【揺花草子。】<その1368:滑舌。>
【揺花草子。】<その1368:滑舌。>
Bさん「ここでもよく話題に出すけど、ぼくはバス子なんですよ。」
Aさん「いやバス子って言う言い方は初めて聞いたよ。」
Bさん「鉄道好きな女の子のことを鉄子って言ったりするじゃない。
そのノリでバス子なんだけど。」
Aさん「いやきみは別にバス好きなわけじゃないだろ。
毎朝ここ来るのにバスに乗ってますってだけだろ。」
Bさん「なに言ってんの! バス超好きだっての!!
バスに乗ったらまず運転手さんの名前をチェックして、
その日の運転を事細かに評価するぐらいバス好きだっての!!」
Aさん「それはバスじゃなく運転手が好きなだけだろ!!
って言うか好きってわけでもないだろ!!」
Bさん「ある運転手さんはいつもブレーキが急で信号の代わり端も突破しがちだとか、
あの運転手さんはすぐクラクション鳴らすとか、
この運転手さんはバス停付近が渋滞しててもかたくなに
バス停に着くまでドア開けない融通の利かない人だ・・・とか、
いろんな傾向が見えるよ。」
Aさん「いやな客だな!!!」
Bさん「ま、そんなわけでバスには一家言あるぼくなわけですけど、
その朝もいつものように、バスに揺られながら車窓を流れる
街並みを眺めていたわけです。」
Aさん「ふむふむ。」
Bさん「普段はぼくが乗るところでは多少空席もあるバスの車内だけど、
その日は朝から少し天気が悪くてさ、社内は込み合ってて
ぼくが乗った時には空席はなかった。
なので吊革に掴まってたわけです。」
Aさん「なるほど。」
Bさん「・・・いや、ごめん。実は吊革じゃなくて手すりだったんだ・・・。
吊革はちょっと高くて手を伸ばさないと届かないんだ・・・。」
Aさん「ちっちゃい子ががんばって吊革に手を伸ばす図!!」
Bさん「ま、それはそれ、しばらくすると乗客もかなり捌けてきて、
ぽつぽつ空席も出てきた。
なのでぼくも座席に座ることにしたんです。
バスの後方の、ちょうど後部タイヤがあるあたりかな。」
Aさん「なるほど。」
Bさん「しかし、座った瞬間にぼくを襲う違和感。」
Aさん「違和感・・・?」
Bさん「なんだかその席、妙に石油の臭いがした。」
Aさん「せ・石油・・・!? マジで? どう言うこと・・・?」
Bさん「いや石油じゃないのかも知れない。もしかしたらガソリンの臭いなのかも。」
Aさん「えっ!!!
そ・それってもしかして、ガソリンが漏れてる的なアレじゃないの・・・!?」
Bさん「だよね? ちょっとなんか心配になっちゃってさ。」
Aさん「いや、うん・・・なんかすごい危険な香りがするよ・・・。」
Bさん「リアルにバスガス爆発するんじゃないかと。」
Aさん「現実になって欲しくない!!!!!」
大惨事になってしまう。
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