【揺花草子。】＜その1198：文系。＞
【揺花草子。】＜その1198：文系。＞
Ｂさん「いわゆるバイラルメディアがどうにも好きじゃありません。」
Ａさん「あぁ・・・そうなの？」
Ｂさん「バイラルメディアの定義についてはいいよね？」
Ａさん「うん、一応。」
Ｂさん「じゃあ解説よろしく。」
Ａさん「えっ！！ そこ投げ捨て！！？
えー・・・なんと言うか短いコンテンツをポンポンまとめて作った、
SNSでシェアされるのを主目的にしたような記事・・・で合ってるかな？」
Ｂさん「まあだいたい合ってる。と思う。」
Ａさん「それが好きじゃないんだ？」
Ｂさん「好きじゃないって言うか、なんだかなぁって思う。」
Ａさん「面白くないって事？」
Ｂさん「いや面白いんだよ？ 面白いから問題なの。」
Ａさん「えぇー・・・。どう言うことだろう・・・。」
Ｂさん「表層的な面白さなんだよね。
なんて言うかさ、ネット上に点在するネタをかき集めて
一つの記事に仕立てました、みたいなコンテンツが多いじゃない。」
Ａさん「まあ、だいたいそんな感じだよね。」
Ｂさん「もちろん全部が全部そうというわけじゃないけど、
中にはそのコンテンツを最初に世に出した人の転載許可を得ずに
まんま丸コピーでただ適当に情報を並べてるだけみたいなさ、
そう言う悪質なやつも見受けられるんだよね。」
Ａさん「あぁ・・・。まあ確かに良くトラブルの話聞くね。」
Ｂさん「情報量が増加の一途の中でそれを処理する時間がますます限られていく現代人には
ポイントだけポンと出してパッと分かりやすくて、
数を捌きやすいタイプの情報のほうがウケがいいのは納得できる。
思考と判断は有限な時間と言うとっても貴重なリソースを大きく消費するからね。」
Ａさん「まあ・・・そうかもね。
そう言うところが表層的だって言うこと？」
Ｂさん「そうそう。パッと見て脊髄反射的に理解してもう次の情報を見に行く。
物事は表層に現れる事柄でその全てを表しているわけではないのにさ。
それをそれたらしめる内側の情報もたくさんあるはずなのに、
情報が氾濫しすぎていていっこいっこの内側を追うには時間が足りなすぎる。」
Ａさん「それはまあ確かにそうだけど・・・。」
Ｂさん「しかもそう言う断片的な情報って結局まとめた人のバイアスがかかるじゃない？
その件に関する網羅的な情報って言うよりも
単純に編集者の意図・主張を先鋭化してるだけなんだよね。
都合の良い情報だけを拾ってかき集めてまとめるみたいな。」
Ａさん「うーん。良くあるまとめサイトの問題点だよねぇ。
シンプルなだけに短い時間で理解できる、だから簡単に
すべてを理解した気になっちゃう。
同じ観点のものを10個も並べればそれが世界の趨勢だと
錯覚しがちって言うのはあるよね。
その裏には1000の反対意見があるかも知れないのに。」
Ｂさん「そうなんだよ、結局大切なのはネットの情報を鵜呑みにしちゃダメだよって言う、
単純なリテラシーの話になっちゃうんだけど。」
Ａさん「ふーむ。」
Ｂさん「あんまり短くてインパクトのある情報ばかりに触れてるとさ、
ちゃんと文意を読み解く能力が衰えると思うんだよ。
なんかネットのニュース記事に対するコメントにも最近やけに
『記事の内容が意味不明』とか『記者の力量が疑われる』みたいなのをよく目にする。
もちろんそう言う記事もあるんだろうけど、それ以前に
それはきみがちゃんと記事を読めてないだけなんじゃないか、
内容を理解できてないんじゃないかって思っちゃうようなものもあったりするよ。」
Ａさん「まぁ・・・。」
Ｂさん「そう言う人たちってさ、小説とか詩とかちゃんと読めてるのかなって心配になるよ。
文字を文字通り文字の通りにしか解釈できてないんじゃないかって言うか、
いわゆる『行間を読む』力がちゃんと養えてるのかなって・・・。」
Ａさん「あぁー・・・読解力ね・・・。
確かに最近若い人たちの読解力の低下が叫ばれたりしてるよね・・・。」
Ｂさん「まあそれ自体も鵜呑みにしていいのかって話もあるけどね。
端的に言えば『月が綺麗ですね』が理解できるかどうかってこと。」
Ａさん「うん・・・まあ、言いたいことは分かるけど・・・。」
Ｂさん「そう言う薄っぺらい人間にはなりたくないよね・・・。」
Ａさん「うん・・・。
極めて薄い記事を1200本近く世の中に投下してるぼくらが
そう言うことを言うのはとても不適格だけどね・・・。」
結論：本は読んどけ。
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