【揺花草子。】<その1213:あとから辻褄を合わせていく。>
【揺花草子。】<その1213:あとから辻褄を合わせていく。>
Bさん「昨日のおハナシでさ。
栄枯盛衰を端的に表す例としてご存じ『平家物語』を挙げたじゃん?」
Aさん「ああ、うん。そうだったね。」
Bさん「平家の盛衰はだいたい1,000〜800年ぐらい前だけど、
この『平家物語』が成立したのは700年ぐらい前だと言われています。」
Aさん「ふむふむ。」
Bさん「これの冒頭の序文はとても有名だよね。
阿部さん知ってる?」
Aさん「もちろんだよ。高校の時古文の授業で暗唱させられたもん。
『祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。
沙羅双樹の華の色、盛者必衰の理をあらはす・・・』」
Bさん「そうそう。やるねぇ阿部さんちゃんと覚えてるね。」
Aさん「まあね・・・。
『方丈記』とか『徒然草』とか『おくのほそ道』とかも
覚えさせられたもん。」
Bさん「うんうん、そう言えば『方丈記』も万物の流転性を語っているね。」
Aさん「あぁ・・・『ゆく川の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず』ね・・・。」
Bさん「ま、それはそれ、その『平家物語』序文ですよ。
冒頭の『祇園精舎の鐘の声』ね。」
Aさん「うん。」
Bさん「この祇園ってさ、一見さんお断りのお店がいっぱいある
歴史と伝統と風雅で彩られるあの京都の花街のことじゃないんだよ。」
Aさん「あ・・・そうなの?」
Bさん「京都の祇園にあるお寺かなんかだと思ってたでしょ?
そうじゃなくってね、ここで言う祇園精舎って言うのは
インド北部、ネパール国境に近い
ウッタル・プラデーシュ州シュラーヴァスティー県と言うところにあった
寺院なんだって。」
Aさん「え、そうなの?」
Bさん「そうなの。
今はもう寺院自体はなくなってるんだけど、
一帯は歴史公園に指定されていると言います。
当時の遺構もいろいろ残ってるみたいだよ。」
Aさん「ほほう・・・。」
Bさん「でさ、『祇園精舎』で画像検索すると、
その『平家物語』で描かれた鐘撞き堂の写真がいっぱい見つかります。」
Aさん「ほほう、そうなんだ。
じゃあ鐘撞き堂は残り続けているんだね。
鎌倉時代に物語を書き残した人々の記憶を今に伝えているんだ・・・。」
Bさん「いや、そう言うわけでもないらしい。」
Aさん「・・・え? どう言うこと?」
Bさん「もともと祇園精舎には鐘はなかったんだって。」
Aさん「えっ!!? そうなの!!?
じゃあ『祇園精舎の鐘の声』って・・・!」
Bさん「今ある鐘と鐘楼は2004年に
日本が寄贈して設立したものだそうです。」
Aさん「そんな新品なんだ!!???」
ぼくの考えた祇園精舎の鐘的な。
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