【揺花草子。】<その1204:虹の彼方に。>
【揺花草子。】<その1204:虹の彼方に。>
Bさん「最近お芝居に興味がありまして。」
Aさん「へえ、そうなの?
舞台を観に行ったり?」
Bさん「いや観る方じゃなくて。やる方。」
Aさん「え、そうなんだ? それは意外だなぁ・・・。
きみにそんな趣味があったなんて知らなかったよ。
どっかの劇団に入ってたりするの?」
Bさん「いやいや、趣味って言うほどのアレじゃないんだよ?
ただ少し興味があるって言うだけで・・・。
劇団に所属してるとか、それ以前の話だから。」
Aさん「はあ・・・。」
Bさん「劇団と言えばさ、この街には小っちゃい劇団がいっぱいあるんだってね。」
Aさん「ああ、なんかそうみたいだね。『劇都』なんて言われたりしてるらしいよね。
ぼくはそんなに演劇のこと詳しくないけど、なんか誇らしくなっちゃうね。」
Bさん「うんうん。
そこで今日は阿部さんにぼくの演劇の練習のお手伝いをしてもらおうと思ったよ。」
Aさん「お手伝い・・・ですか?
なに、裏方さん?」
Bさん「いやいや、裏方さんは中の人が担当だから。」
中の人「(聞いてない)」
Aさん「ブースの向こうでめっちゃ『聞いてない』って顔してるけど。
じゃあ・・・なにをすればいいの?」
Bさん「二人芝居の相方をやって欲しいの。」
Aさん「えっ!! それハードル高くない!?
ぼく演技とかしたことないんだけど!!?
幼稚園とか小学校の学芸会でも『木G』の役とかだったんだけど!」
Bさん「今や『木G』はちょっとした花形だと思うけど、まあそれはそれとして。
だって阿部さんだって新人声優さんの演技の質の低さをさんざん腐す程度には
演技に一家言あるわけじゃない?」
Aさん「イヤッ!! そう言う言い方しないで!!?
自分ができるかどうかってのは別問題だしね!?
第一フィールドが違うだろ!」
Bさん「まあ別に阿部さんにそこまでのクォリティは求めてないから気楽にお願いするよ。
ぼくの練習台になってくれればいいだけだから。」
Aさん「はあ・・・そう言うなら、まぁ。
で、ぼくはなにをすればいいの?」
Bさん「あのね、『オズの魔法使い』をやりたいの。」
Aさん「『オズの魔法使い』を二人芝居でやるの?
あれけっこう登場人物多くない?」
Bさん「そうなんだけど、そこは2人しかいないんだからしょうがないよ。
ぼくはヒロインのドロシー役をやるからね。
阿部さんはかかしとブリキの木こりとライオンの役をやってね。」
Aさん「一人3役!? 兼ね役にしても役大きすぎない!?」
Bさん「そうかなぁ、阿部さんに適役だと思うんだけど。」
Aさん「そ・そうですか・・・?」
Bさん「だって阿部さんは
脳みそ空っぽだし心がないし臆病者じゃん?」
Aさん「酷い言われよう!!!!」
エメラルドの都に辿り着く前にバッドエンドを迎えるパターン。
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