、
カエサルが登場した時代は古代ローマ共和政末期。
それまで450年続いた共和政はだが、その頃にはかなりの腐敗と権力闘争が跋扈する
まさに末期的な状態であったと言います。」
Aさん「ふむふむ。」
Bさん「ガリア戦争などで名を挙げたカエサルは執政官、次いで独裁官、
そして最終的には終身独裁官を歴任。
これによって彼は名実ともに共和政ローマの覇者となった。」
Aさん「なるほど・・・。」
Bさん「でも彼はここまでだ。
終身独裁官に就任してからわずか数か月後、ご存じブルートゥスにより暗殺される。
紀元前44年の出来事です。
最後の言葉はあまりにも有名だね。
まあその名言はご存じシェイクスピアの創作と言う説もあるけど。」
Aさん「うん・・・。」
Bさん「ま、とにかく、重要なことは、
ユリウス・カエサル、つまりジュリアス・シーザーは
ローマ皇帝に就任していないと言う厳然たる歴史的事実。
帝政ローマ、いわゆるローマ帝国はカエサルの死から約四半世紀後・紀元前17年に
彼の甥であるオクタヴィアヌスが初代皇帝に就任した時が始まりです。」
Aさん「お・おぉ・・・。」
Bさん「なのでジュリアス・シーザーを意識して
『皇帝』と名付けるのは
名付けた人間の不見識に他ならないと言うわけ。」
Aさん「マジでか・・・!!!!!!!」
ただ皇帝の称号として『カエサル』『カイザー』『ツァーリ』などが用いられることはある。
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