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【揺花草子。】(日刊版:2015年)  作者: 篠木雪平
2015年10月
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【揺花草子。】<その1369:第二章。>

 【揺花草子。】<その1369:第二章。>


 Bさん「そんなわけで、市川家の嫁であるところのケイコさんなんだけどね。」

 Aさん「そんなわけってどんなわけだよ。

     市川家ってなんだよ。どっから出てきた話だよ。」

 Bさん「えぇ〜? ちょうど1年くらい前に話したじゃ〜ん!

     嫁姑問題に揺れる市川家だよ!!」

     http://www.studiohs.com/28if/brief/2014/10/29.html

 Aさん「えっ・・・あぁー・・・あれか、あの『秋茄子は嫁に食わすな』の話のか・・・!

     まさかの続きなの!?」

 Bさん「去年予告したじゃないの。当然続きますよ。

     整理すると、旧来からの名家である市川家に嫁入りしたケイコさんは

     でもお姑さんとそりが合わず、何かとつらい日々を送っていた。

     そんな折ケイコさんと旦那のジュンイチさんの間に子供ができ、

     それと時を同じくしてお姑さんが病に倒れてしまう。

     お姑さんが亡くなる直前、ケイコさんは女の子を出産。

     お姑さんは自分がケイコさんに冷たく当たっていたのは市川家を守るものとして

     あなたに求めていたものがあったから・・・と明かし、

     新たな家族が生まれた様を見守り満足感に包まれながら

     天国へ旅立っていった、と言う話でした。」

 Aさん「はぁ・・・。

     で、今日はその続きなんだ?」

 Bさん「そうそう。今日の主人公はケイコさんの娘・シノさんです。

     おばあちゃんから1字もらって名付けられた大切な一人娘ですが、

     年頃に育ったシノさんはしつけの厳しいお母さんのケイコさんとなにかと衝突しがち。

     『シノ、とっくに門限は過ぎてるでしょう! どこに行っていたの!

      日舞の先生をお待たせして・・・!』

     『ちょっと友達と遊んで来てただけじゃん! いちいちうるさいなぁ・・・!』

     『うるさいって何よ! あなたのためを思って言ってるのに・・・』

     『出たよ・・・その押しつけがましい言い方が腹立つの! 別に頼んでないし!!

      日舞だってピアノだってお茶だって別にやりたくてやってるわけじゃないし!!』

     『シノ!!』」

 Aさん「うわー・・・思春期真っ只中感すごいねぇ・・・。」

 Bさん「見た目はこけしみたいなのにね。」

 Aさん「えっ!? シノってそのシノなの!!? キャラぜんぜん違うけど!!?」

 Bさん「とにかく、何かにつけお母さんに反抗するシノ。

     なによりシノがお母さんに不満なのは、生まれてこの方シノは自分の食卓に

     秋の味覚である茄子が上がったのを見たことがないことでした。」

 Aさん「そ・そんな些細なことが不満なの?」

 Bさん「回りの友達なんかはね。『茄子なんて別に美味しくないよ』『そんなに好きじゃない』

     なんて言ってるけど、シノは今まで一度も茄子を味わったことがない。

     だから本当に美味しくないのかも解らない。

     それはつまり自分には茄子を評価する知識が欠けていると言うことだ。

     みんなから劣っていると言うことだ。

     それが、シノは、悔しかった。

     蝶よ花よと育てられ、周りからちやほやされて来ていた彼女が、

     少しずつ大きくなるにつれ周りから『そうでもない』と思われつつあった中で、

     自分の臆病なプライドを守るために、自分は回りより優れていようと思い続けて来た。

     なのに、彼女は茄子を知らない。

     その他の、周りの友達が羨むような食べ物はいくらも食べたことがあるけれど、

     なぜか茄子だけは経験がない。

     自分は茄子を語る言葉を持たない。

     その事実に気付いてから、そんな些細なことが、シノにとっては

     とても大きな胸の疼きになったんだよ。」

 Aさん「うーん・・・。」

 Bさん「些細な綻びがいつしか全体を蝕んでいくことは良くあることだ。

     1か所嫌なことがあるだけで、その人全部を否定したくなる気持ち。

     精神的に不安定な思春期の少女ならそんなのはざらにあることだよね。

     そんなわけで、シノが高校に上がる頃には、お母さんのケイコさんとシノの間には

     ほとんどまともな会話も成り立たず、顔を合わせれば喧嘩ばかりの日々・・・と言う

     感じになってしまった。」

 Aさん「それは・・・弱るねぇ・・・。」

 Bさん「父親のジュンイチはそのあたりをケイコに一任している。

     基本的に子育てにノータッチであることで、ケイコさんの孤独も深まる。

     市川家と言う名家に嫁いだ身、血族親族の目もあり、

     亡きお義母様から最後に掛けられた期待に答えられない不甲斐なさもあり、

     ケイコさんは次第に疲弊していく。

     そんな時、決定的な事件が起きてしまうんだ。」

 Aさん「け・・・決定的な事件・・・?」


 Bさん「それは来年お話しするよ。」

 Aさん「マジでか!!!!!

     なにその投げっぱなしなフリ!!!!!」


 ある程度考える時間も必要ですので・・・。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2015/10/27.html


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