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碧翠~Sacrifice~  作者: 椛
9/9

~eight~ 学園地図

保健室を出て、校内をぐるぐると回る。


転入したばっかりでどこがどこなのかわからない。


とりあえず、荷物を持って帰らないと。

こんな格好でここにはいれない…。


そして、改めて自分の姿を見ると、制服は生卵で汚れて、新品から一気に中古品以下に成り下がったようだった。


髪はぼさっとしていて、卵臭い。

あーあ、やだな。最悪。


帰ったらすぐにお風呂に入ろう。まだ家には誰も帰ってきてないはず


迷いながらも、見渡せる中庭へ移動した。、

上から何か落ちてきた。私のカバンだった。


一歩間違えればこのカバンは私の頭に直撃だっただろう。

上を見上げると女子の笑い声が聞こえる。

…生き地獄じゃん。


私はカバンの中身を確認する。今日は特に何も持っていなかったからか、何もされていなかった。

まあ貴重品は制服のポケットにしまってるし、いいか。


校門の方へ向き、帰ろうとすると身体が危険信号を知らせるようにピタッと止まった。


よく考えると、私はこの学園の生徒から狙われてるわけだ。

そんな私が校門から堂々と出ていいのか?いや、その地位的なことじゃなくて。

嘲笑や冷ややかな目で見られるだろう。


そういえば、裏門があったな。

スマホを取り出し、地図アプリを開いてそこから帰れるかどうか確認する。


いやいや1つの学校に地図アプリって(笑)

普通に帰れるでしょ、とかいうツッコミはいらないからね。


この学園がどんだけ広いか。もっとよく言えば、この学園の私有地がどんだけ広いか。


まず学校の広さからして、USJの3分の2くらい。

それまたでかい車道(生徒の親やPTAなど来賓客用の通行路)と、生徒の寮があったり。

寮についてはまだ見てないが、広いことは間違いなし。


そして、寮から学園までの通学路がまた魅力的なのだ。


春には、桜樹が並び立つ桜道。

夏には花が植え付けられて、一風変わった可愛らしい道になったり

秋には紅葉の木がある道に変わり、秋らしい道になったり

冬には雪が積もり、雰囲気が穏やかな道になったり、と。

春夏の道、秋冬の道とあるわけだ。(片方の道が使われていた時、もう片方は封鎖されている。)

学園のパンフレット的なやつに

【四季によって変化する通学路】

として、載っていた。


そしてその道の両サイドには、樹木を挟んでまさかの庭園。

多分、みんなが今想像しているものの10倍は広い。

テニスや、ゴルフとかするんだろうな。

とりあえずアウトドア派の人ならテンションMaxになるほど綺麗なところ。


って、なんでこんな学校のこと説明してんの。私。


裏門から帰れることを確認し、

そそくさと裏門に行き帰ろうとすると、

「ちょっと。どこ行くつもり?」

声をかけられた。


声をかけられると同時に、肩にポンと置かれそうな手見えたが、私の汚い制服を触るのが嫌なのか、その手はゆっくりと下される。


振り返る。


固まる。


瀬尾(せのお) 藤香(ふじか)


全身の毛穴から汗が吹き出るようだった。


さっきの小田原 日向と接触した時も驚いたけど、小田原は穏やかな雰囲気だった。

しかし、瀬尾 藤香は穏やかさの欠片もない。言っちゃ悪いけども。

冷たい、というか何に対しても無関心な気がする。


そんな冷ややかな目線に、打ちのめされそうになりながらも答える。


「え、どこって。家に帰るの」


藤香は一瞬顔を歪ませたが、すぐに表情を戻して淡々と話し続ける。


「何も聞いてないようね。それとも、聞かされてないのかしら?…まあいいわ。どうせ、『目立つから』って正門から出なかったんでしょう。私が案内してあげる。ついて来なさい。」


そう言い放つと、素早く正門の方へ歩いて行った。

また罠かもしれない。

でも、ここで無視するのもなんだし、ついていくか。


私は不意に裏門に目を向けてから、藤香のあとに続いた。



見てくださってありがとうございました!

また次もよければどうぞ!

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